ガイドはリング径を究極に小さくしていき、自重を0.1g単位で削っていった
ガイドはチタンフレームが必須! そんな中で軽量化を図るために、リング径を極力小さくしていきました。
もちろんキャスト時に飛距離を落とさないギリギリの範囲を延々と探り、自重を0.1g単位で削っていきました。
さらにガイドを取り付けるスレッド(糸)も限りなく巻く幅を少なくし、トップガイドに至ってはコーティングする樹脂で段差を無くすだけに留めたのでした。
軽量化の落とし穴…軽くしてもブランクの粘りが落ちないようカーボンナノチューブをコンポジット!
軽さを求めて色々な部分を削っていったわけなのですが、その弊害としてブランクの粘りが落ちてしまうという事態に直面しました。
ブランクを軽量化するには単純にカーボンシートを薄く巻き、肉厚を薄くして軽くしていくのが定石。
ただ薄く巻くと、張りが足りず(いわゆる弾性率が足りず)硬さがどうしても保てない…。
その為に、高弾性カーボンを採用するんですが、張りが高まっただけでは『ネバリ』の要素は高められない。むしろ使い方次第では落ちてしまう事も…。
そこで『C・N・T(カーボンナノチューブ)素材』の出番となりました。
TENRYUのハイエンドシリーズに使われてきたナノ系素材であるカーボン・ナノ・チューブ(C・N・T)をバット部に採用し、高弾性化して不足してしまったネバリを補うこととしました。
そうしてギリギリの軽量化を図りながら、今までのルナキアシリーズに匹敵するネバリを残すことが出来たのです。
実際に使っていただければ、NEWルナキアがライトゲームロッドで有りがちな、張りが強く感度が良いがターゲットがヒットすると棒の様に曲がり難いロッドでは無く、しっかり曲がり復元していくアクションのロッドであるというのを体験していただける仕上がりになっています!
さて、実をいうと落とし穴はもう1つりました。というのもグリップ周りを削りすぎた為、持ち重り感(モーメント)といったバランスが崩れてしまっていたんです。
バランスに関しては今までのシリーズを作るうえで重視してきた点でもあったので、プロト段階でテスターの蔵野氏からは「フナキ ism」が感じられないと指摘されてしまいました。
軽量化も必要であったが、バランスが崩れてしまってはルナキアの名を受け継げない!ということで、リールシートの位置やグリップの長さや太さをベストなモノに見直し、崩れてしまったモーメントを直していく作業を繰り返し行い、なっとくのバランスのモノができたのでした。
テンリュウらしさ! シームレスな曲がりを求めて!
TENRYUらしいロッドとは何かと考えた場合、ネバリが強いといった事と綺麗な曲がり(調子)を挙げる方も多いのではないでしょうか?
もちろん私の中でも粘りの強さとキレイな曲がり・アクションを重視したロッド作りを心掛けています!
ちなみに今作のルナキアには、2種類のティップアクションがあります。カーボンソリッドを採用したモデルと、チューブラを採用したモデルです。
ソリッドティップは極限まで穂先を細く出来るため、チューブラでは不可能な繊細なティップを作ることが可能で、現代のライトロッドでは必須な要素になってきています。
しかし、ソリッド素材をパイプ状のブランクに差し込んで作成するため、差し込んである部分が硬くなりやすくアクションに影響与えやすいという問題もあります。
その継いである部分がベントカーブを阻害するため、見た目が美しくないだけでなくロッドが折れ易くなる原因になったり、ラインに急な負荷を与えやすくラインブレイクやキャスト時にガイドにラインが絡む等のトラブルを起こし易くなってしまうというわけです。
このソリッドと、チューブラを継ぐ所を如何に分かり難くするのがロッドメーカーの腕の見せ所でもあります。
ソリッド材を削り込み、チューブラの差込口もソリッドのテーパーに合わせて削りこんでいく。
削るのは機械で削るのですが、それを操作するのは人間であり職人の感覚でサンディングしていくわけです。
言葉で書くのは簡単なのですが、それは何年もロッドを作ってきた職人であるから出来ることで、一朝一夕で出来ることではないんです。
熟練した業で削りだしたブランクは、不自然な曲がりをせず繋ぎ目を感じさせないシームレスな曲がりを見せてくれます。
対してチューブラモデルには、マグナレックス製法を採用しています。
この製法は、弾性率の違う素材同士を段差無く繋ぐ製法。
通常のチューブラロッドの製法では、異素材同士を繋ぐには別々に整形したパイプを繋いでいるため、パイプが重なる所が固くなりソリッドと同じくアクションを崩す原因となっていました。
そこで、カーボンプリプレグ(カーボンシートに樹脂を含侵した物)の段階から特殊な製法で繋ぎ合わせ、繋ぎ目を限りなく排除したのがマグナフレックス製法。
これにより、穂先部分には低弾性カーボンを使い、徐々に中弾性カーボンに移り変わるといった特殊なアクションが可能になるんです。
そうした事で、チューブラ状のブランクであってもシームレスな曲がりを手に入れる事ができたのです。
釣り味のあるロッド
使うほどにアングラーの腕に馴染んで行き、1匹との駆け引きを楽しめる「釣り味のあるロッド」になって欲しいとテスターの蔵野氏は語っていました。
感性に響くライトゲームロッドの意味は、そこに有るのではないかと思います。
今回はNEWルナキアのシリーズ全体的な紹介をさせていただきましたが、次回は機種別の詳細についてお伝えしたいと思っています!
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