今江克隆のルアーニュースクラブR「今江、終わった……試練の開幕戦〜TOP50遠賀川戦レポート〜」の巻 第1095回
もう一つのプラン
だが、逆に今思えば、この完全なるノーフィッシュノーバイトだったがゆえに、もう一つのプランに2日目以降、すべてを切り替えることができたともいえるだろう。
それは昨年の試合、荒天になった決勝でナゼか急に「ハドルファットフライ」のミドストが効かなくなり、切り替えた「IxIシャッド」に三連発の怒涛のバイトがあった経験だ。
最大の三発目をバラシてしまい表彰台を逃した悔しい記憶から、今年は練習時から「IxIシャッド」を筆頭に、様々なシャッド系ルアーの巻きに反応するタイミングと場所、巻き方、タックルのマッチングを長時間にわたって練習で模索し続けていた。
しかし、この釣り方も練習後半までは「巻くだけ」で釣れていたのだが、ナゼか試合が近づくにつれてバイトが浅くなり、バスか何か別の魚?が絡みつくような反応はあるが、全く乗らない現象が多発しはじめ、とても荒れたり雨にでもなったりしない限りメインにはもっていけない印象となっていった。
この時は連日のプレッシャーの高まりが原因と考えていたが、結果的にそれは間違いで、これも「ある理由」が影響していたことに試合中気が付くことになる。
この気付きがなければ、「ただ巻くだけ」で晴天無風~微風で流れも止まった2日目、決勝をシャッド一本巻き勝負で釣り切れることはなかったと思う。
今試合2日目、決勝に関しては、久々に使ったものすごくシビアな「巻きモノの本当のテクニック」という部分を全身全霊で集中して使い切らなければ釣れる魚ではなかったと思う。
ナゼ、ホバスト、ミドスト、ボトストが急に効かなくなったのか?
では、なぜ春の必殺技、ホバスト、ミドスト、ボトストが急に効かなくなったのか、その事実は初日、常に自分から見える範囲で同じようなスポットを狙っていたこのテの釣りの超達人、山岡(計文)プロ、五十嵐(誠)プロまでもが揃って予選落ちしていることからも間違いなかったと思う。
昨年と何が違って、なぜこのテの釣りが全く効かなくなったのか?
その理由は、奇しくも今試合優勝した藤田(京弥)プロが明確に証明することになる。
優勝した藤田京弥プロが理解していたこと
昨年、優勝を逃した藤田プロは、昨年とほぼ全く同じ釣り、同じ場所で、ほぼ同じようなスコア展開をして今年は優勝を達成した。
自分や山岡プロ、五十嵐プロは全くダメになって、なぜ藤田プロは昨年と極めて同じような、いやそれ以上のスコア展開となったのか?
ちなみに、イマカツ・プロスタッフの薮田(和幸)プロは初日圧倒的なウェイト5㎏をマークしたが、2日目、3日目を連続ノーフィッシュに終わっている。
他にも同様の初日ビッグウェイトを出しながら、2日目、3日目に急激なスコアダウンをしていく選手が今試合はとても多く、逆にコンスタントに釣ってきてるプロが極めて少ない乱高下の激しい、極めて特徴的な釣れ方をしていたことが分かる。
おそらく、昨年からその理由を明確に理解して釣っていたのは藤田プロだけではないか……と思う。
そして、その理由は試合が終わって、表彰台のインタビューを聞いて初めて、ハッキリと多くのプロがため息とともに確信する理由で判明することになる。
50人の超が付くクレイジーなプロ達が一堂に会して同条件で3日間、人生賭けて競うからこそ判明する本当の湖の状況。
人知れず正解に限りなく近づけたプロだけが表彰台に上がれる世界。
そして一たび正解が分かると、全く釣れなかったプロでも、釣れてしまうのがまたバスフィッシングの「気付き」の面白さでもあるのだ。
異次元のサイバーサイトフィッシングに対抗できるか??
もはや次元の違うTOP50を席巻する藤田(京弥)プロを筆頭とする「異次元のサイバーサイトフィッシング」、その理由が分かっていたからこそ、同じガーミン・ライブスコープを誰もが同様に装備してなお、圧倒的な差をつけられてしまう現実。
モニターで見える、見えない世界ではなく、見ようとしないから見えない、見るべきものを探す理由が分かっているから見えてくる世界。
来週は、なぜ「スト技(ホバスト、ミドスト、ボトスト)」が突然効かなくなったのか、そしてアナログな自分が辛うじてサイバーサイトに対抗できうる部分を見いだせたわずかな「巻きモノの気付き」について、自分なりの見解をすべて解説してみたいと思う。
次週に続く……