今江克隆のルアーニュースクラブR「ライブとリアルの狭間〜TOP50第2戦弥栄ダム・レポート〜」の巻 第1197回
TOP50第2戦弥栄湖 山岡プロが優勝
TOP50第2戦弥栄湖(山口県)が閉幕した。
優勝は、今期よりイマカツトップチームのNEWエースとして加入した山岡計文プロ。
自分の最終順位は、平凡以下の28位。
内容的には、15位で予選を通過し、表彰台までは見えていたにもかかわらず、不運と実力不足を痛感させられる悔しい試合となった。
リスキーな戦略をチョイス
今回、自分が選んだ戦略は、七色ダム戦での不甲斐ない結果から、それを帳消しにするためにも是が非でも表彰台を獲得するためのリスキーなものではあった。
七色ダム、弥栄ダムは、自分にとってポイントを稼ぎやすい得意な春のリザーバー戦だけに、後半戦に激タフの霞ヶ浦2戦を控えるがゆえ、凡庸な成績では終われなかった。
自分の今回のメインパターンは、弥栄ダムNo.1ビッグフィッシュエリアである小瀬川筋最上流の、流れの当たるベント部分アウトサイドのフラットに群れる稚アユを捕食するアフター回復の2kgオーバーを「ハドルスイマーエラストマー2.4インチ」のドリフトホバストと、ロードベッドのブレイクに浮いているバスを「ジャバロンSR(スーパーリアル)110」のライブサイトで狙う方法。
そして、太陽が上がってからは、同じベント部対岸の水の淀むインサイドフラットに散在するギルネストに現れる超大型アフターを、ギル系ルアーで仕留める方法だ。
3本リミット
今回の試合は、美和筋と呼ばれる濁りの強い筋では、ライブソナーを駆使すればリミットメイクは比較的簡単だった。
ただ、よほど運がよくない限り3本のリミットがゆえに平均サイズが300g以下の美和筋では、MAXでも3本1,300~1,500g。
リミットをまとめから上流に上がっても、一本仕留めれば1,500~2,300gの小瀬川最上流では、もはや勝ち目はない…。
5本リミットから3本リミットに変わった今季では、リミットメイク優先の戦略は、はなから優勝、表彰台を捨てて「年間残留」狙いになってしまう。
優勝、悪くても年一回の表彰台獲得を最低目標にしている自分にとって、300gの小バスを最初から狙いにいくなら、その時間を全て最上流に賭ける覚悟で臨んだ。
だが、それが本当に良いのか悪いのか、この2年、結果的にケツに火がついて堅実に守った時の方が上位に入る、という皮肉な結果になっているのが現実でもある。
40年もTOP50で戦い続けていると、何か新しい釣り、刺激的な釣りで上位に入り、業界を、トーナメントを盛り上げたいという、昔ながらの自分の理想が足かせになっていることは、間違いないと思う。
初日
今回の勝敗は、初日の朝一の2本、ともに2kgオーバーを「ハドルスイマー2.4インチ」のサイトフィッシングで完璧に喰わせながら、ネットイン寸前に全く予期できない、何ら前触れもないラインブレイクでメンタルが壊れた。
いつも思うが、ファイト中、あと一歩のところで岸辺から見ているファンやメディアの視線を気にした途端に何かが起こるのも、そこですでに集中力が切れているのかもしれない。
いつもの言い訳に過ぎないが、事実でもあり、若かりし頃、下野プロが自分に毎試合デカいのバラしたと念仏のようにいっていたことを、最近よく思い出す。
若かった自分は、それを単なる言い訳にしかとらえていなかったが、今は当時の下野さんの年齢を超え、加齢というものがフィジカル、メンタルに与える目に見えない影響というものがあるとしか思えない現実を毎回痛感している。
初日は、ラスト1時間半で美和筋に移動し「ジャバロンSR110」のジグヘッドリグで、300gのバスでリミットメイクだけは達成、32位と失意のスタートとなった。
2日目
夏並に暑くなった2日目は、ギルネストを狙うデカバスが同じベンド部のインサイド側フラットに出現しだしたため、こちらに狙いを定め「ギルロイドjrソフト(ギルソフト)」で、アフターの58cm1,900gを仕留めた。
このバスは、最初、「ギルロイドjr」で狙っていたが反応しなかったのに、「ギルソフト」のサイドフック(サスペンド仕様)をズルズルと亀並のスピードでスリ鉢のようなギルネスト付近を、超ゆっくりズル引きするとビックリするような反応で襲ってきたのには、とても驚いた。
形はほぼ同じなのだが、「初見」のルアーに対するバスの反応のすごさは、今も健在なのだろう。
2日目は、この1本とキーパーをサイトで仕留め、残り30分で美和筋に移動し「ジャバロンSR110」のライブサイトでキーパーを加え、2,700g単日5位となり、15位で決勝に進出した。
決勝
初日の2本が心底悔やまれたが、決勝で2kgオーバーを2本取り返せば、表彰台は見える。
この時点でリミットメイクなど微塵も考えなくなった自分が、凡庸な試合結果より刺激と話題性を求めている「頑固者」になっていることに気が付きながら、それを止めることができないのが、今の自分なのだ。
結果的にバックアップは捨て、決勝は小瀬川筋でほぼ全時間を費やし、決勝30人中唯一人、ノーフィッシュで試合を終えた。
300gのキーパーでもリミットメイクしていれば、15位以内の賞金圏は確保できただろう。
だが、プロトーナメンターに徹しきれず、どこか望んではいないのにトーナメントエンターテイナーへと変貌しつつある自分への葛藤が、そこにはあった。
梶原プロ、そして山岡プロのすごさ