今江克隆のルアーニュースクラブR「ボトムと表層!どちらも狙えるイモグラブ系の最新進化形態『スキップドッグ』」の巻 第1141回
今週は、ここ数年、再注目されてきた「イモグラブ」系の最先端進化系の釣りについて今江的考察をしてみたいと思う。
イモグラブの元祖
もともと自分は、イモグラブの釣りは自分が元祖と自負できるほど自信と実績のある釣り方である。
もともと20代中盤に、田辺(哲男)さんとのTV番組バスプロマッチプレー選手権河口湖戦の前日、ゲーリー山本氏から直伝された「ティーズワーム」のテールカット釣法(のちに「カットテール」という稀代の名作となる原型)から、のちにその手法をゲーリーグラブに応用し始めてワールドシーズ(現TOP50)野尻湖戦で「フライングイモグラブ」と名付けてトーナメントで投入。
テールを取り去り、逆付けした「ゲーリー3インチグラブ」のバックスライドで桟橋を攻め、TVカメラを載せて表彰台を獲得したのがイモグラブのメジャーデビューである。
「ファットイカ」のボトムジャーク
この試合以降、イモグラブは爆発的人気となったが、その威力をさらに確固たるものにしたのが、遠賀川で開催されたジャパンスーパーバスクラシック戦だった。
この遠賀川戦で衝撃的な威力を発揮し、優勝にこそ一歩及ばなかったのだがクラシック表彰台を獲得したのが、またまたゲーリーの「ファットイカ」のノーシンカーリグでのガビガビリップラップでのボトムジャークだった。
ノーシンカーのドリフトバックスライドで頭角を現したイモグラブが、今度はロングキャストしてガビガビ根掛りまみれのリップラップ(旧河川床)をベタベタにはわせて喰わせる必殺技だった。
このイモグラブ、「ファットイカ」の威力は瞬く間に大流行となり、様々な高比重イモグラブ進化系のワームが登場し、一ジャンルとして一般に普及し定着した。
「カバースキャット」の衝撃!
そして2021年、再びデプスの「カバースキャット」の登場とともに琵琶湖で「ボトムジャーク」という新テクニックとともに大ブレイクしたことは記憶に新しいところだ。
この新たなイモグラブテクニックの登場によって、再びイモグラブのもつ新たなポテンシャルが証明されることになる。
ただ、このボトムジャークというテクニックは、何気に極めて異質な、独特の釣り方に裏打ちされている。
そのキモの核心は、ノーシンカーのイモグラブに違和感満載の20lbクラスの重いフロロラインを使うことにある。
スレたバスに対し、より細いラインを使うことは鉄則だが、このボトムジャークに関しては逆にオーバースペックともいえる太いフロロラインを使うことが鉄則になる。
その最大のキモは、より重く、沈みの早いラインを使い、ラインをべったりとボトムに敷いてから初めてショートジャークを展開する点にある。
重要なのは、イモグラブがジャークとともに上方向に飛び上がらないことで、ボトムをベタベタにはうように左右方向だけにスライドする動きを出すことに尽きる。
このアクションが釣れる最大の理由は、ラインが常にバスの目線の下、すなわちバスの腹の下にはうように敷かれていることである。
ラインを完璧にボトムに敷くことによって、ラインの存在を完璧にバスに気付かせないからこそ、ボトムのゴリが砂煙をあげて逃げたかのような自然な錯覚をバスに起こさせるのである。
ゆえにこのテクニックは、水深が深ければ深いほど極めて難易度が高くなる。
水深4mを超えるボトムにラインをべったり敷いて、ルアーを跳ね上がらせないようラインの重みでボトムをはうようにダートさせるには、ラインを完璧に沈み切らせる相当のガマンと忍耐が必要になる。
20lb以下のラインだとラインはなかなか沈み切らず、ジャークとともにルアーは上方向に跳ね上がり、ラインの存在にバスが気付いてしまうと効果は半減する。
20lbフロロでラインを敷くことの重要性
基本的にコンセプト自体は、遠賀川で自分が公開した「ファットイカ」のリップラップジャークと同じなのだが、当時は逆にルアーを岩陰から浮き上がらせてバスに発見させる釣り方だった。
また当時は、バスが今ほど徹底してラインを嫌うようなシビアな状態でもなかった。
ゆえに、この20lbフロロでラインを敷く新たなイモグラブ系の釣り方を最初に発見したプロアングラーには心底、感嘆とリスペクトを感じるほど、現代のスレた大型バスの習性と視覚の盲点を突いたテクニックだと思う。
ボトムジャーク+αの新イモグラブ「スキップドッグ」誕生へ