青物、マダイ、根魚などなど…。
ブレード好きな魚は?…と聞かれるとアングラーそれぞれ思い浮かべる魚種が異なると思いますが、近年ブレードを使う人気ジャンルは?…と聞かれるとサワラと答える方も多いハズ。今やすっかりお馴染み“ブレードゲーム”。数年前まで主流だったミノーゲームに比べて、こちらはボトムから表層まで“タダ巻きで見えないサワラを効率良く高確率で釣れる”。山口県・岩国で発祥して以来、その勢いは東京湾まで。さて、そんな流行りの“東京湾ブレードゲーム”の模様をご覧いただけるこちらの動画。
【サワラ・ブレードゲーム】東京湾でもやっぱり激効き!メタルマジックTGの「ウエイト選択」で広がる攻略の幅
東京湾エリアでは入手困難とも言われるほどに。
ブレードゲームって言えば…ていうほどの定番であり名作「メタルマジックTG」。
アクアウェーブ公式「メタルマジックTG」詳細ページはこちら
ブレードゲームを引っ張ってきたブレードジグの1つ、いや、元祖とも呼ばれているほど…。こちらはそんな「メタルマジックTG」を駆使して、東京湾ブレードゲームに挑む内容。上州屋スタッフの高橋昇さん&森上正浩さんにご協力いただいての実釣でしたが、正直中々のタフコン。そんな中でもお2人共に見事サワラをキャッチすることに成功。周辺の船はゼロ釣果もあった日でしたが、まさにマジックな釣れ具合。数少ないバイトを確実にものにした実釣でした。さて、今回は動画にも出演いただき、東京湾ブレードゲームが一大ブームになる前から、この釣りをされていた“高橋昇”さんに色々お話を伺うことに。聞いた内容を元にその日の様子もお伝えできればと思います。
いざ東京湾!
今回乗船したのは、その高橋さんがブレードゲーム黎明期から数多くのテストを繰り返してきたガイド船「GOGOガイドサービス」。操船する笠原亮也キャプテンもまた「メタルマジックTG」によるブレードゲームに精通する1人。
余談ですが「メタルマジックTG」には各地の船長監修のオリジナルカラーがあり、笠原キャプテン監修のカラー名は「GOGOアンブレラプレーリー」。GOGOは当然ゴーゴーガイドサービス。そして、アンブレラ=かさ(つまり笠)、プレーリー=北米の大草原(つまり原)で笠原という笑。
メタルマジックTGの特長
当日の模様をお伝えさせていただく前に、まずは簡単に「メタルマジックTG」本体の特長をおさらい…サワラに有効な理由を改めて。
TG=タングステン。同じ重量なら当然鉛と比較してもシルエットが小さくなる。意外にサワラはイワシなど小さなベイトを捕食していることが多く、実際に当日キャッチしたサワラも口から「メタルマジックTG」とドンピシャと言えるサイズのベイトを吐き出しました。
小さなタングステンボディということは抵抗が少ない。それはファストリトリーブではより速く巻けるし、1日を通して巻き続けるブレードゲームでは負担がホントに少ないのがフィジカル的にもアドバンテージ。ある程度キャストして広く探る方が効率的だが、その時の飛距離もバツグンな訳で。レンジやボトム到達も速く、手返しも良くなる。なぜ速く巻くことが重要なの?これについては後程。
そして真っすぐ進む。ファストリトリーブで巻くと、ボディ自体はほとんどブレずに一直線に手前へ向かってくる。正面から見ると△断面の「メタルマジックTG」。低重心設計が、その安定感をもたらす。
「ボディ自体が回転するというのは、それはそれでアリではあります。ただ、そうなると今度はラインのヨレにつながってくるのは懸念点ですね。また、ボディ自体が左右に振りながら泳ぐようだと抵抗になって直進性とスピードに欠ける。そのあたりのバランスが本当に優れているのがメタルマジックTGだと思います」と高橋さんはコメント。
そしてボディはほとんどブレずに高速で直進しながら、高回転のスイベルを介したブレードがフラッシングと撹拌でベイトライクにサワラへアピール。
つまり、「メタルマジックTG」はファストリトリーブで“小さなシルエットが高速で直進的に泳ぐ”ことになる。ブレードのアピールを伴いながら。
ここがキモ。海の中には青物やタチウオ、シーバスなどなど混生していることも当然ある。その際メチャクチャ速く動くものに最も好反応を見せ、追い付けるのはサワラだけ。だからサワラを選んで釣りやすい。また東京湾ではボトム付近で大型が釣りやすいことも多く、そうした意味では素早くボトムからも誘える「メタルマジックTG」は、大型サワラキラーともいえる。
上述の通り追尾させて食わせるのでサワラはリアからバイトする。この時にサワラが反転することで「メタルマジックTG」のボディが口から僅かに出て、強靭な太軸フック(20gのみダブルフック採用)がカンヌキに掛かる。
そのため鋭い歯が、リーダーに触れることなくガッチリ掛かってキープしやすい。これが例えばトレブル仕様のブレードジグであったりスローに巻いてしまうと、口の奥へ入ったり掛かったりしてルアーが飲み込まれて、リーダーに歯が触れてブレイクしやすいそう。フッキングの瞬間…ほんの刹那、ボディは口から出て強靭フックがカンヌキを捉えやすい設計になっているため、キャッチ率も高いという。直線的にダッシュしてベイトを追うのが得意なサワラに、これでもかってくらい適切な設計になっています。
メタルマジックTGをもっと楽しく使うために
では、高橋さんに聞いたワンポイントを順番に紹介。
何といってもブラインドのサワラを簡単に釣ることができるのが「メタルマジックTG」の魅力。基本的な釣り方はというと…。
高橋:東京湾の場合、まずは投げて、ボトムを取ってから、回収まで早巻き。ここからスタートしてみてください。上手に投げられないという方も、ムリする必要はありませんが、チョイ投げくらいでも構わないので、少しでも投げることで縦・横方向に広く探れます。
高橋:タングステンボディで抵抗も小さく、良く飛ぶルアーなので。当然バーチカルでも釣れないことはありませんが、広く全層を探れるようになると、さらに確率はアップすると思います。
高橋:それから、慣れてくるとボトムから回収まで早巻き…だけでなく、少しスピードに変化をつけてみるとか、1本獲ったらそのレンジを重点的に狙ってみる、あるいはボトムまで沈めずに狙ってみるというのも手です。ただ、まだ始めて間もない、初めての「メタルマジックTG」という方は、とりあえずボトムから探ってみることからスタートして良いと思いますし、それが最もバイトを引きだす基本にして王道だと思いますね。
高橋さんの一連の動作で気になったのが着水後から小まめにスプールに触れ、レンジ到達までの間のライン放出をコントロールしているように見えた点。これについて伺ってみると…。
高橋:これはテーリング、いわゆるエビを防ぐためです。“メタルマジックTGを使っていてテーリングする”という相談を受けることも多いですが、実はそうした方のほとんどは巻いている時にエビったということは少なくて。「メタルマジックTG」が海中に入った直後からエビになっているんです。
高橋:というのも、低重心ボディなので頭下がり・フックが上の状態で沈んでいきますよね? この時にラインとボディ・フックが並ぶようになり、フックがラインを拾ってしまうのです。そのため、僕は着水時に一瞬スプールを軽く抑えてラインの放出を制限する。そうすることでラインが張って「メタルマジックTG」はラインと離れ、絡むことは大幅になくなりますね。
高橋:また、狙いのレンジに落としていく時にも注意が必要です。良くロッドを上下にあおってラインを出している方を見かけますが、これが余計なスラックを作り過ぎちゃって、複雑な潮の日などはボトム着底が分からない、いつまでもラインが出ていく…ということにつながるんです。二枚潮など“なんか沈んでいかないな…”という時ほど、一旦ラインを張ってやる。張ったらまた出して落としてやる。こうすることでレンジをより正しく刻めますし、余計なスラックが出ないことで、海中でのテーリングなども防げます。もし、それでも狙いのレンジに到達しないならば、それは使用ウエイトを重くすればいいのです。
キモとなるリトリーブスピードですが、高橋さんのそれは確かに早巻きではある。早巻きではあるが、その中にも強弱があるような…。
高橋:そうですね。僕の場合は、もう一段階スピードを上げられる余力を持ったスピードから入ることが多いです。本当に早巻きがその日のヒットパターンなら、さらにスピードを上げられるギアをもうひとつ持っておくというか。基本はやっぱり早巻きなんです。けれど、その早巻きの中で強弱をつけるというかベースは早巻き。だけれどもその中に弱・中・強みたいなイメージで絞っていく。そしてそれは当日の現場に答えがあることが多い気がします。
加えてポイントだとおっしゃっていたのが、一生懸命に巻くあまり、ティップがブレていないかというトコロ。前途した通り基本的には直線的なダッシュに優れるサワラはルアーも当然直線的に泳ぐ方がミスバイトを減らせるし効率的。
高橋:ボクの場合はグリップエンドを体に当てるようなイメージで安定させて巻きます。脇に挟んでも良いですし、やり方は好みで良いのですが、とにかく真っすぐ直線的にスピードが出るよう巻くのがコツですね。ティップがブレて巻いているけどバタバタしていると、あまり良い結果は出ない気がしています。船長から移動しま~す、と言われて丁度イイ塩梅で力が抜けて高速回収している時のヒットってあると思います。それも余計な力が入らず真っすぐ回収してくるからなのかもしれませんね(笑)。
また、足元ピックアップ寸前まで巻き切ることも大事だと話す。
高橋:サワラは思った以上に追い掛けてきます。水深にもモチロンよりますが、スイッチが入った時はルアーを見失わない限りは水面付近まで…なんてことも。それから、船影からフッと出てくることもゼロじゃないんですよね。そのため、「メタルマジックTG」が遠い位置で水面付近まできてしまうのではなく、手前にくるに従いロッドを下げてコントロールしながら、足元までキッチリと探り切れるようにした方がイイですね!
使用ウエイト、偏っていませんか?
続いてその日の模様について。水深は25mほどで記者としては、なるほどなぁ~と思った点がありました。
高橋さんはそれまで40g以上をメインに使用していたところ、中層に帯状にうっすらベイト反応があるのを見て30gに。するとこれがドンピシャ。
スタートは定番のアプローチであるボトムから巻き上げで探っていましたが、答えは返ってこず。そもそもバイトも遠い1日。そこで帯状の中層ベイト反応、それを見て30gを投入した訳。
高橋:潮のヨレというか境目があって、魚探には中層にベイト反応がある。であればここを壁にしてサワラはベイトにバイトしてくるのではないかと。下から上へ狙ってくると仮定した時に、“さらに小さく速く動くモノ”は結構バイトトリガーになることがあるんですよね。そのために30gをセレクトしました。
高橋:この時はベイトのレンジ下まで落として高速でベイトの帯を通過していくイメージ。ベイトの下までは落とすというのも1つキーで、下から突き上げてくるサワラに一番最初に「メタルマジックTG」を気付かせる、そこからスピードを持ってリアクションを引き出す狙いですね。当然スピードで騙すこともあれば、少しでもシルエットを出すために、あえて重めを使用することもあります。例えば浅場で50gをあえて使う。あるいは潮が当て潮なのか払い出すかによっても、スゴくいい“巻き感”があったりします。この辺りは感覚的な部分になってしまうのですが、ウエイトと潮の流れがマッチしたような…。そんな時はヒットにつながることが多い印象です。大事なのは、やっぱりウエイトは揃っていた方がイイ! ということですね。そしてそれは、ただただ“沈めやすい”ウエイトということだけではなく、攻略の幅をもたらすために必要ということです。
30gもお忘れなく!
高橋:近年ブレードゲームがブームになり、基本は巻くだけのお手軽さでエントリーする方も随分増えた印象があります。それは本当に個人的にもうれしいこと。ただ、比較的潮が走りやすいフィールドも多いため、重めのウエイトだけを購入する方も多いのかなぁ~なんて印象も少し。
高橋:具体的にいうと、今回サワラをキャッチした30gですが、これはやはり持っていると組み立てに幅が出ます。モチロン軽すぎてレンジまで到達できないというなら話は別ですが、必ずや“持っていて良かった”と思うシーンもあると思いますので、釣行時には忍ばせておくとよいかと思います。
高橋:また、カラーもかなり豊富な「メタルマジックTG」ですが、ゴールド系・シルバー系・UVありorなしと違う系統をいくつか持っておき、当日偏りが見られるなら合わせれば良いですし、仲間と何人かで釣行していてバイトがないなら、互いに違う系統を使って絞り込むのも大事かと思います。
まずは気軽に始めてみよう
最後に高橋さんはこんな話を…。
高橋:とはいえ「メタルマジックTG」のブレードゲームは、まずは巻くだけ! 例え跳ねが見えなくても、そこにベイトが居れば、潮目があればサワラはいる可能性はあります。そこに落として巻いてみるだけで釣れる可能性がある「メタルマジックTG」はエントリーが実に気軽。まずは実際に試してみて、その中から色々と考えるのが楽しい釣りともいえるのではないでしょうか。
今回は高橋昇さんに聞いたワンポイントアドバイスを中心に、ロケ時の模様もお伝えしました。実釣動画と併せてご覧いただくと、より理解しやすいかなと…。
そちらの方もぜひチェックしてみてくださいね!