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GROOVE・加藤誠が提唱する新コンセプト 「バーチカルアングル」を具現化したスピニングモデル、 グラビテーション・GRVS-VAS64M

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北九州関門海峡においてルアーフィッシングの遊漁船”GROOVE(グルーヴ)”を営む加藤誠さん。タイラバゲームも得意とするルアー専門の遊漁船だ。

GROOVE公式サイト https://groove837.com/

GROOVEのメインフィールドである関門海峡は潮の流れが速いことでも知られる。使用タックルもそれに対応できるものが求められるという訳だ。そんな中から生まれてきたタイラバ用ロッドがスミスのグラビテーションシリーズである。

関門海峡から生まれた実践仕様


出典:スミス公式

グラビテーションを手にした人の多くは一般的なタイラバ用ロッドのイメージよりもだいぶ硬いと感じるだろう。

潮の流れが速い中ではPEラインに余分な弛みが生じることが多く、喰い込み重視の柔らかいロッドでは情報量(感度)が少なくなってしまい、操作性やフッキングにも難が生じる。全国的なスタンダードとは言えないかもしれないが、グラビテーションシリーズは関門海峡で鍛え抜かれた実戦仕様のタイラバ専用ロッド群なのだ。

加藤さんが提唱する”バーチカルアングル”コンセプトとは

遊漁船の船長は常にお客さんが釣れているかどうかをチェックしている。釣れていない人には的確なアドバイスをする必要があるし、釣れている人をチェックすることでその日のパターンをいち早く掴むことが出来るためだ。

きっかけは突然に…

ある日、スピニングタックルしか持参していなかったアングラーが突出して好釣果を出しているのに加藤さんが気付いた。しかも潮止まりの状況下で120~150gのタイラバを使っていたという。ベイトタックルを使っていたアングラーはほとんどアタリが出ない中で連発だったそうだ。

なぜ潮止まりの状況下でスピニングタックルを使うと良く釣れるのか?それから加藤さんによる検証作業が始まった。

構造上の違いで、スピニングは負荷の掛からないピュアフォールを出せることが、潮の流れがない時に効果があるのではないかという考えに至ったという

その結果、スピニングタックルにはベイトタックルでは実現できないメリットがあり、さらに竿先を海面方向に向けて操作することによりそのメリットを増幅させることが出来るのに気付く。

いくら高回転スプールを装備していようとも、ライン放出時にスプールが連動して回転するベイトリールには出せないスピニングタックルのフォール。それがバイトトリガーとなることがあることに気付いたという

スピニングロッドの竿先を海面方向に向けノーサミングでフリーフォールさせることで、ベイトタックルでは出来ない、ピュアフリーフォールが実現出来るのだ。潮の流れがほとんどないような状況下はアタリも少なくなりがちだが、横方向の動きを追わないマダイであっても、ピュアフリーフォールで垂直方向に速く落ちる動きには口を使いやすいということがわかってきた。

バーチカルアングルの勘所

加藤さんはスピニングロッドの竿先を海面に向けて操作することを「バーチカルアングル」と名付けた。

フォール時のみならず巻き上げ時も竿先を海面に向けてリールからタイラバまでのラインの方向性を一直線となるようにする。そうすることでリーリング時も弛みがないのでダイレクトな操作感が得られる。

フォールのみならず巻き上げ時も海面にティップを向けることで、ダイレクトな操作感が得られる

フッキングに関しても勝手に掛かるようなオートマチックフッキングではバレも多い、ダイレクトに掛けていくことでフッキングも決まり、結果としてバレも少なくなるというのが加藤さんの見解だ。

ラインにも極力弛みがないことから、掛けにいける

重いタイラバの荷重をしっかりと受け止めるフルソリッドブランク採用

バーチカルアングルコンセプトを具現化できる専用機種の開発を進めるにあたり、加藤さんが当初から選択していたのはフルソリッドカーボンのブランクだった。

グラビテーションシリーズのベイトキャスティングモデルにはGRVC-TRS69Mというフルソリッドカーボンの機種がある。ブランク全体で負荷を受け止め、アングラー側の負担も少ないという特徴がある。

バーチカルアングルに
求めたロッド性能

加藤さんはバーチカルアングル専用モデルには250gまでのタイラバが使えることを条件に挙げていた。極端に重いタイラバの方がピュアフリーフォールのメリットを引き出せるのも確かだからだ。そしてそれだけの荷重をロッドで操作することを考えると、おのずとフルソリッドカーボンのブランクが不可欠との結論だったようだ。

なお、キャスティングする際には100gまでのタイラバの使用を可能としている。

また一般的にソリッドブランクは、チューブラーに比べて感度の面では劣る部分がある。しかしながら感度の面に於いても妥協を許さなかった。

ブランクの弾性率の選択、テーパーデザイン、ガイド設定などの組み合わせを事細やかに検証し、結果としてチューブラーブランクを超えるほどの感度性能が盛り込まれている。

△ガイド:Fuji SiCリングKガイド仕様。トップガイドにはT-KGST(チタンフレーム)を採用

△ティップ~ベリー部にかけてはT-KBSG(チタンフレーム)

△バット部にはPKLSGを採用

リールシートにはFuji SKSSスケルトンシート(黒艶塗装)を採用。セパレートグリップ。グリップ部は着脱式。操作感・感度も大事となるアプローチだけに軽快感のある仕様に。ブランク部はワンピースとなるだけに、本来のポテンシャルを最大限発揮する

この高感度設計はバーチカルアングルコンセプトに必要不可欠な要素でもあるので補足しておきたいところ。

こうしてようやく完成となったのがグラビテーションのGRVS-VAS64Mというわけだ。

品番内のVAというのは言うまでもなくVertical Angleの略である。

GRVS-VAS64M Vertical Angle Solid

全長 自重 仕舞寸法 先径 適合ルアー 適合ライン パワー アクション 価格
6′4″ 140g 152cm
グリップ着脱式2ピース(ブランク部は1ピース)
1.4㎜ ~250g(キャスト時は~100g) 0.6~1PE ミディアム モデレート ¥43,000+税

特殊性の高いロッドではあるが、条件がマッチすれば釣果を引き上げるだけの性能を持たせている。関門海峡で生まれたロッドではあるが、他の地域においてもこのロッドの特殊性が有効な場面はあるはずだ。一般的なタイラバタックルで得られる釣果から一歩抜け出したいと考える先鋭的なアングラーには是非とも試してもらいたい。

出典:YouTube「スミス公式チャンネル」

6月発売予定
スミス公式「グラビテーション」詳細ページはこちら

SMITH(スミス) プロフィール

1970年創業。日本のルアーフィッシング創成期からそのノウハウや楽しみ方を提案し続けている。バス、ナマズ、ライギョ、トラウト、ソルトと展開するジャンルも多岐に渡る。展開するタックルはスミスオリジナルのロッドやルアーに加え、プラドコやゲーリーヤマモトといった海外製品の輸入販売も行っている。