年が明け2023年。本格始動を迎える新進気鋭のバスタックルメーカーが「GRASSROOTS(グラスルーツ)」。
少し前に、グラスルーツがどんなコンセプトでモノ作りを行っていくのか、そんなところをお伝えした。
自分たちが納得できる妥協のない作品を生み、それが永く愛されるものでありたい。そうした同じ志を持った4人がグラスルーツの立ち上げメンバーとなっているのだが、記念すべき第一弾作品はグライドベイト、「グランドエッジ190SF」だ。
グラスルーツ・ルアーデザイナーの井佐知之さんが手がけるグランドエッジ190SF、どんなルアーなのか。早速、ご本人に聞いてみた。
グランドエッジ190SF
2023年春の登場を予定しているグランドエッジ190SF。
直訳すると〝大いなる刃〟となるそうだが、美しい造形とひときわ特徴的なエッジを立てたスリットが目を引く。
細かな部分の前に、まずは現時点で分かっているスペック的なところから先に述べておこう。
全長190mm、2オンスクラスで、SF=スローフローティング。価格やカラー展開は現在のところ未定で、5月の発売を予定しているという。
意のままに操れる操作性
中央付近にジョイント部を設け、特徴的なエッジの立ったスリットに目を奪われがちだが、当然奇をてらってのことではない。
「すべてのディテールにバスを釣るための意味があって、必要な部分は設けて不要なものは極力排除していく、その結果として全体的にはシンプルにまとまって美しい作品になる、それがルアー作りの本質かなと思います」
そう話す井佐さんが、グライドベイトというジャンルの中で求めたのは一言でいえば「意のままに操れる抜群の操作性」だという。
そして、そのために設けたのがエッジの立ったスリットなのだ。
正直、見る方が早い。驚くべき生命感と「自在にコントロールできるグライドベイト」と井佐さんが言う意味が、これでもかってくらいに理解できる動画がこちら。
出典:YouTube「GRASSROOTS OFFICIAL CHANNEL」
どうでしょう?これでもかというくらい感じていただけましたでしょうか(笑)?私は驚きました!
上下のスリットがあることで、過度なロールを抑制する。ロールが利きすぎると、縦方向に潜るような動きをしてしまうのだが、この上下スリット構造が水中で理想的なスライドアクションを生む重要なパーツ。
水の中でこのエッジでレールを刻んでいくような、スキー板がエッジを効かせてカービングターンをするような…。そんなイメージだと井佐さんは話す。
結果として、エッジを効かせたスライドはスライド幅の調整も非常にしやすく、例えばレイダウンの通したい場所に入れてイメージ通りに隙間を縫って逃がす…というような操作も抜群にしやすいそうだ。
グライドベイトというカテゴリーの中で、とにかく「意のままに操れる操作性を…」という想いを込めた第一弾作品。
その他ディテールにも必要なコダワリが。
ジョイント部は稼働域を2段階調整できる穴が設けられ、「フレキシブルモード」と「タイトモード」が選択できる。
従来のS字アクションであればタイトモード、もっと小回りを利かせてオーバーハングの下を縫うような時にはフレキシブルモードといった感じで使い分けるとより攻略の幅が広がる。
また前方のフックハンガーにはローリングスイベルが。これにより、当然フックはフレキシブルに回転する。これはいざバスがバイトした時に、回転することで追従し、バラシを減らすため。
テールパーツはシリコン素材。クセのつきにくさや発色のよさ、そして他のルアーなどと一緒に保管した時に「ある程度気を使わなくてもイイ(笑)」と井佐さんが言う便利さから採用。
イモネジで固定され、小型マイナスドライバーで付け替え可能。
原型はハンドメイド
余談になるかもしれないが、すべてのグラスルーツルアーは、このグランドエッジ190SFも含め、現段階ではすべてサンプルは井佐さんによる手削りから始まるそうだ。
そのウッドを3Dデータに落とし込み、インジェクショ化する。
ウッドとABSでは、やはり単純に同じ形状に見えても動きが異なることもあるそうだが、それはそれで勉強になるし引き出しが増えると井佐さん。
また現在進行形で、すでにグランドエッジ190SFに続くルアーの開発も進んでいるという。井佐知之の手で生み出されたウッドが、インジェクション化されることでどんな広がりを見せるのか、今後の展開も気になるところ。
また続報が入り次第、お伝えしていきます。
グランドエッジ190SF
2023年5月発売予定