今江克隆のルアーニュースクラブR「使ってみた!ウワサのアンダースピンTU-01を実釣インプレ」の巻 第1091回
「ピッチング」と「ボー&アロースキッピング」
さて、このリール「TU-01」の最大のメリットであるピッチング性能に関しては、オープンフェイス、クローズドフェイスの双方を試してみたが、ピッチングに限定するなら明確に「クローズドフェイス」が適していると感じた。
理由は、オープンフェイスの方はフェザリングでラインを止めようとしてもカップの隙間からラインが出てしまうため、かなり制御が難しいが、クローズドフェイスの方は放出口が小さいので、指4本でふさぐことでサミングが容易にできる。
一方でクローズドフェイスは放出口が小さいため、オープンフェイス(カップ)に比べ飛距離は確実に落ちるし、巻き感もあきらかに重くなる。
ピッチング専用機ではなく、普通のキャストや巻きとの併用を考えるならオープンフェイス(カップ)の方が快適に使えるだろう。
だが、クローズドが絶対に必要と感じたのが、机上でも予測していたボー&アローキャスト時のラインホールド力である。
「TU-01」は、レバーを引くとスプール上部のゴム部分がせり上がってラインをカップ内壁に押し付け、レバーを離すとスプールが瞬時に戻りラインが放出される仕組みになっている。
このゴムがラインをカップ内壁へ押し付けて固定する強さが明確にクローズドフェイスの方が強い。
オープンカップの方は、ボー&アローでルアーを自分の手前方向に強く絞り込んだ時、「ズルズル」と濡れたラインが完全に止まらず滑りだしてロッドティップを十分曲げきれないことがある。
ゆえにロッドティップの強い反発が使えず、普通にピッチングや軽いボー&アローなら問題なくできるが、PEパワーフィネス用の強力なスピニングでブッシュの奥深くに弾丸のように差し込む速さの「ボー&アロースキッピング」はかなり難しい。
一方、クローズドカップでは濡れたPEラインでも滑りだしはほぼなく、担当記者でも通常キャスト不可能なブッシュ奥に「ボー&アロースキッピング」がズバズバと簡単に決められるほど。
その飛距離と弾道の鋭さ、正確さは想像以上で、記者をして「普通に投げるより飛んでません?」とうならせるほどだ。
その実戦力はキャスト遊びや大道芸の域ではなく、オーバーハングやキャスト不可能な複雑なレイダウン、特に野池のヤブコギ等では圧倒的な戦力になるだろう。
この「ボー&アロースキッピング」に関しては、ルアマガ記事でその驚くべき精度と唯一無二の実戦力を、レンズを通して実践激写しているので参考にしてほしい。
浅溝Vスプールと標準スプールの違いは?
ほかに、安価なクローズドフェイスリールによくあるキャスト後の巻きあげ時の空転も、「TU-01」はピックアップピンが2本あるため、PEラインでは空回りすることは皆無だった。
V型浅溝スプールと標準スプールの実戦上での差はさほど大差なく、ピッチング専用なら高価なPEラインの糸巻き量の点でムダのないのが、V型スプールだろう。
このテのリールにはスプールが上下するオシレート機構がないゆえ、V型スプールでも標準型スプールでも、デカいバスを釣った後や、根掛かり後のスプールへのラインスタックは致しかたなく、そういったタイミングでは必ず捨てキャストをしてスタック解消を忘れずにしておきたい。
「TU-01」の改良希望点と、実釣投入後の最新評価は……
個人的に改良してほしいと思った点は、ハンドルのベアリング化、クローズドカップの放出口をSicリング化、重量が200g程度(現在270g)になれば最高である。
そしてあまりに入手困難&高額(6万円前後)なので、唯一使えそうで安価なUSダイワのアンダースピンなども試してみようかと発作的に血迷ってポチりかけることもあるが、現時点で「TU-01」はTOP50レベルでも実戦投入できる、世界的に見ても唯一無二のアンダースピンであることに、間違いはないだろう。