TICT × BIGHIP
2021年初夏、その決意をティクト土居氏にぶつけてみます。
みんなにこのプラグを使ってもらいたいこと。強度が足りなくて困っていること。メバルシーンを地方から盛り上げたいこと。それを実現するためにティクトと一緒にできないだろうか?そんな思いをゆっくり時間をかけて話し合った結果、「やるならば、さらにブラッシュアップして良いもの届けましょう」と言ってくださいました。そして2021冬に始まったビックヒップとティクトと共同開発。…裏には、実はそんなお話があったのです。
ティクトと共同開発するということは、ビッグヒップを全国仕様にブラッシュアップしなければいけません。となると、自分の目で各地のメバルフィールドを見に行く必要があります。各地の海でビックヒップを泳がせ、その感覚をルアーにフィードバックさせる。そのため2022年春からは、富山を飛び出し、北陸は石川、東北は宮城、岩手、四国は徳島、香川、関東は横浜とティクトアンバサダーや各地のアングラーさんを頼りに遠征します。
各地の海に翻弄されつつも、何とか結果に繋げられたのは、各地で応援してくれる仲間のサポートがあってこそ。本当に感謝しかありません。
しかし、順調に積み重なる釣果に反して進まない開発。遅れに遅れた末に上がってきたプロトは納得できるものとは程遠い仕上がりでした。原因はレジンとABSの比重の違い。そしてレジンの収縮率による誤差。経験の少ない僕らは、その修正の糸口が見えず、ついには開発がストップしてしまいます。
今だから話せますが、実はあまりの進まなさに、メンバーの気持ちがバラバラになりかけ、プロジェクトが分解寸前まで追い込まれました。
「自分たちが納得のいくビッグヒップをみんなに届けたい」その想いとは裏腹にまとまらない制作の方向性とメンタル。そんなプロジェクトのハンドリングを一手に担ってくれたのは、経験豊富なティクト土居氏。「焦らず根気よくいきましょう」その言葉に何度助けられたことか。そして、制作の方向性が決まった後は一気に開発が走り出します。
答えは魚に聞いてみる
制作の方向性としては、サンプルを手削りして修正箇所を特定すること。つまるところ「現場で修正して答えは魚に聞いていく」いう作戦に出ることにしました。それが2022年の年末の事。TICT×BIGHIPのプロト修正合宿の始まりです。
天候はまさかのの豪雪。こんな時にこんなに降らなくても…。まずは、雪の中にベースキャンプを作ってテントの中に電源や機材を持ち込み、削り込みができる環境を整えます。まず、僕がビックヒップのABSのサンプルを手で触り、水の流れを意識して削り込む箇所の指示を出します。それを本業が歯科技工士である米原充彦が左右対象に削り込みます。そしてでき上がったサンプルをすぐさま目の前の海でスイムチェック。それぞれが泳ぎに対して意見をぶつけ合います。
そうして、でき上がった数個のプロトサンプル。これで実釣の準備は完了です。
しかし、その日は魚からの反応は得られませんでした。そして翌日は昼の間にカラーマーカーでルアーをペイントし夜に備えます。降り続く雪、そのためポイントはさらに限られます。状況は全く変わらず、ポイントに移動するのも一苦労です。
そして追い込まれたタイムアップ寸前、最終ポイントで、その日一番の払い出しをビックヒップが見つけてくれました。着水すると感じる潮の重み。「くるぞ、くるぞ」そう思った瞬間にプラッギンシェイプのティップが引き込まれます。すぐにバットに重みが乗りきれいに竿が絞り込まれます。
「でかいよ」「ばれるなよ」
みんなに見守られながら、慎重に抜いた魚は29センチの白メバル。
「まだいるかも」と、もう一度同じ払い出しにビックヒップを送り込みます。
「食ったよ、やっぱり居た」
最後の最後で手にしたこの2匹のメバル。これこそが僕たちが望んだ答えだった。そこにいる誰もが笑顔、そう僕らはこの笑顔を全国のメバルアングラーに届けたくて、ここの集まったんだという事を再確認しました。
そして現在は、その手削りのデータを米原慎佑・草嶋でデータ化してる途中です。そして各地のアンバサダー達がビックヒップのカラーを考えてくれています。
徐々に前進み出したTICT×BIGHIP。まだまだ道半ばですが、なるべく早く皆様にお届けできるよう頑張っていきます。そしてこれからもビッグヒップのストーリーを楽しんでいただけたら嬉しく思います。
さて、ティクトメバルプラッギング4部作の最後は、プラグとワーム、フロートのローテーションなんかを実釣シーンを交えてご説明したいと思います。それではまた。