「ここ十数年で一番難しい春シーズンの印象でした。」
毎年5月に入れば、全国各地でデカイカの情報が飛び交いますが、今年はどのエリアからも「厳しい」・「渋い」・「イカが少ない」といった声が多く聞かれました。実際、私自身も各地で実釣したなかで、その難しさを感じていました。
確かに居るところには居て、結果も出るのですが、そこに行き着くまでに例年以上に努力が必要。2022年の春は、ここ十数年でとにかく難しい印象でした。
苦戦を強いられた春、気になる秋の傾向は?
春から初夏にかけてが不調だと誰もが気になるのが、その年の秋がどうなるか? 不調を引きずるのでは…?と気になりますよね。
今回は実戦的な内容から少し離れますが、今年各地へ訪れて肌で感じた不調の原因と、これからの秋シーズンの傾向がどうなるか?という部分について、何の根拠もない私個人の見解ですが、現場から感じた感覚と経験を元にお伝えできればと思います。
今年の春シーズンは3月くらいから各地へと動き始めたのですが、実釣の中では大型も出て場所によりムラはあるものの例年通り早春の傾向か、少し沿岸に寄っている個体数が少ないかなといった印象でした。
冬季にしっかり水温が下がったエリアもあり、例年よりは藻の発育も順調で、今まで海藻が絶えてしまっていたエリアにも多少の藻が回復していました。
このままいけば今年は少し良い年になってくれるかなと思った矢先、GWが明けてからの若潮を超えてもラッシュと言えるようなサイズや数も出ず全国的に不調と言える状態に…。
YAMASHITAではアオリイカ産卵設置活動アオリコミュニティの活動で各地に産卵床を設置しているのですが、沖での産卵自体は例年通り行われていて、昨年と同等の状態。
イカの季節の動きは問題なさそうなものの、沿岸に寄ってくる数がどうも少ない。
釣りをする際、そのエリアの水温を測るのですが、厳しかったエリアでの水温はおよそ例年の-1℃~-3℃。測る天候やタイミングで変動する数値でもあるため、それほど深刻に捉えていませんでした。
その後シーズンが進むにつれ、難易度はより一層増し、過去に無いほどにランガンと粘り、プランの変更を要求された釣行となりました。
自分がその海の前に立ったタイミングだけの話ですが、5月以降に例年と違うと感じたのは水温。梅雨が明け、夏イカのシーズンに入ると徐々に復調の兆しが見え、各地の釣果の声も春より多く聞かれるようになりました。
今年の海水温度の傾向と推移
念のため自分の経験と今年の海の傾向を気象庁のHPで照らし合わせてみると、何となく合致する部分がありました。
気象庁参照ページはこちら
気象庁のHPで日本近海の海水温の平年差を調べると、私が今年経験した春序盤であるGW前の水温は平年並み~1℃高いくらい。
とりわけ不調を感じていなかった時の状況です。
ですが、GWを過ぎたあたりから、例年よりも水温が低いエリアが目立ち始め、沖合に大きな冷水塊が見え始めます。
その後この低い沿岸水温と九州・四国・紀伊半島~関東沖合にかけての冷水域が在る状態が6月下旬まで続きます。思いっきり苦労していたタイミングです。
その後、7月からは水温が上昇し、夏イカから復調し始めます。
太平洋・日本海側も思わしくなかったシーズンですが、東北・北海道エリアの夏に訪れるデカイカシーズンも釣れ出しが遅く不調気味でした。
ティップランでの釣果も盛期はおとなしかったものの後半から徐々に調子を上げてきて、夏になってもティップランでの釣果が続いていたため、おそらく冷水域、沿岸水温の冷え込みからショアラインに寄るイカの数が少なかったのではないかと感じています。
春が悪ければ秋も…と考えてしまいますが、「春が悪いとその年の秋も悪くなる」という定説はあまりなく、過去にも春はいまひとつでも秋は良かったり、その逆もありました。やはりその季節の天候や水温が大きく作用していると感じています。
現在ですが、8月に入り水温は例年並みか少し低い状況。
秋は水温が20度台前半に入るタイミングで釣れるサイズが上昇します。今年は台風シーズンに入る前に海が秋の表情を見せ始め、日本海~北海道で早くも釣果が聞かれ始めました。
台風が連続して通過すると海水温が冷え込み状況が厳しくなる傾向がありますが、今のところ例年よりも早めに好スタートを切ったと言えます。9月中旬には各地で秋イカサイズが期待出来ますので、春が不調だった分、今年の秋を楽しんで下さい!
良いスタートを切ったとはいえ、釣り場やアオリイカの資源は無限ではありません。
釣り場を綺麗に、マナーを守って、必要以上の数はキープせず、小さな個体はリリースして今後も末永くエギングを楽しめるようにしていければと思います。