エギ王Kが発売されて10年。
現在ヤマシタ公式Youtubeで公開中のエギ王K10周年記念特別企画のエギ王K開発ストーリーの中で、お伝えしきれなかったエピソード「抵抗値に着目するまで」を前回ご紹介させていただきました。
今回は後編となる「理想の抵抗値を求めて何度も作り続けたプロトタイプ~デビュー後の苦悩」をお伝えいたします。動画と併せてお楽しみください。
出典:YouTubeチャンネル「YAMASHITA Maria」
もっと“抵抗”がほしい
鋭いアクションを生み出すためのスリムな頭部の形状、ボディ全体が丸みを帯びるダート系エギが主流の時代に、エギ王Kはフォール時に水を掴む「抵抗値の高いエギ」=「安定性を追求したエギ」を目指し商品開発がスタートしました。
大分型の持つ形状の特色を強め、より抵抗を生むボディを目指し、プロトタイプのエギ王Kを投げてはデザイナーの基さんにフィードバックを繰り返す…というやりとりが幾度となく続きました。
「もっと抵抗が欲しい」
「まだ足りませんか?」
このやりとりは今でも鮮明に記憶しています。
当時のプロトタイプが残っていますが、このプロトタイプには現在のエギ王Kのアイコンとも言えるパーツ「ハイドロフィン」がありませんでした。
エギ王Kのボディが生み出す理想の抵抗値に加え、さらにエギの左右への振れを制御するハイドロフィン。
実はこのハイドロフィンについて私自身、最初は懐疑的な印象しかありませんでした。
少しでも海草やゴミをカンナが拾うとアオリイカの反応が鈍くなることはサイトフィッシングで何度も経験しており、テストの中でも反応が悪いとフィンが原因では…と、疑心暗鬼になることもしばしばありました。
加えて環境負荷を考慮して余儀なくされた「鉛製のシンカーから錫製のシンカーへの変更」。プロトタイプは鉛のシンカーであったため、シンカーの素材が錫へと変更となったことでアクションが大きく変わり、比重の変化がもたらすバランス調整には非常にデザイナーも苦労したと思います。
納得のいくアクションが出るまで、それこそ仕様決定直前まで投げては調整…といった作業が続きました。
日の目を見るも、市場の反応は
度重なるテストを重ねて、ようやく生まれたエギ王K。
しかし、開発の苦労とは裏腹に市場からの反応は冷たいものでした。
アクションが悪い。
抵抗値が高すぎてがシャクった時に肩に負荷がくる。
シャクリ重りがひどい。
エギ王LIVEがあれば必要ない。
上記のようなネガティブな意見も少なくなく、エギ王Q LIVEに比べたら販売状況も順風満帆とは言えませんでした。
しかし、実釣の中で感じたエギの抵抗値=安定性の高いフォールがもたらすイカを惹きつけるチカラは、絶対にアングラーは感じてくれるはずと信じ、販売不振から一時は生産を止めるという意見も出る中、2名のエギングマイスターは粘り強くプロモーション活動を継続しました。
時間は掛かりましたが、エギ王Kが良く釣れるという噂は徐々に広がりを見せ、各地で聞かれるようになりました。そして2018年にピンクの背中にケイムラボディのあのカラー「ムラムラチェリー」が登場し、エギ王Kは一躍人気エギへと押し上げられました。
ここからがYoutube動画の開発エピソードの中、「カラーの名称」の部分に繋がっていく訳です。
さて、2回に渡り動画でも公開されなかったエピソードをお伝えさせていただきました。エギ王Kを支持してくださる皆様には、本当に感謝しかありません。ありがとうございます。
これからも、エギングを楽しむ皆様の思い出に残る釣りのお手伝いができるように、新たな技術やアイデアを搭載したエギ王Kを見せできればと思います。