今江克隆のルアーニュースクラブR「奇跡の千鳥の復権!? TOP50北浦水系戦・惨敗の中の光〜チャターベイトと吉川永遠プロ〜」の巻 第1110回
すでにInstagram、Top Secret(ブログ)で報告した通り、TOP50第3戦北浦水系戦は、初日ノーフィッシュ、2日目1フィッシュ(860g)、予選結果43位で予選落ちとなった。
予選結果41位以下は、参加点の5点のみとなるため、事実上結果は2日間ノーフィッシュと変わりなく、年間ランキングは5位からイッキに20位まで落とす結果になってしまった。
正直、この結果には自分の不甲斐なさと、練習での詰めの甘さにひどく失望している……。
最大の敗因は?
だが、試合内容に関しては本当に2日間、紙一重の差で白が黒に裏返ってしまった結果であり、その紙一重の差が白に出ていれば単日トップウェイトに匹敵するスコアとなっていた可能性あったことにおいては、何も見えなかった敗戦だとは思ってはいない。
今回の北浦水系戦は、初日紙一重でだせた可能性があると信じたビッグウェイトを、あえて2日目もパターンを変えることなく同じ場所、同じ展開で逆転のトップスコアをだす覚悟で挑んだ2日間だった。
昨年同時期開催の北浦水系戦初日に5尾4,800gの準トップウェイトをだした自信もあり、初日ノーフィッシュでもロースコア戦はあきらかなだけに、5kg近いスコアをだせば逆転優勝の可能性もある、と守りを捨てたことが最大の敗因だ。
結果だけ見れば無謀なビッグウェイト狙いがハズれて、中位安定を捨てた愚かな自爆試合なのだが、久しぶりに観戦者として見上げた表彰台で語られた今試合のウィニングパターンは、勝者と敗者の紙一重の差が何だったかの明確な回答を教えてくれる結果になった。
吉川永遠プロのウィニングパターン
試合結果を見ての通り、ハイシーズンのビッグレイクとは思えない極めてロースコア、釣れない試合だった今回、フィールドを熟知した地元プロの強さが際立つ結果になった。
だが、その中で3位に入賞した参戦2年目の、JB津風呂湖から昇格した吉川永遠プロのウィニングパターンを聞いた時、久しぶりに衝撃的な驚きとともに、本当に紙一重の詰めの差で表彰台と予選落ちが背中合わせだったことに気付かされることになった。
今回、自分が最強の攻めパターンとして選んだのは「チャターベイト」の特殊な使い方だった。
もともと「奇跡の千鳥」の呼び名でトーナメントを席巻した「モグラチャター」は、過去自分を幾度もそれ一つで表彰台に導いてくれた最も自信のあるルアーであり、誰にも負けない知識と実績を自負しているルアーだ。
事実、イマカツで歴代最高数、おそらく日本で販売されたチャターベイトとしても累計最多販売数量を誇るのも「モグラチャター」シリーズだろう。
モグラチャターは「奇跡の千鳥」と呼ばれる、千鳥アクションの本当の威力を世に知らしめた最初のルアーだと自分は確信しているが、5年間の市場独占状態を経て千鳥の威力に陰りが出ることになる。
それは、多くの人が使えば使うほど、バスが見慣れてしまうからであり、今でいうアラバマリグの当初の爆発的威力が普及とともに急速に減退して普通の一ジャンルになってしまったことがそれを証明している。
「モグラチャター」も、その圧倒的人気と販売量から「奇跡」が「必然」となり、いつしか時代は「千鳥らないチャター」、「真っすぐ早巻きチャター」へと「逆の時代」へと変遷していくことになる。
だが、早巻きチャター、千鳥らない直進系チャターも、結局は誰もが簡単に使えること、クセがないゆえに、流行ってしまえばその威力が平凡化するのに時間はかからなかった。
奇跡の復権!?
いつしか、自分の中で「モグチャ」は過去の栄光となり、スピナーベイトと何ら変わらない一つの定番ジャンルとなってしまっていた。
だが、時代は巡り、「天才(天災)は忘れたころにやってくる」ではないが、今試合のプリプラでたまたま久々に使った「奇跡の千鳥」が再び威力を増しはじめていることに気が付いたのである。
ただ、その奇跡はかつての奇跡のようなストレートで分かりやすいものではなく、独自のヒネリを加えてこそ、奇跡的な威力を発揮する確率が上がるといったモノでもあった。
この「独自のヒネリ」に関しては、同じ霞水系ですぐにTOP50第4戦が開催されるため、今回公開は控えさせてほしい。
自分がこの第3戦で見出していた「モグラチャター」、奇跡の千鳥の復権は、紙一重の差で噛みあわず、逆に自分にとって致命傷となってしまった。
それは、かつて自分の最強ルアーの代名詞であった「モグチャ」の威力を、あらゆるメーカーから様々な「チャター」がでた現在、もう一度証明したいと想いが強すぎ、勝てるレベルまで詰め切れていなかったことが、奇しくも吉川永遠プロの勝利者インタビューであきらかになる。
頭をトンカチで殴られたような衝撃を受けた事実……