今江克隆のルアーニュースクラブR「バス釣りの神様からの試練〜TOP50最終戦・遠賀川レポート〜」の巻 第1166回
最終戦初日
そして最終戦初日、ノーフィッシュを覚悟して25番フライトで最上流堰下へと向かうが、寒波の影響でさすがに誰も先行者はいなかった。
予定通り朝イチははずしたが、水温がわずかに上がり始めた9時半ごろ、明確なバイトで仕留めたバスは痩せていたが1,180gの値千金のキッカー。
そして、ラスト1時間で再びあきらかにデカいバスを掛けるが、ドリフトさせていたラインが鉄の矢板を巻いており、奇跡的に鉄板をかわせたものの、その後のジャンプでラインブレイク。
この1本があれば2,500gはあり、初日上位確定だっただけに無念だった。
結果、上位が思った以上に釣れており、予選初日は1尾26位スタート、2日目次第では予選通過に黄信号が付いた。

予選初日、「ジャバロン」の堰下ドリフトジャークで釣った痩せていたが値千金の50㎝クラス。この1尾だけで26位。6lbをブチ切ったもう一本が悔やまれる
予選2日目
そして、予選2日目もジャバロン勝負。
しかし、晴れあがり無風になった2日目は、さらにバイトはなくなった。
水温が上がり始めてもバイトがない。
そこで練習中、唯一キーパー2匹を釣っていた「リグラー5.5インチ」を「ジャバロン」で狙っていたスポットにベイトフィネスで投げ、岩に引っ掛けハズした後に水面近くまでシェイクリフトし、そこからカーブフォールでドリフトさせてみた。
これが奏功し、すぐにキロアップ、続けて岸際のカバーに吊るしで700g、ラスト1時間前、沖の岩瀬をハングオフスイミング&ドリフトで1,500gを仕留め、3,200gを超えた。

最上流堰下エリアでネバり切った2日目、「ジャバロン」から気分転換に投げた「リグラー」のスイミングにきた1本が、この日の鍵になった
「リグラー」を使った理由は、今年の霞ヶ浦での練習では好調だったこと、何より形状的にスイミングで水を推すパワーがストレート系よりあきらかに強いため、泳がせている時に濁った水の中でもバスに気付かせられることができるためだ。

予選2日目ラスト、「リグラー」のスイミングにきた1,500g。「リグラー5.5インチ」は、霞ヶ浦の練習でよく釣れた記憶をもとに遠賀川で使ったのが奏功した
剥き出しのマス針を使っても形状的にとてもカバーに強く、根掛かりも少ないことが自分向きなのだ。

霞ケ浦でよい手ごたえを得て以来、ベイトネコで気に入って使っている青木哲デザインの「リグラー5.5インチ」。スイミングでの水押しの強さとややこしいカバーでもトラブルがとても少ないので気に入っている
この自分好みのベイトネコリグ「リグラー」のバックアップが効いて予選2日目は5位、イッキに順位を上げ、総重量10位で決勝進出決め、自力残留どころか表彰台までが見えてきた。

予選2日目3本で3,200gを超え、単日5位。26位から10位にジャンプアップし決勝進出、表彰台も十分狙える位置までマクりあげた
決勝
しかし最終日決勝、3日間にわたって水温の低い最上流の流れのワンスポットでネバり切るのは、刺し場となりやすい春とは違い限界があることは気づいていた。
決勝は、会場移動による初日のリリースエリアが解禁となり、そのエリアを狙う選択肢もあったが、結局、最後まで自分のスタイルを貫くことにした。
最後の最後まで「ジャバロン」と「ジャバロンスーパーリアル」を投げ続けたがノーバイト、「リグラー」での1本700gに終わった。

決勝朝イチ、狙い通りに「リグラー」で700gを仕留めることに成功。表彰台を狙って全時間を「ジャバロン」と「リグラー」で攻め続けたがTOP50の表彰台は甘くはなかっ た
だが、決勝はトップウェイトを出した梶原智寛プロが3,100gをただ一人持ち込んだ以外はロースコア戦となり、「リグラー」でのキーパー一本は、結果的に値千金の1匹となり、自分の最終順位は変わらず10位入賞となった。

決勝は「リグラー5.5インチ」ベイトフィネスで絞り出した1本のみ。両手持ちは叶わなかったが、この1本で総合順位はキープすることができた

これが奇才、青木哲プロ・デザインのネコリグワーム「リグラー5.5インチ」。見るからにキモイいが、ネコ職人な青木氏の工夫が各所に詰まっている
年間ランキング24位
そして、最終年間ランキングは24位でフィニッシュ。
平凡な順位だが、一時は39年のトーナメント人生で初めて心折れてしまう寸前だったドン底から、自分らしい、自分の大好きなアナログスタイルを最後に貫いて奇跡的ともいえる自力残留できたことは、正直、うれしかった。
死地に立って初めて、バス釣りの神様はまだまだ引退は早い、まだ表彰台獲得もできるし、最高齢優勝も続ければできると教えてくれたように思う。
そしてこの最終戦、自分とは比べ物にならない死地に立ってなお、前に踏むこむ若者の勇気の凄さを目の当たりにする出来事があった。
熾烈な三つ巴となったTOP50年間チャンピオン争い、その予選2日目1本800gで予選21位となり完全に脱落したかに見えた梶原智寛プロの決勝。
彼は、最後の最後にただ一人決勝トップウェイトとなる4尾3kgオーバーを持ち込んで7位にジャンプアップ、2ポイント差で奇跡の大逆転TOP50AOYを獲得した。

予選21位から驚異のネバりで7位入賞、わずか2ポイント差で大逆転AOYを獲得した梶原プロ。アナログとデジタルの二刀流、さらに参戦2年目でのTop50チャンピオン獲得は前人未到だ
たまたま応援に来ていた彼のご両親に一緒に写真を撮ってほしいといわれた時に聞いたのだが、彼は決勝4匹のうち3匹をまさかの「ステルススイマー160」で釣っていたのだ。

最近、試合後に自分よりはるかに強い若手プロ達と記念撮影を、ご両親からリクエストされる機会が増えた。昔は〝ごくつぶし”といわれたバスプロ業も、家族が若手選手を応援してくれる環境になったことは素晴らしいことだ
ライブスコープ全盛期の今の時代に、最後の最後にTOP50チャンピオンを決めたルアーがドシャローのスイムベイトだったことに、まだまだトーナメントには夢があると思った。
最初は耳を疑ったが、自分が一番大好きで大得意とする「ステルススイマー」が、まさか遠賀川であったとは夢にも思わなかった。

死地に活路を求めた梶原プロが決勝でトップウェイトをだしたのは「ステルススイマー160」だった。「ジャバロン」までは気付けたが、まさか自分の十八番「ステルススイマー」が遠賀川であるとは思わなかった
梶原プロは、昔から地元、遠賀川で「ステルススイマー」でかなり釣っていたそうだ。
予選終了時、完全に死地に立った梶原プロが、ルアーの力を信じて激シャローを攻め切った勇気とアグレッシブなスタイルにバス釣りの女神様は微笑んだのだろう。
まぁ……スポンサー以外のルアーを堂々と使ってくれて、正直に話してくれる人柄にはもっと感服したけどね笑。

来年は、今江克隆還暦60周年、㈱イマカツ20周年、そしてJB参戦40周年、赤いチャンチャンコのトーナメントシャツで超全力で挑みます