今江克隆のルアーニュースクラブR「バスをおびきだす能力がMAX! ジャイアントスイムベイト『レイジースイマー9インチ』、いよいよ登場」の巻 第1147回
ここ数年のコロナ禍は、ご多分にもれずバス業界も製品開発製造に大きな影響を与えることになった。
特に海外生産がほとんどのソフトベイト、ワイヤーベイト関連の納期遅れはコロナ禍に加え様々な国家政策的要因も重なり、発注から納品まで1年以上の遅れもザラなほどの苦境に立たされることになった。
イマカツは幸いにもプラグ関係は全て国内生産で、さらに「BKK」とのプロ契約のおかげもあって開発生産の遅れは最小限に留まっているが、本当にソフトベイトの異常な納期遅れには新規海外生産拠点へのシフトなどでようやく正常な納期メドがたってきたところである。
そんな記憶喪失になりそうなほどの生産遅れの中でも、今江的に待ちに待った超大物が21年8月の最終版完成から実に1年9ヶ月の時をへて、ついにGW明け、日本上陸を果たし“そうだ”。
その超大物こそが、すでに超人気で入手困難を極まる「レイジースイマー6インチ」のマグナム版「レイジー9(ナイン)」こと、「レイジースイマー9インチ」である。
レイジースイマー9インチ
「レイジースイマー9インチ」は、サスペンドセッティングで180g前後のおよそジャイアントベイトに属するスイムベイトだが、その釣獲力、同時に見えない大型のバスを目視できる範囲におびきだす能力は、まさにクラス最強、いやスイムベイト最強といっても過言ではない最終兵器的存在である。
21年6月、初の池原ダムテストでは開始わずか数投でアフターのロクマル越えをキャッチし、21年のTOP50トーナメント最終戦弥栄湖では、直前練習時、「レイジー9」で2kgクラスのバスの隠れ家である岩盤大岩を何ヶ所も確認し、本番は「メタルクロー(スピン)」の直撃リアクションで仕留める戦略が見事にハマり表彰台を獲得した。
本来は22年の春にリリースを予定しており、ココ(ルアーニュースクラブR)でも幾度もその能力に関しては記事にしているが、そのたびに納期遅れが発生し、旬を逃したうえに、まさに幻のプロモーション記事になってしまいとても悔しい思いをしたスイムベイトでもある。
ハドルトラウトを完全日本化!
「レイジー9」の最大の特徴は、「ハドルトラウト8インチ」を超える超絶デッドスロー能力、集魚力はもとより、JB/NBCではエコルール上使用できない「ハドルトラウト8インチ」の泣き所を克服し、完全日本仕様にインスパイアしたことだ。
もともと自分自身がハドルテールの生みの親、ケン・ハドルストンをリスペクトし、あまりも「ハドルトラウト」が好きすぎて、特に特許もないのにハドルテールの使用許諾を直接本人に依頼したほどの信者だったことは周知の事実だろう。
それゆえに池原ダム七色ダムの取材ではもちろん、メキシコのレイク・バカラックにて「ハドルトラウト8インチ」で飽きるほどロクマルを釣りまくった経験……初のワールドシリーズ七色ダム戦では2日連続で65cmクラスをバラしてしまった苦い経験……それらの経験から「ハドルトラウト8インチ」を日本の様々なフィールド状況、バスの習性、外部内部素材も全てJB/NBCエコルールに完璧にマッチさせた仕様へと最大限に進化工夫させたモノである。
フローティング仕様でサスペンド〜シンキングに調整可能
その「レイジースイマー9インチ」の工夫というのが、まずは完璧なフローティング仕様で、任意のウエイトを加えることでほぼ完璧なサスペンド~シンキングに自在に調整できる点にある。
「ハドルトラウト」の腹部には鉛とワイヤー、コアの影響でネイルシンカーを多数刺すことがとても難しく、刺してもシンカーが腹部内で移動するため、サスペンド調整が極めて難しい。
というか、もともとフローティングが日本特注仕様でしか存在しなかったために、サスペンドさせること自体が不可能だった。
その点「レイジー9」はコア、ワイヤー、ウェイトの配置を工夫することで、より均等に広範囲に好きな位置にネイルシンカーや、5〜9gのナス型ダウンショットシンカー(デルタシンカー等)まで挿入できるスペースを確保している。
発砲コア入りの大型ソフトベイトなのでどうしても個体差があるが、ツーフック仕様で約4〜9gのシンカー挿入でサスペンドし、姿勢も好みに設定できるよう浮力に余裕をもって設計している。
フックセッティング
そして、背中のシングルフックと腹に1個のトリプルフックでは、バスのサイズが50cm以下だと、どうしても掛りが悪いことから、オプションで腹部にアシストフックとして使えるツーフックハンガー仕様になっている。
リアは、メインフックが掛かった後のアシストとして掛かることがほとんどなのだが、これがあるとないとではバラす率は激減する。
ペッタンキャストが苦手な人は、キャスト時にテールがたわんでリアフックに絡みやすいので、リアは尻ビレに隠れやすい#1〜1/0サイズがオススメだ。
そして「レイジー9」独特の工夫が、ボトムや岩、スタンプ、レイダウンなどに「レイジー9」を置いて誘う「止まり木殺法」や「ボトムジャーク」に対応するサイドフックの装着が可能になった点である。
昔は「ハドルトラウト8インチ」の浮力コアにドリルで穴を開けて自作してみたが、着水の衝撃ですぐに抜けてしまったり、さらには内部に水がしみてコアがグズグズになったりしまったりと、かなり悩んだ経験があった。
そのため外側からは見えないが「レイジー9」の浮力体コアには、「バッファローホーンフック」や「スコーピオンフック」等のサイドフックホルダーワイヤーを差し込むための穴が成型段階で開いている。
ただ、それでもサイドフックの差し込みワイヤーだけでは重量のある「レイジースイマー」の着水衝撃でズレたりはずれたりするため、バスが掛かったフッキングパワー程度で切れるよう、やや弱めの木綿糸などをコアの穴に通し、サイドフックがボディを挟む形で左右固定できるように工夫してある。
デカいバスを釣って木綿糸が切れたら作り直しだが、ラバースレッダーと3~4lbラインがあれば、現場でもすぐに修復できて何度でも使える仕様である。
バッファローホーンフックの威力
実釣テスト段階では、トリプルフックを左右側面にセットする等、様々なサイドフック仕様の「レイジー9」を試したが、結論的には「とがったフックポイントが多ければ多いほどバスは警戒して逆に掛からない」というのが今江的回答で、できるだけシンプルなシングルの「バッファローホーンフック」仕様が、結局はバスの果敢なバイトになるという結論になった。
正直、デフォルトの背針もカットして、「バッファローホーンフック」だけで使った方が掛かるという逆の結論である。
今年、「バッファローホーンフック」の必要性に気付きはじめたアングラーがかなり増えてきたが、このサイドフックの強みは一度体験すると絶対に必要性を感じる局面が多々あることに気付くだろう。
ちなみに大型のWフックをはさんでも切れないように、背ビレにはさみ込み用の溝が設置されているのも小ネタなので、アシストWフックをメイン背針の後ろに付けてもバレ防止効果はあります。
「レイジー9」がハマるのは?
経験的に「レイジー9」が最強になるのは3月のプリ初期と6~7月のアフター回復期、そして11月のターン後の冬直前である。
順調に日本に付けば、早ければ5月末には市場デビューが予定されている「レイジースイマー9インチ」、おそらくこのテの複雑な構造の海外生産ソフトベイト系は、店頭入荷後すぐに再発注しても今年はこれが最後の可能性の方がはるかに高いので、店頭にあるうちに手に入れておいてください。