ハイプレッシャー下での巻きシャッドのキモは?
だが、現在の遠賀川のプレッシャーは当時とは比べものにならない。
練習でも、スピニングタックルですらリアフック一本掛りだったこと、昨年の遠賀川戦で「IXIシャッド」で連発した最後の1本をバラしたこと、その経験から準備していた大昔に作ったベナベナの7フィートグラスロッド達が、まさかこの本番中に起死回生の決め手となるとは自分自身もツキがあったとしか思えない出来事だった。
このベナベナのグラスロッドと「ワスプ58カットファスト」で、タッチ&ランに意識を集中して巻き切った結果、2日目、そして決勝のブリブリのキッカーを完璧なフッキングで手にすることに成功する。
メスの狙い方、オスの狙い方
だが、今回の好判断は、このメス狙いのみに固執せず、メスがいるなら近くにオスもいると想定し、ボトムを敢えてゴリゴリにスローに舐めるルアーを2つ準備していたことも幸いした。
メスを狙った後、さらにしつこく、今度はキッチリ3m潜るようにリップを削って調整した「IxIシャッドTX」を懐かしの「CCプレレデター」さながらに2~2.3mのハードボトムをベタゴリに巻いて、予選2日目3尾目となる大型オスをキャッチ、単日6位に入り奇跡的に予選通過。
そして決勝は、快晴ベタ凪となったがスポーンを意識した威嚇バスなら巻いて釣れると判断、徹頭徹尾巻き切る覚悟で臨むことに。
11時にブリブリのメスを「ワスプ58カットファスト」で手にし、ラストのラストに3m潜るプラグでも最小最弱の「ジレンマ60スーパースティープ」を初めて使ってベタベタに岩に這わせてオスを追加。
決勝単日4位に入ることに成功した。
普段の釣りでは、ほぼ必要としなかったベナベナのグラスロッドが、特定の極限状態において発揮しうる唯一無二の特殊なポテンシャルに、初めて気づかされた試合となった。
総合成績13位の意味
開幕戦、予選初日最下位ノーフィッシュから始まったTOP50は、予選26位通過、最終総合成績13位で幕を閉じた。
タラレバだが、初日に2本でも釣っていれば……とも考えることはある。
しかし、もし中途半端にスト系で初日1尾でも釣れていたら、スポーンの急進に気付かず、同じことを繰り返し2日目はノーフィッシュで致命的な敗戦となった可能性の方が高かっただろう。
総合13位という順位は平凡で、さして称賛される順位でもない。
だが、その平凡な順位の裏にも最後まで諦めず、足掻き続けたストーリーがあった。
それはバス釣りの神様が与えた「慢心するな」との戒めを込めた試練だったのかもしれない。
それに凹まず応えたという点においては、今後の試合に向き合う姿勢に大きな影響を与える価値ある順位になったと思う。