今江克隆のルアーニュースクラブR「バス釣り歴48年目の素晴らしい出会い!スピンキャストリールTU-01の可能性とファーストインプレ」の巻 第1089回
「TU-01」忖度ナシのファーストインプレッション
さて今週は、その「TU-01」の実戦投入前に試投し検証したファーストインプレを忖度ナシで紹介しようと思うが、今江的ファーストインプレ評価は星★★★★☆「確実に戦力になる」、「スピンキャストリールとは全くのベツモノ」、「想像以上に優れた唯一無二の能力」をもつリールである。
ただ、最初に感じたマイナスポイントから挙げていくと、現代のハイスペックスピニングリールと比較した場合、その精密さや巻き心地の滑らかさはお世辞にも優れているともいえない。
280gもある自重、ベアリングもブッシュも入っていない安っぽいハンドルノブ、スタイリッシュとはいえない無骨なボディデザインなど、外観的には現代スピニングとは比較にならない。
しかし、こちらはアンティーク調という視点で見れば、今江的には逆に滅茶苦茶オシャレに見えるデザインでもある。
ただ、決定的な差は、巻き心地のゴリゴリ感はもはや前近代的遺物の領域に近く、6万円の価格と相まって最初に萎えてしまう部分かもしれない。
カバーを外してラインの巻き具合を見たら、今のスピニングの完璧な平行巻きを見慣れていれば、そのいびつな巻き方にさらに萎え萎えになるだろう。
だが、このゴリゴリ感も、ラインの巻き状態のいびつさも、「オシレート機能」がないクローズドフェイスリールに期待する方が、はなから間違っているといえるかもしれない。
唯一無二の能力がヤバかった!
ここまでディスってしまうと読んでいて心配になるかもしれないが、結論的にこれらの問題点は、このリールの卓越した長所、唯一無二の能力に一切ネガティブな影を落とすものではない。
さすがは伝説のスピニングABU・ スウェーデンの「カーディナル4」、フランスの名門「ミッチェル」と並び評された日本最古のリールメーカー、五十鈴工業「ダイヤモンド」のDNAを受け継ぐリールだということだ(俺って伝統と歴史、好きなんだよね……)。
とにかく「TU-01」を試投してすぐに理解したのは、PEパワーフィネスの相棒としてピッチングで使用した時の恐るべき手返しの速さだ。
それは確実にスピニングリールのそれとは比較にならず、糸浮きなどのトラブルがない分、ベイトフィネスの手返しすら上回る。
ベイトフィネスのように、いちいち手でルアーをホールドせず、片手で一連のキャスト動作を全て完結できるため、手返しは圧倒的に速くなる。
キャスト精度に関しては、トレーニング7日の現時点ではベイトフィネスの安定感にはかなり劣るが、1~3gまでの超軽量ルアーに関してのピッチング能力は、全てにおいてベイトフィネスを上回っているかもしれない。
スピニングでの「アンダーハンドスキッピング」すら、あまりにも簡単に!
そして、何より優れていると感じたのが、クラッチレバー&ラインホールド構造によるリリースタイミングの精度だ。
人差し指で引っ掛けて投げるスピニングリールに比べ、驚異的に正確かつイージーで、最も難しいとされるスピニングでの「アンダーハンドスキッピング」すら、あまりにも簡単に決まってしまうところが最も印象的だった。
さらに驚愕したのは、上下左右にロッドの振りシロが全くないブッシュの中でも、「ボー&アローキャスト」を使うことで、穴の中を鋭く矢で射抜くようなアクロバットキャストがいとも簡単にできることだ。それも驚異的な精度とスピード、ボー&アローとは思えない飛距離で、だ。
7日間の練習で、約7m先の紙コップを、ロッドを一切振らず、まるで弓で射るようにボー&アローで吹き飛ばす威力と精度に、時間を忘れて熱中してしまった。
このテクニックをマスターすれば、ロッド一本通せる穴があれば、キャスト不可能なオーバーハング最奥や、ブッシュの最奥の奥までいとも簡単にノーシンカーワームを差し込ますことも簡単だ。
極めつきは「ボー&アロースキッピング」も難なくできてしまうことだろう。
とにかく独自のクラッチレバーによるリリースタイミングの取りやすさが、スピニングリールの比ではないことが「TU-01」最大の武器であることは間違いないだろう。
まだ知らない世界の「大人のオモチャ」
まだ実戦投入ができていないので、今週はあくまで陸上でのファーストインプレだが、TOP50の小林プロが、驚くほど大量の「TU-01」装着タックルをボートに搭載していた理由が、ハッキリと分かった。
今江的には本当に久々、何十年ぶりかで出会った、まだ知らない世界の「大人のオモチャ」に、今は興味津々である。
近々、実戦投入するので忖度ナシの実戦セカンドインプレをお楽しみに!