各地で水温も上昇し、アオリイカの釣果の期待も高まるシーズン。
大型のアオリイカが接岸する、エギングアングラーが最も心躍る季節がまさに今。春エギングと言えば、4号等の大型エギやシャロータイプなど、神経質な大型アオリイカを攻略するために多種多様なエギを投入する季節でもあります。
シャロータイプ=浅い場所だけじゃない。その隠されたメリットとは
今のタイミングはシャロータイプが年間でも最も使用される時期。
シャロータイプが支持される理由として、水深の浅い場所をじっくり攻められる以外に「よく釣れる」といった声があります。これからの春のアオリイカを攻略するために、今回改めてシャロータイプのメリット、デメリット、そしてあまり語られる事の無い隠されたメリットをご紹介します。
そもそもシャロータイプのエギとは?
3.5号を基準に説明すると、通常ノーマルタイプ=ベーシックタイプとしてリリースされているエギの沈下速度は、1m沈むのに要する時間が約3~3.5秒。対してシャロータイプは1m沈むのに4秒以上要するエギを指します。
メーカーによっては呼び方(シャロータイプ、スローシンキングタイプなど)や、1mあたりの沈下速度など様々ですが、概ね4秒以上/mの設定が最も多く、それよりゆっくりな7秒以上/mのものがスーパーシャロータイプ、スーパースローシンキングとされています。
エギングが流行り始めた頃、つまりシャロータイプが存在しなかった時代には、アングラーはシンカーをニッパーでカットしたり、バイスで穴を開けたり、シンカーを削って現場の水深に合わせて調整していました。その後、エギングの流行に伴ってシャロータイプの開発が進み、水深の浅い場所の攻略や、沖縄・九州南部離島のように鋭い形状の岩やリーフで形成されるシャロー帯の攻略を目的に生み出されました。
このシャロー・スーパーシャロータイプは、今や全国的に春エギングの必須アイテムです。その理由のひとつに、春のエギングポイントである“繁茂する藻場”の攻略があります。
春にアオリイカの好ポイントとなる藻場は、水面近くまで藻が立ち上がる場所も多く、ノーマルタイプのエギでは、その自重から藻に引っ掛かりやすい。さらに、高く伸びる藻場では水面と生い茂る藻の頂点までの高さが狭められ、イカにエギを抱かせるために必要な“十分なフォールの間”がとれません。
ゆっくりと沈むシャロー・スーパーシャロータイプであれば、自重の軽さとその沈下姿勢から、藻の中に飛び込みにくく藻の上に乗せる事もできます。また、水面近くまで立ち上がる海藻帯の狭められた水深でもしっかりとエギをアオリイカに見せることができ、今までノーマルタイプでは攻略し難かったスポットもストレスなく探る事ができます。
加えて、じっくりとスローにエギを見せる事で水潮や水温低下時等の渋い状況でもヒットに持ち込みやすいという点が一般的なシャロータイプのメリットですが、もちろんデメリットもあります。
シャロータイプのデメリット
シャロータイプのデメリットは何と言っても自重の軽さ。その軽さ故に、風があるとキャスト時に飛距離を稼ぐことが難しいです。また、軽い自重で沈下がゆっくりであるため、強風時に風の影響を受け引っ張られるPEラインによって沈下させ難くなります。
向かい風では飛距離が出ず、横風では大きく膨らんだラインに引かれ、ラインの弛みが作れない分、左右へのダートアクションもしにくくなり、エギがその軌道上を単調な動きで戻ってくるのみとなってしまいます。
また、沈下速度がノーマルのエギの倍近く要するということは、時合のチャンスタイムにキャストできる回数も半減します。さらに速い潮流の中ではなかなかエギを沈める事ができず、狙ったレンジまでエギを沈めるにはより時間を要します。
…ここまで挙げると、デメリットの方が多くない?と思われるかもしれませんが、このデメリットを補って余るほどの隠されたメリット、自重の軽いエギにしかできない事がシャロータイプのエギには存在します。
今回はここまで。次回、隠されたメリットとシャロータイプに存在するタイプとその使い分けをご紹介します。