冬の訪れを予感させる冷え込みの今日この頃、苦しかった今年のトーナメントシーズンを振り返ってみると、開幕戦七色ダム、そして桧原湖戦、遠賀川戦と、今年は本当に2本の特殊ともいえるスピニングギアに助けられたシーズンだったように思う。
その2本とは、今週末に店頭デビューを果たす「カレイド」最強のスピニングロッド「スパイダースピン」と、「ステルススイマー」をも扱える超パワースピニングロッド「ライナースピン」の2本だ。
スピニングながらもベイトに匹敵する強度とゴン攻めを可能にした極めて特殊なこの2本は、従来のスピングロッドの概念からは掛け離れた、ある意味、極めて「ニッチ」な、しかしながらコレにしかできないことが明確にある、唯一無二のスピニングロッドといえるだろう。
今週は、ずっと今日まで伏せていた今江的「ニッチなパワースピンの本当の秘密」を初公開しよう。
コンセプト
この2本には、偶然にもかなり似た開発コンセプトがある。
要約すると…
- オカッパリで想定される様々な局面への対応力を考慮した長めのレングス(=有効レングス7フィートクラス)&チューブラーティップ
- フィネスワームやスモラバを用いた軽量リグから小型スイムベイトやフルサイズジャークベイトまで、しっかりと扱える広域対応力
- フルキャストでの遠投性能と、ピッチングによるピンスポットへのキャスト精度の両立
- シャープでもたれずシャキッとした操作感、かつ細かく繊細なシェイク動作をも苦にしないバランス
- テクニカルな動作に対応するストレスのないグリップ設計(長さ、形状、径等)
- 遠方やカバー越しのフッキング~ファイト、足場の高い場所からの抜き上げまでを含め、一般的なスピニングロッドの規格を超える圧倒的なパワー
といったところだろう。
ちなみに自分と三原(直之プロ)は、TOP50で、特にライブスコープを使わない試合では非常に似たエリアスタイルの選択することが多く、必然的にバッティングも多い。
おそらくTOP50の選手の中でも最もバッティングする選手といえるかもしれない。
それだけに特にサイトフィッシングではないパワー重視のスタイルに関しては、タックルの好みも極めて似てくるのだろう。
さらに「スパイダースピン」と「ライナースピン」は、ともに「オカッパリ視点も重視」しているという点においても共通点の多い特殊スピニングロッドといえるだろう。
2本違いを明確にするならば、三原の「ライナースピン」は問答無用のパワーに全振りしたタフさと潔さが特徴で、「スパイダースピン」はパワーを維持しつつ、繊細なキャスト力と操作性を重視している。
今江的感覚で言い換えれば、「ライナースピン」は「中長距離操作型柔術系パワースピン」、「スパイダースピン」は「短中距離精度型打撃系パワースピン」といった使い分け方になっている。
ライナースピン
「ライナースピン」に関しては既報の通り、桧原湖戦での「ジャバロンスーパーリアル110」の5gジグヘッド遠投スイミング、遠賀川戦での「ジャバロン140」のデッドドリフトで、その戦闘能力の確かさは証明済みだ。
今江的には、スラックを存分に活かしながらロングキャストで大きめのワームを繊細に操作し、#3/0~4/0クラスのオフセットフックをワームごと遠距離で確実にビッグバスの上アゴを打ち抜ける性能は、このスピニングロッドの右に出るものはないと、現在、思っている。
オールスター戦でもメインとなった「ブシドー」とほぼ同等の使用頻度で「ライナースピン」&新型「ジャバロン110」を使っていたことは、ライブ配信を見た方は確認できたと思う。
オールスターの練習では「ブシドー」のスイミングに匹敵する結果を残していたのが「ライナースピン」&新型「ジャバロン110」のネイルリグだった。
スパイダースピン
一方、「スパイダースピン」も2022年の遠賀川開幕戦では「ワスプ55カットファスト」と併用した「ジレンマスーパースティープ」のダイビングジャークで8位入賞に貢献、23年開幕戦七色ダムの決勝で起死回生の54cm2,400gを仕留めて以来、2023年全試合でボートから降りることはなく、お題の違う取材の合間にも毎回のようにビッグフィッシュを釣ってしまう攻撃力の高さで、すでに長らく一軍定着している。
611のレングスの長さが67の「ライナースピン」との決定的な違いで、打点の高さや遠投性能、ベイトフィネスに匹敵するピッチングの神精度、カバー越しの吊るしにおける繊細な操作性と打突力においては「スパイダースピン」の優位性はゆるぎないものとなっている。
実質レングス7フィート相当のショートグリップ611ながら、その操作上の軽快感は67の「ライナースピン」に勝るとも劣らない。
ならではのスーパーキャスト機能と、コンストラクション上の秘密とは?