今江克隆のルアーニュースクラブR「隠し玉を初公開!新世代パワーフィネススピニングロッド・グランドスピンコブラ!」の巻 第1087回
オカッパリのニーズとトーナメントのニーズを兼ね備えるパワースピニング!
しかしながら、オカッパリユーザーのニーズだけを満たすロッドでは、自分の戦力にはならないし、自分の戦力にならないロッドは「カレイド」と冠すべきではない。
そこで、自分の絶対的トーナメントニーズとして「スピニングでの卓越したピッチング精度、性能を極めた7フィート」であることを、最重要継続開発課題に置いた。
この段階から、オカッパリ、琵琶湖ガイド釣行においてはイマカツLFKDでチャンピオンを獲得した実力と、G-nius青木哲氏も認めるアマチュアロッドビルダーでもある中西クンにテストを依頼することにし、トーナメントと一般汎用性の両方向性を兼ね備えるパワースピニングの開発がスタートした。
中西クンのロッドオタクぶりは並ではなく、ガイドセッティングに関しては、G-nius青木哲氏の元に通ってセッティングを煮詰め、挙句は試作したロッドのグリップ部分をバラして内部のカーボンパイプの弾性を変えて手首に返ってくるキックバックの調整までしてしまう、プロ顔負けの改造までになってくれた。
そして、その改良された試作を自分が実戦で使い、そのフィードバックをエバーグリーンの国内工場開発責任者と微調整し、「カレイド」仕様に仕上げるというテストを繰り返した。
中西クンは以前、オカッパリ専用ロングベイトロッド「グランドスタリオン」のモニターも担当してもらっているが、こちらはオカッパリ最優先ロッドであるのに対し、トーナメントプロとアマチュアがともに不満なく納得し、メーカーが三位一体となって開発された「カレイド」は、極めて珍しい存在である。
このロッドが「陸」のオマージュである「グランド」を冠した「グランド・スピンコブラ(以下:GSコブラ)」として2022年完成を迎えることになる。
「T1100G」を芯からメインシャフトの90%以上に採用
「GSコブラ」は、6フィート11インチながら、ショートハンドル採用で実質のブランクスは7フィートロッド以上の有効レングスをもつ。
また実質7フィート化によって、枝越しに吊るした時に若干のモタつき、フッキングラグの出るソリッドティップではなく、「T1100G」を芯からメインシャフトの90%以上に採用することで、独特の粘りのあるワンピース高弾性チューブラーに仕上げている。
「T1100Gナノアロイ」独特の組成は、実は細身のスピニングロッドにこそ真価を発揮する素材で、「T1100Gナノアロイ」のコントロールにおいては業界最長最深のキャリアがあるエバーグリーンの十八番ブランクス調理法といってもいいだろう。
中西クンが、エバーグリーンプロスタッフの岡田プロと行った琵琶湖でのテストでは、i字系の「アイアロー」から「ソルソニ17g」までを「GSコブラ」で気持ちよく扱え、55cmUP程度なら瞬殺で仕留められるトルクに非常に満足してくれている。
一方、今江的「GSコブラ」の最大にして最強のメリットは、あとにも先にも「このGSコブラほど、スピニングピッチングが高精度に決まるスピニングロッドはない」と断言できる点である。
スピニングタックルのピッチングは、実はベイトフィネスより非常に難しい。
だが1.8g程度の超軽量ルアーを、PE1.5号(22lb)クラスのスピニングで枝を縫うように自在にピッチング&ハンギングできれば、それはベイトフィネスを凌ぐ戦闘能力になる。
自分が「ハングマン」を一時保留した最大の理由は、この中間~近接ピッチング性能において「GSコブラ」は、「ハングマン」を距離、精度、容易さではるかに上回っていたからに他ならない。
違和感があるほどのショートグリップにもかかわらず、バランサー不要の圧倒的な軽量バランス、垂れないティップセクションが。スピニングピッチを感動するほどにイージーなものにしてくれている。
限界リフティング力に関しても、いかに「ハングマン」が高強度高靭性ソリッドいえど、継ぎ目がある以上、「T1100G」フルチューブラーの「GSコブラ」に対し勝ちめはない。
コロナ禍でのパーツ供給次第だが「GSコブラ」のリリース時期は、おそらく「ジャイアントディアウルフ」の後、「ウォーガゼル」と同時、もしくはそのすぐ後となる可能性が高い。
最後に、この「GSコブラ」が完成し、今、血眼になって探しているのが「アンダーハンドスピン」と呼ばれるトライアングルの高性能レバー式スピンキャストリールである。
ABUとの契約がなくなった今、ピッチング専用機として試したくて仕方ないのだが、新品はおろか、中古市場でも完璧品切れで、自分のコネクションをフル稼働しても入手不可能……。
誰か開幕までに安く譲ってくれませんかね……??
もし良品中古でもあれば、ひとまず編集部までご連絡お願いします。