今江克隆のルアーニュースクラブR「19年間、スレきらずに釣れ続けるワーム!その理由とは?〜『ジャバロン』シリーズの核心に迫る〜」の巻 第1163回
ジャバロンスーパーリアル
そして2023年以降、「ジャバロン140」に続いて大復活を確信しているのが、17年前にリリースされた「ジャバロンスーパーリアル(SR)」シリーズだ。
この「ジャバロンスーパーリアル」の大復活も、時代の変化が大きく影響している。
この「ジャバロンスーパーリアル」シリーズ、と「ジャバロン」との明確な違いは「ジャバロンスーパーリアル110」、「同140」には「蛇腹ロック」が付いており、そのままでは「ジャバロン」特有のアクションは一切しないのである。
ここが「ジャバロンスーパーリアル」シリーズが17年前、イマイチ人気を得られなかった最大の理由だろう。
元々、「ジャバロンスーパーリアル」を開発した本当の動機は、まだほとんど理解されていなかった「ジャバロンテキサスのシヴァーリグ」を強化した「テキサスでの爆速巻き」を強化するためだ。
しかし、当時はワームの最新テクニックとして「水面i字系」が注目されだした元年でもあり、「ジャバロンスーパーリアル」は欲張って、i字水面対応も、爆速巻き対応も、ウネウネスロー対応もできる「お得で芸達者なリアルジャバロン」という、なんとも中途半端かつ難解な仕様になったことが、広く理解されなかった大きな原因になったように今は思う。
だが、結果的にこの「お得仕様」は、17年たった今、JB津風呂湖シリーズでi字引きセッティングとして表彰台を獲得したり、蛇腹を任意に解除することでTOP50桧原湖で表彰台を獲得する原動力となったりするから皮肉なものである。
使い分け
明確にいっておこう。「ジャバロン(オリジナル)」と「ジャバロンスーパーリアル」の明確な使い分けは「スピードの違い」にある。
「ジャバロン」は、デッドスローでの自発的、それこそ放置に近い速度でも勝手にうごめく生命感こそが最大の武器であり、その喰わせる能力はよりスローで発揮される。
一方で「ジャバロンスーパーリアル」は、ジャバテキの「爆速シヴァーリグ」で発覚した「ジャバロン」のもう一つの能力が、速度を上げることで発生する「逃走痙攣(けいれん)波動」による「スピードによる強制スイッチ入れ効果」であり、その能力はハイスピードでこそ強烈に発揮される。
スピードのある状態では視覚的な錯覚効果もまた高いため、「ジャバロンスーパーリアル」には、当時まだ珍しかった3DRの走りともいえるスーパーリアルペイントを施したのである。
復活した最大の理由
「ジャバロンスーパーリアル」が大復活した最大の理由はもう一つある。
それはリグの進化だ。
当時はまだ優れたバランスのウェイテッドフックは存在せず、ゲーリーヤマモトの「スゴイフック」に通す鉛板に穴が開いたグライダーシンカー(鉛)があったぐらいで、基本はテキサスリグでの速巻きが基本だった。
だが、テキサスリグだと高速で巻くと「ジャバロンスーパーリアル」が横を向いてしまい、見た目がとても悪く、それで十分釣れるのだが気分が乗れない人がほとんどだった。
だが、2023年、ケイテックの希少な大型フックジグヘッドを使ったネイルアシストリグ、これまた隠れた逸品「ダイレクトショット」によるフックスルーリグの発見、さらに超絶入手困難だったがダイワのウェイテッドフック「STEEZ ウェイテッドフックSS」(唯一のTGエコ仕様、さらに5g、7gがある)の発見によって、「ジャバロンスーパーリアル」は完璧なるスピードセッティングを17年掛かって完成、確固たる定番リグとしての地位を築きはじめた。
そしてその威力は、先のTOP50桧原湖戦において、17年前のワームが究極のプレッシャー下といえる現代最高カテゴリーでも十分に通用することを証明できた。
時代の進化、釣法の進化とともに秘められた才能が再び覚醒しはじめた「ジャバロン」ブラザース、次は、素材の進化によるさらなる覚醒もすでにはじまっている。