【レオン北米釣り紀行/1996年〜1999年カリフォルニア】Vol1:そして旅人はサンディエゴで逮捕された
ようやくメキシコとの国境の町「サンディエゴ」の市街が見え始めた。
ここからルート8に乗り換える。程なくして遠くに海が見え始めた。フリーウエイを降り、一般道に入る。サンディエゴ・シーパークの看板が見えてきた。映画フリーウイリーで有名になった、タレントアニマルのシャチ「シャムー」が住んでいるところだ。
「ひとまずはこの先にあるマリーナ周辺を叩いてみよう」と考えながら、スピードが出すぎていることに気付き、ポイントが近くなると気がせくのはどこへ行っても一緒だな、と一人で苦笑してしまった。
ロケーションの良さそうな場所を選び、相棒のフォードを観光客用のパーキングへ滑り込ませ、とりあえずタックルを持たずに水際まで行って見る。
思ったとおりのグッドロケーションだ。湾の奥だが、潮通しが非常に良い。水の色も水生植物も完全に生きている色だ。ボトムにも岩や藻が点在したり密集したりしている。水深も適度にある。
まずは手堅いところでロックフィッシュのチエックだなと決め込み、フロロの4ポンドラインに2グラムのジグヘッドをセットしたウエダのプロフォーFLSと、ロスのショップで購入したUSA一番人気のGルーミスのベイトロッドに12ポンドラインのテキサスリグをセットしたものを持ち出す。
最初に覗いた辺りから、腰の高さほどのチエーンでしつらえたガードレールを乗り越えて、道路より数メートル下まで降りる。
水際には人の頭大の岩がごろごろしており、岩質がわからないので滑らないように注意しながら足場を決めた。振り返ってみると道路からはこちらが見えないので、ほぼ意味無くホっとして記念の第一投である。
何が居るのか解らないので、とりあえずベイトタックルの方へツインテールのカーリーグラブをセットし、キャスト。伸びやかに飛んでくれた。タックルの調子はすこぶる良好のようだ。こんなときは釣れそうな予感がする。
カウントしながら着底を待つ。
結構深い…。20カウントほどでボトムへ到達。そろそろと引いてみると、シンカーがゴツゴツとボトムがハードである事を伝えてくれる。
と、何かがゴンッと当たってきた。
え?いきなり?ファーストキャストなのに?反射的に手がアワセに入ろうとするのをやっとの思いでなだめ、もう一度聞きにいく。
ん?こない?もう一度そろそろと引く。
ゴンッ!また当たる?咥えてくれない?
何度か同じ事を繰り返すがどうも乗ってくれない。コレはリグが合っていないと判断して竿を持ち替える。今度はFLS64へジグヘッド1.4gとネジワームをセットした小物用のタックルだ。
同じところへキャストしてボトムを取ろうとすると、今度はフォール中にいきなり引っ手繰られた!!ウンもスンも無い。向こうアワセで掛かっている。ドラグが出て行く。結構なスピードで走る。
あらら、釣れちゃった…。
メバルなら軽く尺だなコレは!と比較にならない比較をしながら寄せに掛かる。面白いファイトだった。そんなにトルクは感じない。そうでかくは無いのにやたら走ってなかなか寄ってはくれない。考えてみればこの感じはサバを掛けたときのようだ。
ひとしきり走りまくった後、ようやく疲れたのか足元へ寄ってくる。やはり30cm強の魚体だ。しかし、コレは何だ?薄いベージュ地にオレンジっぽい斑点があり、一見細いキジハタのような魚だった。
見ている場合じゃない、早く揚げなければと敷石の上へズリ上げて観察する。とても綺麗な魚だ。アイナメとバスとキジハタをあわせたような今まで見た事の無い魚だった。
しかし運が悪いことにフックがエラを傷つけていてかなり出血している・・。
これではリリースしても持たないと判断し、仕方が無いのでナイフで締めてビニール袋へ入れて車へ取って返し、飲み物を入れていたクーラーの奥へしまったが、ここまできてふと頭をかすめた事がある。
ソレはレギュレーションの問題だ。日本と違ってかなり厳しい。ヒラメで言うと、55cm以下はリリースせねばならない。ほとんど全ての魚種にサイズの制限があり、違反を犯すとかなりのペナルティを科せられる。
この魚は大丈夫だろうか?いや、こんなルアーターゲットのような魚は厳しいはずだ。姿形からして恐らく30cmそこらじゃあ制限以下である可能性が高いと容易に想像は付いたが…。
そして実は、この後俺はとんでもない事態に追い込まれてしまうのだ。そのいきさつは後で説明する事にしよう。