「NZクローラー」。
それは、渡部圭一郎氏が元々ハンドメイドで作っていたルアーを量産化、フラットワイドボディが特長でもある唯一無二のビッグローラーベイト。
現在は全長134mmのオリジナルに、遅れること2年あまりで登場した96mmのNZクローラーJr.がラインナップ。
そして2023年、Jr.よりさらに一回り小さい「タイニーNZクローラー」が登場。今回、渡部圭一郎氏本人にその製作意図などを伺うことができた。
渡部圭一郎(Watanabe Keiichiro) プロフィール
さらに小さいサイズを自分で作って使っていた
そもそもオリジナルやJr.は、ホームの桧原湖で“ラージ”を狙うべく作ったルアーで、もちろん桧原湖にとどまらず全国での実績も広く周知。
オリジナルはそのアピール力で、そしてJr.はアピール力に加えセレクティブな状況でも使い切れるそのサイズ感が持ち味。それだけで十分ゲームとして成り立ちそう、というより実際成り立ってきたという事実がある中で、なぜさらに小さいタイニーが必要であったのか。
「オリジナルやJr.でラージを狙っていると、どうしても“スモール”がアタックしてくる。その魚を釣るためにさらに小さいサイズが必要だった。」
それがキッカケといえばキッカケ。今から遡ること2年前、さらに小さいクローラーベイトを製作し実際に数多くのスモールを手中にしてきた。
さらに、より小さくなったことでオリジナルやJr.にはないシチュエーションにも対応できるようになったという。それが「虫パターン」。シルエットが小さくなったことでより虫っぽくなり、桧原湖ならではのベイト「ハルゼミ」などの演出が可能になったと。
ただし、全長75mm、1/2ozというそのサイズは、何もハルゼミに合わせたサイズという訳ではない。
いわく、ハルゼミをはじめとする“虫”をメインに捕食しているバスは、結論どこまで小さくしても食う。例えば身近なフィールドで、何を捕食しているかわからないようなボイルがあるときは、得てしてその姿さえ確認できないような小さい虫を食っていたりする。あるいは空を飛ぶトンボの影に反応してボイルすることも。つまり、上から落ちてくる虫に過敏に反応しているような状況では、ルアーサイズをどこまで小さくしても食う…ということ。
小さくなればなるほど、現代のセレクティブな状況にも対応でき、そのアドバンテージは大きい。
一方でタックルの問題がある。小さくなればなるほど使い切れるタックルは選ぶ訳で、不意の大物が来た時に対処できなくなる。結果、設定したのは“ベイトタックルで快適に投げられるギリギリのサイズ”。それこそが全長75mm、1/2ozというサイズで、いわば最大公約数なのである。