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今江克隆のルアーニュースクラブR「製品化は無理!? 機能最優先・コスト度外視・採算性無視!『ダンベルクラブ』の魅力」の巻 第1192回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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オフセットフックでこそ、真価を発揮

そんな無理難題を、あえて採算無視で製品化したのが「ダンベルクラブ」だが、その価値はあった、と今は思える。

それはやはり時間はかかったが、オフセットフックでもその能力を一切落とさず完璧なセッティングができるようになったことに尽きる。

いや、むしろ「ダンベルクラブ」は、オフセットフックでこそ、その最強の真価を発揮するといってもいいだろう。

オフセットフックをセットし、真横から見た「ダンベルクラブ」。下駄のような下面と、とても複雑な生やし方をしたラバーレッグによって、フックの存在が、ほぼ分からない

後方から見たオフセットフックのセット状態。下面の突起状の4本の脚でフックの横滑りによるズレを防いでるので、強いスキッピングでも、吊るしでもズレることがほとんどない

背中面にあるイボ部分にフックポイントを刺す。スロープ状になった軸の部分が撓(たわ)むことで、オフセットフックでもフッキングは素晴らしくよい

その最終製品での実戦での威力は、自分の想像をはるかに超えていた。

いや、河野プロ自身の想像も超えていたかもしれない。

このオフセット仕様での「ダンベル」タクティクスは、ライブ(サイト)、リアル(サイト)、クリアレイク、マッディレイクを問わず、今後、間違いなく数々のトーナメントでの上位を席巻するだろう。

ボトムではショートダウンショットのバレルロール、中層ドックウォークや逃がし、吊るしは断然オフセットセッティングのアクションが素晴らしい

「面」と「エッジ」の多さ

正直なところ、今はまだその使い方や威力の理由について、詳しく語りたくない気持ちがある。

ヒントを明かすと「ダンベルクラブ」のメリットは、樽が回転するような「バレルロール」にもあるが、何よりサイズ以上の「面」と「エッジ」の多さと、その「面」と「エッジ」を活かすための「軸」があることだ。

これが「ダンベルクラブ」のバレルロールアクション。「ダンベルクラブ」は、マス針のワッキー掛けも独特のフックセットポジションである

どの方向からでも水を強く推せる面の多さがキモで、ワッキー掛けでもオフセットフックでもロッド(ライン)の入力に対して最小限の移動で最大限の水推しを発揮する。

それゆえ「ダンベルクラブ」は、同サイズのワームに比べ圧倒的に遠い距離でもバスに波動で気付かせることができる。

このメリットは、サイト(フィッシング)ではもちろんだが、ライブ(ソナー)の映り方においても、とても大きなアドバンテージになる。

他にない最強の喰わせ能力

また「軸」の存在は、ワッキー掛けはもちろんだが、むしろオフセット時の抜群のフッキングのよさ、左右に細かく首を振る動き、さらに適度な速巻きではクランクベイトのようにバイブレーションする独特の動きに、大きな貢献を果たしている。

さすがに河野は「ダンベル」使いがうまい。ネストのバスではなく、浮ているメスを狙って次々と喰わせていった。オフセットフック仕様だが、フッキングのよさはフック剥き出しのマス針に匹敵するのが「ダンベルクラブ」の魅力だ

そして「ダンベルクラブ」の他にない最強の喰わせ能力は、止めていても、フォールでも絶妙にピリピリとバイブレーションする特注の「関節と爪を持つラバーレッグ」を左右でそれぞれ違う角度、位置、長さに生やしている部分にある。

特に小さな爪は、フォール時の生命感溢れるバイブレーションを増強している重要な河野プロのコダワリ部分だ。

完成度を高めた最終試作品があまりに釣れた

今までルアーを製作したことのある人なら、一体このワームが何面の金型製作が必要で、どれだけ金型から抜くのが難しいか、そのコストがどれほど掛かるか、一目で非常識と理解できるだろう。

真上から見た「ダンベルクラブ」のオフセット仕様。これだけ見てもいかに複雑な金型を使い、機能最優先、コスト度外視、採算性無視で作成されたことが分かると思う

オフセットフックをセットした「ダンベルクラブ」の裏面。フックは自分はPE0.4号を使うことが多いので、スーペリオの「COフック」#4を使っている。がまかつの「セオライズWG-L」やフィナ「TNSオフセット」も#4がベストフィットする

だが、完成度を高めた最終試作品があまりに釣れることから、無理を承知で超難関の製品化に踏み切ることにした。

それほど完全態となった「最終試作」の釣れっぷりには本心から驚かされることだらけだった。

池原ダムでのライブ(ソナー)修行で河野が釣ったロクマルクラス。河野は普段の釣りでは60cm程度は釣っても計測しないし、サイズにはあまり興味を示さない。あくまでプロは試合で釣ってこそ、ウェイトにこそ価値があると考えている。生意気すぎてムカつくが…

こういった経緯から「ダンベルクラブ」は、当初、量産を考えない、河野プロと自分が個人的に試合のみで使うためのワンオフ、河野プロのルアーデザイン勉強用のハンドメイドワームの範囲で終わるはずだった。

だが、結果的に今は絶対に欲しいワームになってしまったため、この超ハイコストワームに関してはイマカツとしても今後の新たな試みとして特殊な販売方法によって、数量を抑えても採算が取れる範囲でリリースすることを決めた。

間違いなく釣れる唯一無二のルアーだからこそ、コスト度外視でなんとしても製品化する。

「ダンベルクラブ」は、これからの時代のバスルアー製作の在り方を大きく変える試金石となるかもしれない。

「ダンベルクラブ」は6月上旬、通常とは異なる、ちょっと唖然とするような価格?と方法?で販売する予定だ

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