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今江克隆のルアーニュースクラブR「他人の優勝を初めて100%うれしいと思えた理由〜23歳の挑戦!今江克隆と河野正彦〜」の巻 第1144回

連載:今江克隆のルアーニュースクラブR
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今江克隆のルアーニュースクラブR「今江克隆の後継者!? 運命の悪戯? TOP50七色ダム戦優勝者・河野正彦プロのバックステージを紹介」の巻 第1143回

(先週から続く)

河野(正彦プロ)が、今江克隆の、そしてイマカツの後継者に挑戦することを決意したことで、その後、何十年も繰り返してきた自分のルーティン行動にも大きな変化を伴うことになる。

TOP50練習時には常に同船させ、取材、テストにも同行、釣行がない時は準社員として、社会人経験が全くないに等しい河野に社会常識を学ばせるため自社工場に常勤させた。

同時にルアー、ワーム製作、CADのノウハウを学ばせる。

どんなに釣りが上手くても、トーナメントに強くても、日本ではそれだけでは人並みの人生すら全うすることができないのが現実だからだ。

今の日本において釣りの才能はバスプロとしての成功のあくまで基礎であり、全てではない。

河野が初めて工場で試作した「河野虫」。話にならないデキだったのでボツにしたが、その常識にとらわれない独創性には可能性を感じた。釣りだけでなく、ルアーを作りだす技術も日本のバスプロには絶対に必要だ

河野正彦の本質、本性

36年もの父親以上の年齢差ゆえに、ともに行動することでお互い色々なストレスもあったが、それゆえにポーカーフェイスな河野の“本性”をエグるには必要な時間だった。

河野の意志を受け、昨年第3戦からオールスター戦まで、河野とプリプラでは全日程を同船することになった。それは河野という若者の本質、本性を知るためでもあった

行動をともにしはじめた当初は、練習後、回転寿司に行っても「マジそれだけ?」(2000円以内)と思うほど最小限しか食べない小食……翌日の朝メシ昼メシを買いに立ち寄ったコンビニでは水とサラダ麺(ほぼ1,000円以内、ちなみに渡辺は余裕で5,000円以上)程度しか買わない……。

最近の若者はエライ小食なんやな……と思っていたが、それを河野なりの気遣い、遠慮と気づくまでに随分な時間がかかった。

霞ケ浦で鰻重を食べにいった時も、「人生で初めてのウナギです」と聞いた時、最初は下手なジョークにしか聞こえなかったが、本当だった。

河野は衣食住全てをガマンしても、釣りができることだけで十分満足できるヤツなのだ。

昨年、23歳にして初めて食べたという鰻重。冗談かと思ったら本当の話だった。釣りも含め、贅沢とは無縁の生活をしてきたようだ

よくわからない…図太い…

よく河野を評する声として、以前から「よく分からない」、「図太い」、「表情が3つぐらいしかない(ポーカーフェイス)」と聞いていたが、自分が感じた河野評は図太いとは少し違った。

河野には決して礼儀知らず、遠慮のなさといった図太さはない。

むしろ「マジかっ?」とコチラが驚くほどの気遣いをしている。

普通なら気を使い過ぎて、そこで疲れてしまってリタイアしてしまいそうなぐらいの気遣いだ。

だが、不思議と自分(恐らくたいていの若者が最も疲れるであろう最高峰的存在?)と朝から晩まで2人で過ごしても、河野にさほど疲れた様子は見られなかった。

そこが図太いといわれる所以なのかとも思ったが、自分にはこの若者は釣り以外のことには自然に鈍感になれるのだと感じていた。

今回の開幕戦でも練習時は河野と渡辺とコテージで3人暮らし。30年以上も歳の差がある自分や渡辺と同じ屋根の下で長期間、衣食住をともにすることは並の神経では持たないが、河野は平気だ

鈍感力

自分が河野に感じた最初の卓越した才能は、この「鈍感力」だった。

他のことに鈍感になれることで、最もやりたいことに超純粋になれる才能。

鈍感になれることで、たいていの人間が「苦」と感じることも平然とやり過ごせる力、プレッシャーをプレッシャーと感じないこの能力は、実はトーナメントプロとしても極めて重要な才能でもあるのだ。

プレッシャーに強いのか、それを感じないぐらい鈍感なのか? 慣れない単独取材でも成功率が100%に近いのが河野の特徴だ

河野は、恐らく無一文でアメリカに渡っても、釣りさえできれば苦もなく過ごせるタイプに思えた。

晩飯も遠慮なく喰えといえば遠慮なく食う、やれといえば黙々とやる。

だが、自ら道を切り開く権謀術数、処世術には長けていない、人一倍鈍感であり、人一倍不器用なのも、河野という若者なのだ。

よく図太い性格と評される河野。だが、その図太さは無神経とは真逆の気遣いと感謝の気持ちを持った「鈍感力」だと自分は感じている

どうしたいねん? 再びまさかの出来事が!

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