今江克隆のルアーニュースクラブR「バス釣り歴48年目の素晴らしい出会い!スピンキャストリールTU-01の可能性とファーストインプレ」の巻 第1089回
「スピンキャストリール」、もしくは「クローズドフェイスリール」といえば、バス釣り黎明期から今もバスフィッシングを続けているアングラーには懐かしい郷愁と甘酸っぱい青春時代を思い出すかもしれない。
逆に、今どきの若いバスアングラーには、せいぜいオールドタックルという程度の知識ぐらいしかないかもしれない。
だが「スピンキャストリール」が、日本のバス釣り入門に寄与した貢献度は大きい。
かくいう私も最初に手にしたリールは「スピンキャストリール」であり、日本のバス釣りは「スピンキャストリール」から始まったといってもよいほど、歴史と伝統のあるリールなのである。
そしてバス釣り歴48年目を迎えた今年、再び大人の遊び心と好奇心をくすぐる「スピンキャストリール」に出会うことができた。
それが3年ほど前から水面下で話題になっていた「アンダーハンドスピン」こと「TU-01」という世界最先端の純日本製スピンキャストリールである。
「TU-01」との最初の出会い
実は、この「TU-01」の存在を最初に教えてくれたのはWBSの大藪厳太郎プロで、その後、TOP50の小林明人プロがTOP50(確か3年前の七色ダム戦?)で表彰台を獲得した折に公開され、その威力がTOP50選手の間でも一時期ウワサになった特殊なリールである。
厳太郎の話では「TU-01」の最大のメリットは、ベイトフィネスではストレスを感じるノーシンカー系(総重量3g以下)を使う場合、そして着水直後からラインテンションのないフリーフォールを活かしたい時に特に効果的だと教えてくれた。
厳太郎は、特に霞ケ浦のドックの壁や、テトラの穴をラインテンションを与えずタイトに攻める時に多用していると聞いていた。
かなり使えますよ……の真意
「かなり使えますよ」といった感じの、いつもの東京エリートな控え目厳太郎節だったが、彼が「かなり」といった時は、大阪弁に翻訳すると「めっちゃ」であり、その時から気になる存在ではあった。
そこで、当時自分はABU契約プロだったため「TU-01」を使うわけにもいかず、同様の機能をもちそうな、ABUオールドファンなら垂涎の「ABUマティック」の最新版「506MarkⅡ」を導入し、実戦で試してみることにした。
ところが、結果からいうと「TOP50(トーナメント)では、まず使いモノにならない……」というのが自分の結論だった。
その理由は、まず人差し指でフェイスカバー前面の凸状樹脂部分を指で押さえてクラッチを切るのだが、それが硬すぎて指一本で押し続けるのが極めて困難で、さらにピッチング精度もスピニングの方が簡単だというのが結論だった。
しかもライントラブルが多く、スピニングリールに勝るメリットはアンティークな魅力以外には感じられなかった。
その後、自分の中で「スピンキャストはナシ」で結論付けていた。
「グランドスピンコブラ」の完成は革命的
ところが、2021年後半、自分的にスピニングタックルにちょっとした革命が起きた。
それが「グランドスピンコブラ(GSコブラ)」の完成である。
このロッドの開発過程で、狙ったわけではないのだが、結果的にこの「GSコブラ」は他ではちょっと真似できない「スピンピッチ」、すなわちスピニングでのピッチングが抜群に決まるスピニングロッドになったのである。
そしてタイミングよく?ABUとの契約が強制終了となったため、興味本位で「TU-01」を買って試してみようと思ったのが始まりである。
いざ、探してみると……
まぁしかし、いざネット等で探してみると、この「TU-01」、超が三つ付くほど激レア超絶入手困難品であることに愕然とした。
人気があるのか、生産数が少ないのか、エバーグリーン→中央漁具経由で全国の小売店、メーカーにまで問合せてみたが、メーカーの在庫も一切なく、次回入荷予定も未定。
オークションでは、ただでさえ定価5万円~6万円オーバーなのに、さらに大高騰している始末。
手に入らないと分かると、何としても手に入れたくなるのが人間心理。
結局、ブログで誰か譲ってくださいとお願いしたところ、幸いなことに2人の読者の方から連絡があり、新古品2台を定価で譲ってもらえることになった。
「TU-01」のファーストインプレッションを紹介!