今江克隆のルアーニュースクラブR「革命的な新ガイド「ZIGZAGガイドシステム」を搭載!カレイド・セルペンティ『デルジェス』&『ガルネリウス』を紹介」の巻 第1136回
集中力の持続
今回のショーで展示された「デルジェス」&「ガルネリウス」の両機種のみが、この「ZIGZAGガイドシステム」を公式に釣り業界として初採用した2機種になる。
この「デルジェス(ジーザスの意、すなわち神)」と呼んでいるのが、2021年にTOP50に実戦投入し、自ら「神ロッド」として絶大な信頼を置いた「G-niusインクレディブルセンサー改」の今江チューン版である。
一昨年、コロナ禍に揺れた2021年は、今江的には尋常ではないほどフィネスに徹した1年であり、最後まで年間ランキング上位復活にこだわった戦い方をした年だった。
その1年のMVPともいえる存在だったのが「デルジェス」の母体となった「インクレディブルセンサー」だったのは、周知の事実だろう。
それほどこのロッドのフィネスにおける明確な感度の良さは、自分が苦手なスーパーフィネスな釣りの集中力を限界まで向上させてくれたことは間違いない。
「超軽いリグでも、超ディープでも、何をやっているかが極めて分かりやすいから集中力が続く」、「デルジェス」というロッドのメリットは「集中力の持続」、この一言に尽きる。
この経験と結果が「ZIGZAGガイドシステム」を持つ「デルジェス」&「ガルネリウス」をカレイドの守護神として、青木の手によって「エバーグリーン規格」で実現させることを決めた。
2年かかった理由
だが、その実現への道のりは「インクレディブルセンサー」というベースロッドがありながら、実現に2年もの時間がかかるほど、安易なものではなかった。
その理由は「エバーグリーン規格」のためだ。
「ZIGZAGガイドシステム」に関しても、ベストなZIGZAG角度に明確な基準を設けるがゆえに、極めて精巧なガイドセッティング技術が要求される。
さらに最も厳しいのが青木哲が擬似餌屋1店舗で販売する数量とはケタが違うため、20年基準のエバーグリーン規格では「品質のバラツキ」や「反(そ)り」、「破損強度試験」の検査が段違いに厳しくなる。
その一流企業の責任基準をクリアしてなお、ベース機種である「インクレディブルセンサー」の超軽量で羽根のような使用感を損なわない量産機が必要になるのだ。
何度も何度も試作を繰り返したが、「インクレディブルセンサー」とは全く違うベツモノになってはやり直しが、今年の1月まで延々と続いていたのである。
かつて「デジーノ・コブラ」をカーボンの質の違いから敢えて1機種だけ海外生産した折、結果的にエバーグリーン規格をクリアできた本数があまりにも少なく、ほとんど出荷できることなく生産を終了し幻の機種となってしまった二の舞になるのか……と、悩んだ2年間だった。
だからこの2年間、「デルジェス」の情報公開は胸を張って完成といえるまで、封印するほかなかったのである。
ブランク素材選びの重要性
「デルジェス」&「ガルネリウス」が、なぜ青木哲氏の手を借りてのエバーグリーン共同開発となったのか、その「ブランクス素材選択の重要性」は、またの機会に詳しく解説しようと思う。
なぜ「ZIGZAGガイドシステム」を他のカレイド、「ビースティンガーEXT」や「スパイダースピン」には採用しなかったのか?
その確信の理由も、実は素材の性格に大きく関係してくる。
高弾性カーボンは、中弾性や低弾性に比べると明らかに感度伝達力に優れる。
もうこれだけで勘の良い方は、なぜ「デルジェス」&「ガルネリウス」に「ZIGZAGガイド」を投入したのか、その必然性が理解できると思います。