今江克隆のルアーニュースクラブR「ダイワ・シマノのスピニングリール頂上決戦⁉︎ 〜今江的ベストチョイスを探して〜」の巻 第1181回
コロナ禍も一段落し、完全に本来の姿で開催された2024年フィッシングショー大阪が無事閉幕した。
今年も多くのファンに集まってもらい、時間制限ナシで開催したロングトークショーは、非常に充実したものとなった気がします。
長時間、聴いていただき、誠にありがとうございました。
このトークショーの模様は、インスタライブでも中継し、河野(正彦)プロのインスタアカウントにアーカイブが残されていますので、是非、ご覧ください。
今回はかなり即戦力的な深良い内容を話せたと思います。
また、ショーに向かう道すがらの車中で話した、トークショー前座雑談インスタライブはかなりヤバい裏話をしているので、是非、ご覧ください。
最高峰最先端スピニングリール事情
さて今週は、コロナ禍以前の活気に戻ったフィッシングショーOSAKAで、今江的に過去最高?レベルに色々と学習してきた最高峰最先端スピニングリール事情について、今江的視点から「軽く」解説してみよう。
実は、今回のフィッシングショーでは大きな目的があった。
昨季まで使ってきたABUのスピニングリールに機械的限界が来たため、今季からは全スピニングリール最低20台を適材適所でメーカー問わず、使用目的に合わせて総入れ替えすることを昨年末に決めた。
それにともない、世界に誇る日本のスピニングリールメーカーの双璧「ダイワ」、「シマノ」のスピニングリールを、生まれて初めて真剣に学習し、価格に惑わされずベストチョイスを「購入」することである。
スピニングタックルはリールの性能差が釣果差に出る
実は、ABUのサポート以来30年以上、スピニングリールに関しては、さほど購入したことがない。
たまに時代時代の最高機種をABUとの比較参考のために手に入れ使用した経験はあるが、裏を返せば最高価格=最新最高としか見ておらず、正直最高峰機種以外に興味もなかった。
しかし、いざ20台を全て「最新最高峰機種」で揃えて自費購入しようとなると200万円超の出費となるため、さすがに使用目的に必要十分な適正機種を適正価格でムダな出費なく購入するためにも、真剣に各メーカーの全機種を比較検討せざるを得なかったわけだ。
少々プロとしては情けない話だが、「リアルな情報発信価値」がある意味「サポート契約実益」と比較しても必ずしも劣らなくなった今の時代、忖度ナシにスピニングリールの機能、実力を理解、収集、判断、発信できることは、逆に購入価格以上の価値があると思ったからでもある。
個人のクセや好みに応じて内部チューニングが多様で容易なベイトリールに比べ、特にスピニングリールはデフォルトでの使用がマストで、内部の個人改造はほぼ不可能、純粋に「機械的性能比べ」の要素が極めて高い。
さらにはベイトタックル以上に繊細でストレスの掛かる操作を強いられるスピニングタックルは、ロッド以上にリールの性能差次第で操作能力、集中力向上はもとより、釣果にもに直接大きな性能差が出てしまうものだと本音で痛感している。
何を買えば失敗しないのか…
だが、年明けから各社のスピニングリールを、SNSやインプレ、メーカーサイトを通じて調べてみたが、ベイトリールの単純明快さに比べ、価格帯から機種、サイズ、重量、スプール径と幅、ギア比にオシレートスピード、果ては難解な内部シールドの違いからオプション設定まで、あまりにも多岐多種多様、複雑怪奇にラインナップされており、本当に頭が混乱して何がどう違うのか、何を買えば失敗しないのか、正確に理解するのがプロ経験40年の自分ですら「????」の連続だった。
しかも、最高機種で全揃えすれば間違いないというわけではないのが、さらにことをややこしくする。
スプールの小口径化
さらに、最も自分を悩ませたのは、5年ほど前からスプール直径の業界基準がナゼか変わってしまったことだ。
昔の2000番サイズ(44~45mm径)が、現在の2500番の標準サイズになっており、昔の2500番サイズ(47~48mm径)は、3000番になっていることが、ことをややこしくする。
すなわち、スプール径が、現在は昔より一段小さくコンパクトになっている。
スピニングリールの歴史は昔「糸ヨレ」との戦いだったが、改善はされたものの、その基本構造的な問題は今も完璧に解決されたとはいいがたい。
自分はスプール径が小さくなった「ゼノン」をあまり使わず、昔ながらの大口径48mmの「レボMGXtreme2500S」を長らく使っていた最大の理由は、フロロの「糸ヨレは単純物理的に直径が大きい方が少ないし、48mm径で170gは最軽量」というシンプルで明快なものだ。
それなら現在の3000番を使えばいいのでは?となるが、調べるほどにバスフィッシング用に特化された3000番スピニングリールはほとんどなく、グリップはバス用としては違和感満載の大型ノブばかりになり、軽量さも昔のリールと比べてもさほどメリットの出ない180~230gレベルのモノになる。
これは、現在のバス釣りがいかに繊細に、4lb以下の細糸やPEラインの使用を前提として、超軽量(160g標準)、超繊細、超高精度、高感度最優先で開発されているのかがよく分かる。
20年前は5~6lbフロロを普通にスピニングで使っていたが、今の時代、このレンジはPE0.4~0.6号に変わったことで6lbフロロをスピニングで使う人は、今やごく稀だろう。
もはやフロロ6lb以上はベイトフィネスの対象とされたことで、現代の最高峰スピニングリールはMAX 4lbフロロ、PE0.3~0.8適応を最優先し、自重150g以下を目標とするために歴史のある標準スプール径の「表記」まで一段落としてしまうという大技に出たと思われる。
「レボMGXtreme」は、最後まで2500番の旧標準径(48mm・170g)を守っていたが、世の流れに逆らえず、「ゼノン」では新基準番手に合わせて小径化されてしまった。
究極のフィネスに特化されたダイワ、シマノの最高峰機種は文句のつけようがないほどに完成された機種が存在するのは確かだ。
自分が今後実戦で比較してみたいのは、「07ステラ」で廃止され、「22ステラ」、「23ヴァンキッシュ」から復活したシマノのお家芸「超密巻き」が、昔の「密巻き」からライントラブルの点でどのぐらい進化したか?
ダイワのデフォルトドラグ性能と機械的な巻きの滑らかさがどの程度、「ステラ」と比較して進化したのか?
そこをまずは「同価格帯対抗戦」で実戦比較検証してみたいと思う。
20台を揃えるうえで、10万円を超える最高機種ですべて揃えたくなるほどの差があるのか?
各社「廉価版」とされる2番手、3番手の価格帯製品が多種多様に存在しており、全てを実戦で試して納得するには半年はかかるかもしれない。
だが、ABU以外の各社各価格帯機種を比較検討するのは初めての経験であり、個人的に突出して他の分野に比べ知識経験不足な部分だけに、新鮮な好奇心で非常にワクワクしているのも事実である。
スピニングリールの「逆の時代」化???