●一日投げても疲れないことの真意
Q: いずれにしても、やり切るというのがこのルアーのキーワードのようですね。
A: 僕の経験では、どんなルアーも最終的には動きがどうとか、フラッシングがどうとかよりも「どれだけ投入したか」が釣果につながるんです。
釣りたければやり切ること。そう考えた時、引き抵抗が大きなマグナムクランクはきつい。やれば釣れるのは分かっていても、やり通すことができない。
僕はハードベイトで毎日やり込んでいるけど、お客さんにマグナムクランクを一日やらせるのは無理があって、途中でレギュラーサイズのクランクベイトに変えたりするのが現状です。
ところがビッグMは一日普通にやり切ることができるので、今日はマグナムクランクで通しましょう、ということも可能になります。
●使い方の基本
Q: 釣るための秘訣はありますか?
A: 基本的にウィードに絡めて使う。絡めないと釣れません。
そこが普通のクランクベイトとは違うところで、バスのレンジに対して必ずそれ以上の潜行深度がないと活躍できないルアーなんです。
琵琶湖の南湖で言えば、ウィードに潜んであまりやる気のない奴を喰わせるために、ウィードに当てて使う。
マグナムクランクの最大の特徴である高浮力を活かして、浮かせたときにバイトさせるんです。ウィードが少ない場所なら、岩でもストラクチャーでも同じことです。
●ビッグMに適したタックルは?
Q: どんなロッドが使いやすいですか?
A: テスト段階ではUSモデルのオロチXXの、F5‐75Xを使いましたが、このロッドはちょっと特殊です。
ではどんな竿が良いかというと、このルアーにベストマッチする竿はあまりない。けど、逆に言えば竿を選ばないとも言えます。普通のマグナムクランクは完全に竿を選ぶと思いますが、ビッグMは選ばない。あえて言うと、2オンスのウエイトを普通に投げることができて、なおかつ柔軟なロッドが理想ですね。引き抵抗が軽いため、巻くだけならMHクラスでも全然問題なく使えます。
Q: その条件を満たしていれば、ロッドの長さは短くてもOKですか?
A: いや、やはり長いほうが使いやすいですね。7フィートはほしい。長さの分だけ柔軟性が出ますから。短い竿は、パワーはあってもリーチがないぶん曲がりを活かせないので、あまりお薦めしません。
Q: リールはハイギアとローギア、どちらが適していますか? 定説では「巻き物=ローギア」ですが、最近はハイギアを使うアングラーも多いようです。
A: どっちがいいかではなく、これはズバリ、ローギア(※巻き取り長60cm以内を想定)でないと無理! マグナムクランクに限った話ではなく、スピナーベイトでもバイブレーションでも、僕の場合は、巻き物はすべてローギア。ローギアしかあり得ないですね。明らかに差が出ます。
Q: その理由はパワーですか?
A: トルクとか巻きの軽さとかももちろんあるけれど、一番はひと巻きでルアーが進みすぎてしまわないこと。そういう理由です。
とくにマグナムクランクの場合はウィードに絡めて浮かすという釣りなので、もうすぐウィードにタッチするぞ、というときにある程度こっちが身構えてないといけないんです。その時に速いギアだとルアーがウィードに突っ込んでしまう。「あ!」と思った時にはもう遅い。
でもローギアだと、ウィードにタッチしてリーリングを止めた時に行きすぎない。突っ込みをいち早く回避して、すぐに浮上させることができるんです。これはすごく大きいですよ。
あとは安定して巻けるということ。速いギアは巻きの負担が釣り人側に来てしまうので、リーリングのリズムがぶれてしまう。一定のリズムでストレスなく巻き続けられるのもローギアのいいところです。
Q: ラインはどんなものを使っていますか?
A: フロロカーボンの16ポンドです。そもそも僕はすべてフロロ。トップウォーターでもフロロカーボンしか使わない。通常はいかなるルアーもオール14ポンドなんですけど、ビッグMで16ポンドを使うのは飛距離と強度のバランスを考えてのこと。ルアー自体に自重があるのと、巨大な魚が普通にヒットするので安全のために16ポンドを選んでいます。
Q: フロロカーボンの比重がビッグMの浮力を邪魔するようなことはないのですか?
A: ビッグMはそのために浮力を上げる内部構造にしているので、それは一切ないですね。むしろクランクベイトにナイロンラインはあり得ない。理由はラインの角度。巻き始めるとフロロのラインは(水を切って)どんどん一直線になっていきますが、ナイロンではライン自体の浮力が邪魔してなかなか真っ直ぐにならない。ラインのたわみが取れてルアーに到達するまでが遅いんです。このロスは僕にとってはあり得ないことです。