今江克隆のルアーニュースクラブR「最新スピニングロッド初公開!攻撃型スピニングの象徴をアップデート『ビースティンガーExtreme』」の巻 第1127回
フルT1100G化による劇的な変化
30トンカーボンと24トンカーボンがメイン素材の旧「ビースティンガー」を、33トンのフルT1100G化(素材単価は3倍だが……)することで、抜群の投げやすさ、「野良ネズミ」を高速でキレよくドッグウォークさせるキレキレの操作性と強烈なフッキング力、何よりキロアップをPE1号で高弾性スピニングとは思えないパワーでカバーから引きずり出し、満月でゴボウ抜きしても粘り切る驚きの粘りを得ることができた。
そして「ブラックレイブンExtreme」で感じた「一見、硬いのに実際使うとしなやかな違和感」が、マウス系エラストマールアーの乗りのよさ、それに矛盾する操作とフッキングのキレを見事に両立していた。
旧表記の64Lの使い勝手のままに64M以上の強靭さにアップデートされたといえば分かりやすいかもしれない。
その感覚は、ベイトのカレイド絶対定番名作「ブラックレイブン」を初めてフルT1100G化した時と極めて似た奇妙な「T1100G」特有の感覚だった。
またリザーバーでは、マウス系エラストマーのPEセッティングのまま、「アベンタクローラー・バゼル」に転用することで50cmUPもものともしないパワーと高速ルアーへの抜群の対応能力を発揮してくれた。
手長エビ・スイミングパターンにも最適
追記として、この「ビースティンガーExtreme」は、今までずっとバレないようメディアには出していなかったが、マウス系エラストマールアーや軽量水面高速系トッププラグとの相性はもとより、実は「モジャオ」こと「ヘアリーホッグ」のノーシンカーリグによる手長エビスイミングにもマウス系と同じタックルセッティングで完璧な演出ができる組合せだった。
マウス系エラストマーの水面攻めで出ない時に、同様にスキッピングでアシやカバーの奥深くに「ヘアリーホッグ」を叩き込み、そこから同じようなロッドワークで水面直下をキックして逃げる手長エビを演出して水面に出きらないバスを獲るメソッドだ。
これは手長エビを偏食している梅雨明け頃のタイミングでは極めて有効な技なのだが、ここで「ビースティンガーExtreme」を使う理由は、その強力でしなやかなロッドブランクスにある。
一度試してみればすぐ理解できるが、「ヘアリーホッグ」はパーツが極めて複雑かつモジャモジャなため、水押しによる集魚力はピカ一なのだが、実はそれゆえに水面を滑りにくいわけで、スキッピングとはとても相性が悪い。
極端な話、2スキップ程度しか、なかなかしてくれないのである。
ところが「ビースティンガーExtreme/T1100G」のしなやかな高弾性ブランクスが弾き出す射出速度の速さが「ヘアリーホッグ」を倍以上スキッピングさせることを可能にしてくれた。
そして、スイミング時にも抵抗の大きなモジャをキレよく最短移動距離でクイックイッとエビのように動かせるフルチューブラならではのティップ~ベリーの強さがベストマッチしていた。
この性能がマウス系とモジャオを効果的に使ううえで、とてもロッドは重要なポイントだった訳である。
「ポッパーマウス」も来春登場!
本来、このT1100G版の「ビースティンガー」は最速で2021年の夏に、これまた同時発売を狙っていた旧称「エラストマウス」(「カバーラット」は別製品になりました)こと、正式名称「ポッパーマウス」と同時に発売できるはずだった。
それが青木哲氏デザインでグリップ剛性を上げるためにガチッとした頑丈な金属パーツ(海外調達)にこだわったため、全てが1年近く遅れてしまうことになった。
不幸中の幸いか、海外事情で「ポッパーマウス」まで1年近く遅れて今冬入荷なので、早ければ来春、超久々の「カレイド・セルペンティ」シリーズの新機種と同時頃にマーケットデビュー予定です。