「スパイダースピン」ならではのスーパーキャスト機能
すでにここでも「スパイダースピン」に関しては幾度も解説してきたが、戦略上あまり語りたくなかった「スパイダースピン」ならではのスーパーキャスト機能が実は存在する。
「T1100G」をフルレングスにわって採用している「スパイダースピン」は、その粘り強さ、耐破損強度もさることながら、実は極めて珍しい「スパイダースピン」専用設計の独自のマンドレルを採用していることは、今まで伏せてきた事実だ。
このマンドレルの採用によって、「スパイダースピン」はフルチューブラーながら実はソリッドティップに似たティップセクション独特の曲がり込みがデザインされている。
これは「T1100G」特有の「一見、張りがあるのに実はしなる」特性を利用したもので、チューブラーなのに一定負荷を超えるとソリッドティップのような柔軟性を発揮するセクションが設けられている。
ただ、継ぎ式のソリッドティップのような極端な変化ではなく、マンドレルにより自然なティップの入り込みで、この技術は「T1100Gナノアロイ」を世界に先駆けてバスロッドに初採用してきたエバーグリーンならではの経験から成せる、高度なブランクス成型技術なのである。
この独特のティップセクションのデザインが「神ピッチング」と自分が呼ぶほどのピッチングのやりやすさを実現し、同時に並のハードロッドでは真似できない「ボー&アロー」キャストへの高次元対応能力を実現している。
自分と常に練習で同船している河野(正彦)プロや渡辺はすでに幾度も目撃し、そのたびに感嘆する「スパイダースピン」の「ボー&アロー」は、実は自分の必殺技として隠し続けていた技術だ。
通常のスピニングでのスキッピングなら河野プロの目が点になる神キャストに自分は到底敵わない。
しかし、逆にその河野や渡辺を驚かせる精度&角度でカバーを自在に打ち抜けるのが自分のオリジナル「神ボー&アロースキッピング」である。
並の角度では絶対に入らないスキマや穴すら、ノーモーションで真っすぐ矢のように打ち抜ける「ボー&アロー」の精度は、一度間近で見たら衝撃を受けるだろう。
フィジカルで劣る自分が若い連中にシャローカバーの攻略精度で勝つために、2年近く密かに練習してきたのが今江式ボー&アローである。
このテクを100%活かすために、「スパイダースピン」のティップセクションはチューブラーの張りの強さを残したまま、同時に弓のように柔軟でかつ、絞り込み破断に強いことが絶対条件だったのだ。
「スパイダースピン」の秘密
そして、この他にも「スパイダースピン」には隠されたコンストラクション上の秘密がまだある。
それが、グリップの内部構造と弾性にもこだわり抜いた「インナーパイプの秘密」だ。
通常、ロッドの内部構造まで試作段階で踏み込むことはバスアングラー目線ではまずありえないことだが、「スパイダースピン」の圧倒的な操作性は、実は独自の内部構造からもたらされた恩恵でもあることを今回、初公開しておこう(その秘密は、週末頃、エバーグリーン特設WEBページで公開予定)。
近年の「カレイド・インスピラーレ」は、自分の感覚経験的な開発力に「G-nius」青木哲氏のロッドビルド技術とガイドセッティング技術、そしてLFKDチャンプの、プロも驚くマニアックすぎるビルダー知識をも吸収することでメーカー常識をはるかに超えた実戦設計へと昇華されている。
今週、金曜日には店頭に並ぶ「スパイダースピン」を一度握って振ってみれば、実質7フィートとは思えない実戦主義に裏打ちされた信念と進化を感じ取れると思います。