【リアルインプレッション】ZENON(ゼノン・スピニング)を3年以上みっちり使った結果
WEB連載:トモ清水のガッ釣りソルト第189回
【リアルインプレッション】ZENON(ゼノン・スピニング)を3年以上みっちり使った結果
こんにちは、トモ清水です。
今年の桜の開花は例年より早かったわけですが、やはり温暖化が進んでいることを実感します。一方海水温に目を向けると、過去30年の平均値と比べても明らかに上昇しているのが分かります。気温だけでなく当然のように下記の海水温も上がっているようです。
わたしたち釣り人は、漁師さんほどではないにしても常に現場にいること多いことから、それを肌で実感している方も多いのではないでしょうか。
専門家が指摘するように「魚種交代」は確実に起こっていて、北海道ではサンマの漁獲量が減り続け、従来の魚種が減り、元々少なかったブリ系の魚が増えたり。ほぼ居なかったとされるアオリイカが函館で狙えるようにまでなってからかなりの年月が経ちます。富山ではホタルイカの漁獲量が減り、スルメイカが増加。京都ではサワラの漁獲量が増えたり、ハタ系の生息域が北上していたり、と挙げれば切りがないほど、日本列島を囲む水域で「魚種交代」が起きています。
放流事業、漁獲量調整、各規制など、海水温以外の要因も含まれますが、釣り道具を開発する立場の私個人としても、その時代に応じて釣れる魚種や量も変わり、それに比例して求められる道具も変化していることを実感しています。
春を求めて三浦半島へ
さて春を探しに三浦半島(神奈川県)へメバル釣行へ。まずフィールドに着いてみると、海中が何だか騒がしい。捕食音と水面がざわついている。
まずはプラグから様子見。そのキャストしたミノーにスレなのか、食ってくるのかちょっと不明だが、ルアーにかかるくらいの大量のカタクチイワシが港内に入ってきていました。
ならば狙いのメバルは反応が良いか、と思えばそうでもなかったり。
プラグからガルプ!のサンドサーディンにチェンジし、スローテーパーのベイトフィネスロッドで、狙ったピンポイントにキャスト。
イメージ通りに食わせ、ウィードごと引きずり出してくるマイメバルゲーム。
魚が小さくとも、ワクワク、ドキドキを味わえるロッドって素敵だと思いませんか!? 1尾の魚の価値は道具やプロセスで十分に高められます。サイズや数じゃない、大人な遊びはそこにあるのかもしれません。
ボトムを攻めて愛しのガッシーにも遊んでもらい、春の夜釣りを満喫。
この日は、夜7時に干潮を迎える潮。メバルが釣れる条件とは真逆のタイミングで、やはりスロープなどシャローエリアは、潮が引いていると同時に魚影も薄く、やはりメバルのバイトも少ない日でした。
経験から満潮時にスロープなどのシャローエリアを攻めれば、トップなりミノーなり、捕食する気満々のやる気のある個体からヒットする傾向にあります。
ただこういった釣れない、渋い釣果の経験はとても重要で、何故釣れなかったのか「考える」ことが次につながります。
近道だけ求めず、「無駄だったななぁ」という遠回りもてみることも大事。結果としてそれは無駄ではなく、成功につながる遠回りとなることが多い、というのが私の少ない経験でも感じます。
「ZENON」3年使用レポート
さて今回も前置き長くなってしまい申し訳ないのですが、今回はAbuGarciaの最高峰リール「ZENON」を3年以上使って、実際どうなの?というレポートしていきたいと思います。
来月5月で、アブガルシアのスピニングの最高峰として発売され丸2年。
はじめてそのプロトタイプを触った時の衝撃は今でも鮮明で、その驚異的な軽さからくるインパクトはもちろん、超軽量なリールにありがちな「脆さ」を一切感じない、むしろ逆にただならぬ剛性感とその存在感、異彩を放っていました。
そんな最初のインプレッションをトモ清水的に抱いたわけですが、実際に3年使ってみてどうなのよ? というのが一番重要だったりするのがリールという機械的な道具。
周りから聞こえてくるのは「アブのスピニングって実際どうなの?」といった声はよく聞かれます。
そのお客様が実際にアブのスピニングリールを使ってみてユーザーになった声は、いったい最初に持っていたイメージと使ってみた後のイメージとは、どう違いがあったのか、そういった生の声もお届けしていきたいと思います。
ZENONは軽さだけではない!?
発売からもうすぐ2年経つのですが、自分はプロトタイプからロッドとリールのテストも兼ねて、現在に至るまで3年使ってきました。今なおバリバリの現役で、相棒としてなくてはならないリールの1つです。
ゼノン発売の1年前の2020年、AbuGarciaの究極のフィネスタックル「リアルフィネス」のさらなる軽量化された新たな世界を創造するために、ロッド「リアルフィネスPrototype」と「ZENON1000S」と合わせてテストを行っていました。
「ZENON1000S」の自重は驚異の142g。ロッド「リアルフィネスPrototype」もAbuGarcia最軽量の27g。
リールとロッドを合わせても169gと、170gを下回る軽さを打ち出しました。
軽さが前面にくると、その反対側にある「強度」「耐久性」が一般的には気になるハズ。いくら軽くても、すぐ壊れたり、折れたりするのは道具としては価値がないからです。今回は半年、1年使っただけでは決して分からない3年使ってみての結果がある程度の証明をしてくれるはずだと考えましたので、今回はその結果をレポートしてみたいと思います。
ZENON(ゼノン)を3年以上使った結果!?
自分は開発者という立場なので、リールやロッドの扱い方は、あえて意図的にラフに使うようにしています。もちろん道具は丁寧に大切に使うことに越したことはないのですが、過酷なフィールドテストを前提とした時、ラフに扱っても壊れない、折れない、快適に使い続けられるか、という点を確認していく必要があります。
こちらが実際に3年アジングやメバリング、トラウトやバスなどに使用した「ZENON1000S」のマイタックル。
まず一番重要なのが、ハンドルの巻き心地。これが初期と変わったかどうか? やはり共に戦ってきた「ZENON」。外装は所々傷がついています。
しかし、これまで内部までダメージを負ってメーカー修理に出さなければならないことにはならなかったという事実。心臓部にあるメインギアは、私に関しては無傷でした。
結論を言いますと初期性能と「変わっていない」。細かい傷はついたりしているので全く変わっていないか、と言われると嘘になるかもしれませんが、使用感に関してはほぼ変わっていないと言えるでしょう。
開発者は取り扱い上の外部の傷を想定し設計しているため、例えばスプール、ベール等々の多少の傷は使用上、問題はありません。
ただしアドバイスとしてスピニングリールを地面に置く際、リールが上に向くようにして、ハンドルノブが地面に接するように置く。この置き方は、スプールもベールも地面に当たらないません。
特に極細ラインを使う場合は、細かい傷といえどもスプールやベールの表面は保護したほうがよいでしょう。
これまで正直、アブガルシアのスピニングの性能は他社に遅れをとっていました。その進化する過程で、1年、2年と使用して、ハンドルの回転が悪くなったり、オーバーホールが必要だったり、開発陣の頭を悩ませていたのは確かです。
しかしその苦労からその短所をゼロから見直したリール開発者。心血注いで構造から部品、素材に至るまで驚異的なスピードで「改善」を繰り返してきました。
そのプロセスを隣で見ていましたが、正直言うとこの「ZENON」であっても「やはり2年以上使ってみないと本当のところは評価出来ない」と少し疑っていた部分もありました。
「こんなに肉抜きして大丈夫?」というくらいの軽量化された「ZENON」。しかし2年使ってみて、3年使い倒してみて、「ZENON」は軽いだけじゃない、最初の印象と全く同じ「強度」「剛性感」「耐久性」も備えたリールであることを確信。
でもこれはアジングやメバルなど、ソルトのライトゲームでの話し。ライトゲームでは「リールにそんなに負荷は掛からないよ」という声が聞こえてきそうですが、全くその通り。あくまでこれは1000番サイズでの話。
トモ清水的には、もちろん1000番サイズ以外にも2500番、3000番、そして4000番のサイズの「ZENON」も2年以上使ってきましたので、次項ではそのサイズ別の使い分けと、使ってみての結果をみていきましょう。
トモ清水的、ZENON各サイズの使い分け
(写真ウエイトはラインの重さを含んだもの)
一巻き65cmとローギアの1000S。その142gの驚異的な軽さを活かせるジャンルは、やはりアジングやメバリング、トラウトです。実際に私もソルトのライトゲームをメインにこのリールを愛用。まだまだ現役として長く使用出来そうです♪
「ZENON2500SH」の詳細ページはコチラ
2500番サイズでもアンダー150g、一巻き87cm。これはエギングをメインに使用しています。(写真はラインの重量含む)
他にもバチ抜けシーバスや、スーパーライトショアジギングにも最適。フレッシュウォーターでは渓流トラウト、ブラックバスにメインとなるサイズ。
軽いメンテナンスは必要でしたが、今なお致命的な不良はなし。
「ZENON3000MSH」の詳細ページはコチラ
ラインキャパにゆとりのあるMSH、自重163g。こちらは一巻き93cmと、ライトショアジギングやシーバス、フラットフィッシュなど、サーフエリア、大規模河川でメインとなるサイズ。
オフショアではボートシーバス、スーパーライトジギングなどに多用。多少のゴリ巻きもしてきましたが、こちらもまだまだ現役として使用。
「ZENON4000SH」の詳細ページはコチラ
ゼノンシリーズで最大サイズがこの4000番。このサイズでありながら170gとサイズを感じさせない軽さが魅力。一巻き100cmと、トモ清水的にはサワラキャスティングまたスーパーライトジギングなどライトオフショア全般で使用。ショアではライトショアジギングやサーフでのヒラメ、マゴチ狙いなどに多用。
個人的には、T字ハンドルよりラウンドノブを多用しています。
超高速回転が必要とされるサワラキャスティング。過酷な使い方でも「ZENON」は弱音を吐くことはありませんでした。ただ私も毎日出船し使用していたわけではないので、船長クラスの使用頻度では耐久性は少し不安が残るのも事実。
他の番手も1000番と同様、使用後の水洗い、オイルの注入などのライトメンテはしてきましたが、初期性能から大きく劣化していくことなく、性能を保ったまま現役で使用出来ています。
ただハードなジギングや、毎日出船するような船長クラスの頻度で使用する場合、劣化があるという声が聞こえますので、「ZENON」といえども完璧ではないのは理解したいポイント。
世の中に完璧といえるリール、ロッドは、まだ存在しないため開発は続いていきます。
ハイエンドの新製品リリースというのは、その地点での最高の到達点、すなわちこれ以上出来ないその時点での限界技術をもって世に送り出されるのです。
リールの性能や特性を理解した上で、使用すればこれほど快適で、釣りに集中出来るリールは少ない。長いスパンでの使用を考えた時、決して安い買い物ではないですが、その対価に見合う仕事を「ZENON」は果たしてくれます。
とどのつまり「釣り」という貴重な時間をより充実したものにするには、やはり「良い道具」「高性能なハイエンドタックル」というのは有益で、リールにしてもロッドにしても、その技術と性能で、主役である皆さまの釣り人生をキラキラしたものにするための一助としてお役に立てると、ここでお約束したいと思います。
ZENONを1年以上使ったお客様の生声
メーカーの看板を背負っているテスター、モニターではなく、一般のエンドユーザーさまの声として以下のフィードバックを頂いております。
・「ZENON」を使ってアブガルシアのリールのイメージが変わった!
・最近のアブのリール進化はすごいね!・本当にいい!気に入っている。
とネガティブな反応はほぼ聞かれません。「ZENON」の登場によって、アブガルシアのリールは、ひと前昔のスピニングリールとは全く変わった、というお客様の印象通り確固たるリールの地位を、ベイトキャスティングリールだけでなく、かつて苦戦していたスピニングリールにおいても築き上げた、といっても過言ではないと思います。
アブガルシアという伝統だけでなく、技術の革新も伴ってさらに進化し続けていくことがいちユーザーとしても楽しみです。
まとめ
「ZENON」と今年の新型リール「REVO SP BEAST」。
軽さ、操作性を求めるなら「ZENON」、さらに耐久性、強さを求めるなら「BEAST」。自身、適材適所で今年はこのリールを使い分けていく展開になりそう。
選べる選択の幅が広がったアブガルシアのスピニングリール。あなたの相棒として、どちらを選びますか?それとも使い分ける?
次回はベイトリール「ZENON “LTX”」と「“BEAST”」を1年使い倒した結果を報告今回はスピニングリールの「ZENON」をお伝えしてきましたが、次回はベイトリールの「ZENON」を1年以上使った途中経過を報告したいと思います!
ラスト、プチ新製品情報
アブガルシアのNEWプライヤー「Abu Grip Lock Fishing Pliers (アブ グリップロックフィッシングプライヤー)」!
「Abu Grip Lock Fishing Pliers (アブ グリップロックフィッシングプライヤー)」の詳細ページはコチラ
軽くて強い、そして軽く握ってワンタッチオープンの超便利グッズ。今年はこれが相棒になりそうです♪
トモ清水でした!
See you next time!