魚がいるのを前提としている。だからエントリーしやすい。けれど、釣果を伸ばそうと思えばそれはやっぱり奥深くて…。そんな釣りですよね。
ヴァルケインの代表・菊地栄一さんが、エリアトラウトについてそんな言葉をサラリとつむぐのだが、スッと腑に落ちるというか。同じ言葉でも含蓄が違う(笑)。
前回記事でもお伝えした通り、ヴァルケイン代表・菊地栄一さん&ヴァルケインプロスタッフ・赤羽根悟さんと滋賀・フィッシングパーク高島の泉を舞台に実釣取材。
菊地栄一さんの現場投入ルアー
さて、今回は「菊地栄一のターン」と題して(笑)、クーガディメンションシリーズをピックアップ。まずは現場で投入した「クーガディメンション」にどんな種類があるかを駆け足でまとめると…。
①クーガディメンションSF
②クーガディメンションSS
③クーガディメンションL F
④クーガディメンションL SS
Lは「ロング」を意味していて、ノーマルサイズのクーガディメンションにSFとSSがあり、ロングサイズにもFとSSがあることが分かる。いずれもフローティングとシンキングでボディサイズは同じで、アイに赤が入っているのがシンキングモデルとなります。
クーガディメンションSF/SS
その中から、この項ではノーマルサイズである「クーガディメンションSF」と「クーガディメンションSS」について、その特徴をまとめていきたい。まずはスペックを。
出典:ヴァルケイン公式
製品名 | 全長 | 重量 | タイプ | フック | リング | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|
クーガ ディメンション SF | 35mm | 2.3g | スローフローティング | ジャイロフックライド #6 | #00 | 本体価格¥1,550 / ¥1,705(税込) |
出典:ヴァルケイン公式
製品名 | 全長 | 重量 | タイプ | フック | リング | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|
クーガ ディメンション SS | 35mm | 2.4g | スローシンキング | ジャイロフックライド #6 | #00 | 本体価格¥1,550 / ¥1,705(税込) |
前提として「クーガ」といえば、ヴァルケインの代表作といえるミノーライクなクランクベイト。
出典:ヴァルケイン公式
エントリーアングラーでも巻くだけでバイトに持ち込んでくれる。それでいて速度の違いがアクションの違いも生み、多彩な表情を見せる玄人好みのクランクでもある。簡単にいえば、誰が使ってもよく釣れるし、エキスパートが使えばもっと釣れる(笑)。
そのクーガから派生し、「クーガFMR」シリーズ、「クーガナノ」シリーズ「クーガWW(ワイドウォーク)」と生まれ、そしてクーガディメンションへとつながる。
隙のない陣容に思えたクーガに、新たなディメンション=次元を…という想いがカタチになったわけだが、ではどんな役割をクーガディメンションは担うのか。
端的にいうと「ゆっくりでも強い」、それがクーガディメンションSF/SSの武器。
驚くべき低速での強波動
そもそもヴァルケインのクランクベイトは低速でもしっかりと泳ぐ。しかし、ディメンションはスローでもそのウォブリングの強さをしっかりと発揮する。つまりは低速でも強ウォブリング。
オリジナルのクーガも低速でもしっかりと泳ぐ。しかしスローになるにつれ、ロール要素を色濃くしていく。良し悪しではなくそれがクーガの特徴(魅力でもある)。ディメンションにおいては、スローでも強さを残したアクションなのです。
それを可能にしているのがアーチ型ボディ。絶妙なリップ形状と相まって、水をつかみしっかりテールを振りながら泳ぐ。
そうでありながらバランスが絶妙で、強いんだけれどお尻を振り過ぎて速度によって動きを破綻させることがないのです。
ちなみに、個人的に驚いたのがロッドティップに伝わる振動。菊地さんが用いたロッドはダーインスレイヴオーバーブレイズ6’2ML-HS で、スローに巻いてもティップがプルプルと明確。スローになって動きが弱くなると、やっぱり存在感って感じにくくなると思うのですが、バイブレーション的というか、もうシンプルに「メチャクチャ分かりやすいじゃんコレ」って驚きました。
クーガの後に投入せよ
続いて、投入すべきタイミング。
基本的には、エリアフィッシングでは最初はスピーディーな展開、徐々にスローアプローチが効果的になっていく。そのスローな展開になった時、ここがクーガディメンションの出しどころ。
もっと具体的にいうならば、クーガである程度の魚を釣った後。
スローにしなければ釣りにくい、けれどもアクション自体も弱くなるとスローな展開の中でスイッチを入れる魚を寄せる部分で不足を感じていたという菊地さん。簡単にいえばスローでも強いウォブリングを出せればもっとバイトを引き出せるのではないかと思い、ディメンションは誕生したそうだ。
そして、この低速でも強いウォブリングはSF・SSともに同様。「浮く」と「沈む」で、その強さが変わらないのは、実際に使うアングラーにとってはうれしいところでは?
その中でSFとSSがあるが、同じようにスローで強ウォブリングを出せる両者ながら「ゆっくり浮く」SFより、さらにもう少しスローな展開やレンジが下の時にはSSと思っていただければ基本的にはOK。レンジとしてはSFが60cmくらいまで、SSはもう20cmほどを射程圏とするそうだ。
スローな展開の中でSFでさらにサーチしながら、的確なレンジがつかめたらカウントダウンからさらにタイトにSSでアプローチする。
とはいえ、菊地さんにハッとさせられたのが「決め打ちをしない」という言葉。その日その時、フィールドの状況でもホントにわずかな差が釣果を分ける時があるという。だから「前回こうだったから…」というエース的なルアーや固定パターンを決めない方がイイと言う。
それは様々なルアーの特性やカラー、アプローチの速度の中から「今この状況なら、このルアーの、この通し方」と現場で見つけるものだという。
ゆえにヴァルケインの各種ルアーにはしっかりと役割がある。それはこの後にご紹介したいクーガディメンションLにもいえることで。
ということで、次回はロングサイズであるクーガディメンションLの特徴と、では実際にディメンション&ディメンションL(ロング)でどうアプローチを組み立てるか、そんなところをお伝えしたいと思いますのでお楽しみに。