今江克隆のルアーニュースクラブR「今江、終わった……試練の開幕戦〜TOP50遠賀川戦レポート〜」の巻 第1095回
2022年TOP50開幕戦「ゲーリーインターナショナルCUP」in 遠賀川が閉幕した。
10日間の練習期間を積んだ自分の2022年TOP50・AOYレーススターティンググリッドは13位入賞で始まった。
一見、平凡な順位だが、今試合に関してこの13位という順位は、ある意味、表彰台獲得よりも今後につながる13位だったと思う。
開幕戦の初日、まさかの……
その理由は、予選初日成績発表を見た誰もが「今江、終わった……」と思ったであろう、開幕戦予選初日ノーフィッシュ最下位という、まさかの窮地から、2022年開幕戦はスタートしてしまったからにほかならない。
2日間の「順位ポイント」と「予選総重量ランキングポイント」の3部合算式で競われる予選(決勝は3日間総重量)では、1日でもゼロ申告してしまうと事実上順位ポイントが1日なかったことと同じになる。
ゆえに2日目に、予選2日分に匹敵するウェイトを持ち込んだうえでなお、初日の上位陣が大きく崩れなければ予選通過は不可能となる最悪の事態となる。
開幕戦で、まだ釣りやすく最もノーフィッシュ率の低い初日に、ノーフィッシュしてしまうことは、すでに「予選落ち確実」、「年間レースも緒戦で脱落」、と思われても仕方のない致命傷に限りなく近い。
事実、過去38年のトップカテゴリーで、開幕戦15位以下からのAOY獲得者は存在しない。
それほど開幕戦とは、その後の年間順位争いの勢いに多大な影響を与えてしまう特別な試合なのだ。
失意のドン底からの追い上げ!
だが、その絶体絶命の失意のドン底から2日目6位で予選通過、決勝4位で総合13位入賞まで追い上げられたことは、昨年から取り戻した「切り替えの速さ」と、「折れない気持ちの強さ」が今年も健在であることを自分自身に対し証明できたと思う。
そういった意味で、この13位は一般的には凡庸な順位だが、自分にはバス釣りの神様が「慢心するな」と戒めを込めて与えた試練を乗り越えての、価値ある13位だと思っている。
2年連続同時期同場所開催
さて、今試合を今江的に表現するとすれば「昨年の良き記憶に泣かされ、悪しき記憶に助けられた試合」だった。
通常、2年連続同時期同場所開催は過去行われたことがないTOP50で、コロナ禍の影響で初の同時期同場所開催となった遠賀川戦。
それは良くも悪くも昨年の記憶と経験が練習当初から大きく影響を与えてしまっていた。
決定的な昨年と今年の差は、練習開始時点(3月18日)ですでに昨年より3度以上高い「16度」もあった上流の水温差に気付きながら、昨年同時期の良いイメージに縛られ、昨年以上に急進行した季節進行を見抜けなかったことが、最大の自分のミスジャッジだった。
練習時での確かな手応え
練習では、昨年8位入賞の原動力となった「ハドルファットフライ・エラストマー2.8インチ」のホバスト、ミドスト、ボトストで少し浮いたプリのメスを釣る方法をすぐに試してみたところ、期待できそうなスポットでは確実に反応があり、ついには2kgをはるかに超える遠賀川マックスサイズのプリを、最上流の堰周辺であっさりと仕留めることができた。
幸か不幸か、コロナの影響で「ハドルファットフライ・エラストマー2.8インチ」は出荷が1ケ月遅れ、TOP50には間に合わなかったため、他選手が代替えで使える同系統のエラストマーワームは存在しない。
本来マッディな遠賀川でリアルカラーのミドストやホバストなど誰もやっておらず、さらにハドルテールを持ち、「水を弾く」エラストマー素材ならではのハイピッチでパワフルなロールアクションは、他には存在しない。
それゆえに昨年は超メジャースポットでも圧倒的効果を発揮し、同時期なら今年も効くことは間違いないと予想していた。
そしてその予想通り、その戦略が今年も練習からいきなり好調だったがゆえに、「今年もコレでイケる!」と、練習4日目で完全に使用を封印するほど信じ切ってしまったことが、結果的に「季節進行」を見落とす慢心につながった。
即ち「ある理由」で今試合は「ハドルファット」のスイミング戦略が一時的に停止状態になったことに、試合本番まで使用封印したがゆえに、予選初日ノーフィッシュになってなお、気付けなかったのである。
用意していた、もう一つのプラン!