【知らないからこそ聞けない&分からない!?】 ライトソルト・ベイトフィネスリールの実態と状況
今回のテーマは、先週INXテレビへUPした【初心者必見!!ソルトベイトフィネスのアレやコレ( Web質問箱「一問一答」)】の補足説明です。
というのも、このテーマは文章や写真によるさらなる説明が必要だと思い、本コラムで改めて解説することにしました。
レオン 加来 匠(Kaku Takumi) プロフィール
まず知るべき二つの要素
さて問題は、動画内でも説明していますがベイト経験が無いソルトアングラーがぼんやりと認識するフィネスと、実際のベイトフィネスとの間にそこそこ大きい認識の隔たりがある事です。その要点は大きく分けて二種。キャスト出来るウエイトの上限下限と、巻き糸量及び太さの上限と下限の二つです。
まず一つは、ベイトリール(特にフィネス)ではキャスト出来るウエイトの幅がスピニングと較べて非常に狭いというところ。
この違いを大まかに説明すると、たとえば2500番スピニングリールに0.5号PEを巻いたライトタックルでは、快適性はともかくとしても0.5gの極軽ジグヘッドから30gのメタルジグ程度まではキャストできます。
しかし、これがベイトリールとなるとそうはいかず、0.5gではフィネスリールの中でも超(ウルトラ)が付くフィネスリール機が必要であり、10〜30gではさらに二段階ほど上のクラスのリールという風に、どうしても2〜3台に分けざるをえないのです。したがって未経験者はまずこの基礎観念部分でつまづき(間違え)、買ったは良いけどどうしても上手く投げられずにメルカリで売り払うという悲しい実例も数件見かけました。
見合った機種を選び、構造を把握する
スピニングでは、例えば1000番、2000番、3000番など、メーカー毎に多少の違いはあれども、番手が違うからといって深刻な問題になるほどの大きな差はありません。スプールのラインナップに深溝と浅溝の違いがあるくらいです。したがって仮に多少目的とズレた機種であっても、現場で釣りにならないといったことはほぼありません。
しかしベイトの(特にベイトフィネスの)厄介なところは、番手やスプールタイプなどちょっと間違ったセッティングで用意すると、釣りにならないことが起きるのです。その原因はバックラッシュです。つまり投げてもルアーが飛ばず、手元のリールには釣り糸がゴチャゴチャとこんがらがって全く釣りが出来ない状態に陥るのです。
したがってまず覚えるべきは、見合った機種と見合ったスプールと、そこへ関連してくる巻き糸量やブレーキ調整などです。
スプール外径とスプール幅とスプール溝径とその意味するところ
このコラムは「ライトゲーム」が主体なのでライト(普通機)とウルトラライト(フィネス機)の二局程度で説明しますが、そもそも論としてベイトフィネスはバスフィッシングの概念で有り、フィネスが指すウエイトは例えば“ジグヘッドとワームの総重量”で3〜8gがマストの世界観です。
ところが、我々ソルトのライトゲームアングラーがフィネスと聞いて想像するグラム数はどれくらいですか?って所が間違いの出発点になっています。
つまりソルトのベイトフィネスではココが最大の落とし穴になっています。そりゃそうです。ライトゲームアングラーは3〜8gをフィネスとは思いません。このクラスは「ヘビーリグ」ですもの(笑)
したがって、我々がイメージするフィネスは下手すりゃあアンダー1gの世界観ですからね。そりゃあ勘が狂うわけですよ。
ではまずバスフィッシングで言うところの普通機(仮にミディアムのM)とライト機(仮にライトのL)を写真で見比べてみましょう。
(写真:スティーズSVTW/スティーズCT①②③)
左のMなスティーズと、右の少しコンパクトなLなスティーズCTでは、34mm30mmとスプールの直径が違います。次に、Mなスティーズはスプールの幅が広くてやや浅溝。右のLなスティーズはスプールの幅自体が狭くてやや中溝となっています。
次はこのLなスティーズCTで、ノーマルスプールとフィネススプールの双方で較べてみます。
(写真:スティーズCT①②)
僕はスティーズCTを2台用意しています。左ノーマルスプールがジグヘッドやメタルルアーの5g〜20g程度までを担当し、左の社外KAHENフィネススプールの方はおおむねメバルプラッギングなどで3g〜10g程度までの釣りで使います。
左ノーマルスプールには強度と飛距離や水深を考慮してPE1号を120m程巻きますが、右フィネススプールの方にはPE0.6号を60m程度しか巻きません。何故なら、ラインを120mも巻いたらスプールが重くなって回転慣性も強くなり、2gなどの極軽量リグではスプールがオーバーランして100%バックラッシュするからです。つまり巻き糸量を少なくする前提だから浅溝スプールなのです。
では60mしか巻いていないフィネス機で20g投げるとどうなるかと言えば、今度は必ずラインが足りなくなるので、L機を使ったソルトのライトゲームではリール1台に最低2個のスプールが必要となるのです。
次は左アルファスAir(仮にウルトラライトのUL)とLなスティーズCTで較べてみます(①と②)
19年に発売されたスプール直径が30mmでLなスティーズCT登場の際にも驚きましたが、21年に発売されたULなアルファスAirはナンと28mmの小径スプールで本当に度肝を抜かれました。つまり、我々ライトゲーマーがイメージするマジのULフィネス機の登場だったのです。
特に2017年辺りからダイワさんのフィネス機開発が加速度的に進み、その姿勢に我々ライトゲーマーが感応&呼応して、かくいう私も何度かダイワさんへ要望した事が製品となって出てきたわけです。
ちなみに22年現在まで他社フィネス機のスプール径はMな32〜34mmのままでしたから、この先進性と現場にリニアに対応してくれるダイワ機の素晴らしさにすっかり虜になってしまったわけです。
と言うことで僕の場合、メバルやカサゴを初めとした港湾部の小魚ゲームやメバルプラッギングボーゲーなどではスティーズCT30mm KAHENスプール(社外品)の出番もほぼ無くなり、28mmスプールのアルファスAirに0.8号PEを60m巻いて3g〜10g程度までのキャスティングをこの1台でカバーすることがほとんどとなっています。
まだまだ先がある世界
つまりスプール直径の小径化とブレーキシステムの発展で、ようやく我々ライトゲーマーが求めていたベイトキャスティングの世界観が順当な物になってきたのです。22年今年発売になった月下美人Air(28mmスプール)などはアルファスAirよりスプール幅を狭くするなどを施し、さらに下のウエイト(つまり1g台)をすみやかにキャストできますが、その分巻き糸量の関係などで上のウエイトはどうしても無理があります。
そこで僕がさらに思う(望む)のは、アジングなどアンダー1gの世界は月下美人Airに任せるとして、アルファスAirベースでキャストウエイトの下限と上限を一段階広げた「SALTバーサタイルフィネス機」です。
そのために必須である「新たなブレーキシステム」を組み込んだスプールも、INXエンジニアリングスタッフ「知久氏」のもと着々と進んでいます。今までは無理だった2g台プラグのフルキャストでもバックラッシュせず、最後のひと伸びもあり、かつラインキャパも1割ほど多く巻ける機種。こんなベイトフィネスが夢では無くて実現可能なレベルまで来ているのは厳然たる現実なのですな^^