今江克隆のルアーニュースクラブR「三代目スーパースタリオン『GT3RS』公開!世界的超人気ロッドが『M40X』 投入で最強アップデート」の巻 第1125回
「M40X」を投入!
ただ、やみくもに「M40X」を「GT3RS」に投入したのではない。
メインシャフトに採用した「T1100G」33トンのパフォーマンスに不満であるはずがなく、採用するとすればハイテーパーロッドの弱点でもあるバット部の「薄肉太巻き」ゆえの限界屈曲時の「楕円変形」をさらに抑止するための強化である。
「T1100G」化にともない強化されたメインシャフトに、バット~ベリー手前までに高強度超高弾性の「M40X」を配置、その上から30×60度の狭角4軸全身武装を施すというアップデートだ。
超高弾性カーボンの「M40X」ナノアロイプリプレグは極めて薄くて強い素材ゆえ、「GT2RS」の極太バットをさらに強化し、軽量高感度化を進めるには十分理にかなった効果が期待できたからである。
ビッグガイドセッテイング
そして、オールスター戦という実戦テストで明らかに1段増したキレと強度を実感することができたが、最終決断はまだしていない。
それは「スーパースタリオン」伝統のダブルハンドストレートと同じく、「スーパースタリオン」特有の「ビッグガイドセッティング」をさらに煮詰めているからだ。
マイクロガイド多数個載せが主流の現代のバスロッドだが、「スーパースタリオンGT2RS」には、太いラインを使う前提と、ラインの自由度を敢えて上げることでルアーの動きを抑制しにくく、スラックを出しやすい昔ながらの大口径LNガイド9個載せセッティングになっている。
ガイドは、少なければ少ないほど、ブランクスが持つ素の性能、張りやキレ、屈曲時の素材の伸びをより活かすことができる。
一方、逆に多く載せることでブランクスのとがりや張り過ぎ、さらにはスパインを制御する効果もある。
ガイドを増やせば硬くなるというのは錯覚で、ブランクスに金属や樹脂の異物が載れば載るほどとがりはマイルドになり、柔軟性を増したかのような逆印象になることは意外と知られていない。
特にコーティング樹脂やスレッドのエポキシは多くなればなるほど、ブランクスの「高弾性風味」を落とす要因になる。
ただ、ブランクスの芯の部分での弾性性能が低下するわけではないので、ガイドの数とスレッドの巻き方で、逆に高弾性でも初見をマイルドな設定にしたり、ブランクスに接地するガイドの脚を利用してスパインコントロールをより向上させる狙いも多々あるのが、バスロッドの面白いところだ。
ガイド数が2個違うと全く別のブランクスに思えてしまうほど、初見の印象は変わってくるものだ。
現在、オールスター戦で9割以上使用していた「GT3RS」は、ガイド数は実に必要最小限の8個、さらにトルザイトで口径を最大限にしたビッグガイドセッティングである。
一見、大昔のロッドにも見えてしまうが、スラックをタルタルに取った「ジャバロン」のデッドスロー巻きや、「カバースキャット」的なラインを放置する釣りには「緩さ(ゆるさ)」と「キレ」が共存する、とても興味深いセッティングだった。
現在、「スーパースタリオンGT3RS」は、伝統のLNガイド(廃盤)に相当する大口径ガイド9個載せを試作中で、8個載せと9個載せでの実戦比較で最終テストは完了予定だ。
9個載せることで「M40X」投入による明らかなキレの向上をマイルド化できるのか、8個にすることで「M40X」のキレを初見で実感できる「GT3RS」にすべきか、年内には最終結論が出るだろう。