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【レオン北米釣り紀行/1996年〜1999年カリフォルニア】Vol2:パシフィックベイビーと黒人ギャングと

連載:加来 匠レオン「ライトゲームマニア」
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全五回の予定でお届けしております「レオン北米釣り紀行」。

前回、第一話の「そして旅人はサンディエゴで逮捕された」を配信いたしました。

【レオン北米釣り紀行/1996年〜1999年カリフォルニア】Vol1:そして旅人はサンディエゴで逮捕された

今回は第二話。読み物として、お時間のある時にごゆるりとお楽しみくださいませ。

レオン 加来 匠(Kaku Takumi) プロフィール

加来匠(かく たくみ) 中国&四国エリアをホームグラウンドとし、メバルやアジ、根魚全般の釣りを得意とする生粋のソルトライトリガー。レオンというのはネットでのハンドルネームとして使い始めたが、いつの間にか、ニックネームとして定着。ワインドダートやSWベイトフィネスなどを世に広めた張本人、新たなスタイルを常に模索中! 「大人の遊びを追求するフィッシングギアを提供する」ことを目的としたプライベートプロダクション「インクスレーベル」代表もつとめる。

【レオン北米釣り紀行】1996年〜1999年カリフォルニア

第一話:そして旅人はサンディエゴで逮捕された

第二話:パシフィックベイビーと黒人ギャングと

第三話:レイクキャステイク前編 ボブ・クルピとクローダッドと

第四話:レイクキャステイク後編 Lower巨魁の揺らめき

第五話:レイクキャステイク結末編 Upperリザードとバスとコヨーテと

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第二話:パシフィックベイビーと黒人ギャングと

しかし噂にたがわず、物騒な町である。

ここ「トーランス」はロスの南隣にある住宅街中心の、いわゆるロサンゼルスのベッドタウンと言ったニュアンスの街だ。そしてジャパンタウンと言っていいくらい日系人が多く住んでいる町であるからロスの下町より比較的安全であるらしいのだが、当時、俺が住んでいたアパートメントから数百メートルしか離れていないガソリンスタンドで射殺事件があった。

事件はこうである…。不良グループの対立が深夜に起きたらしく、そのガソリンスタンドでたむろし ていた少年少女グループを、一方の不良グループが敵方と勘違いし、車の中から関係のない彼らに無かって十数発も発砲。そしてそのうちの一発の銃弾が抗争とは無関係の一人の少女に命中し、不幸にも彼女は即死した…。その少女はスパニッシュハーフで、とても美しく、モデルの仕事をしながらハ リウッドスターを夢見て芸能修行を続けている田舎出の17歳だった。

全く悲惨である。 その日は一日中テレビでその事件の報道をしていた。

さらにその二ヶ月後にはこんな事件があった。これも俺の住むアパートメントから数百メートルと離れていないスーパーマーケットでの事件だった。内容からしておそらくは長期赴任で仕事をしている人物だと推察されたが、日本人中年紳士がそこで買い物をし、うかつにもレジで 札束の入った財布を開けて支払いをしたのだそうな。犯罪が横行する国でこれはいかにもマズい…。

そして恐らくだが、近くでソレを見ていたよからぬ人物が紳士の後を付け、紳士が車で自宅に帰りつきガレージに車を入れるため一旦車を降りたところを、 後ろから近づき頭部めがけて拳銃を発射!金品を奪って逃走、紳士は即死であったそうな…。

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ある日、翌日の休日のために昼休みにウェブマップを開き、釣り場を検討していた俺に、日系三世である秘書の女史が、あるものを手渡してくれた。なんだろう?と受け取り、地図状に丸めてあるその印刷物を広げてみると、ソレはまさに地図ではあったが、驚いた事に「凶悪犯罪発生マップ」であった。

ロスアンゼルス郡の全域地図で、主に「殺人事件」の発生件数を過去3年分ほ ど地図上に「赤点」で記してあるのだ。

予想通りロス市の中心付近がもっとも多く、そしてグレイハウンド・バス・ターミナルがある場所の裏辺りに赤点が集中していた。しかし、マップを良く見ると、かなり安全と言われているパトロール巡回が密 な住宅区域でも、日本では考えられないほどの凶悪犯罪の発生率だった。

グレイハウンド・バス・ターミナル

女史は俺が良く一人でウロウロと出かけるので、犯罪に巻き込まれるのを懸念 していつも注意してくれるのだ。こちらに来て以来、耳にタコほど注意を促される。

「人気の無いところへ行くな」
「夜は出歩くな」
「単独行動はするな」
「高価な服装はするな」
「財布は持つな」
「100ドル札は見せるな」
「所持金は20ドル単位で2~3箇所に小分けで持て」
「ホールドアップに会っても自分でポケットに手を入れるな」

などなど…。

しかし俺は「狂」の字がつく釣り人、休みの日にじっとしているわけも無く、 さりとて現地では釣友も少ない俺のこと、当然の如く単独釣行に及ぶ…。決して怖くないわけではないが、いずれは儚くなるこの身、同じ死ぬのなら 「釣りの最中に」と常々の覚悟はできているつもりだ。

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