苦心の末…ついに完成した「IC-86.5TB-Sis “Rockin’Beast”」
そうして生まれたロッドが「IC-86.5TB-Sis “Rockin’Beast”」です。
商品名 | ティップtype | Length (ft./cm) |
Section | Close (cm) |
Weight (g) |
TopDia (mm) |
ButtDia (mm) |
Rig wt. (g) |
Line (MONO) |
Line (PE・号) |
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IC-86.5TB-Sis | チューブラー | 8’6.5″(260) | 2pc. | 133.5 | 113 | 1.0mm | 10.0mm | 0.4~18g | – | #0.3~0.8 |
8f6inというメバルロッドにしては長尺の長さにしてファーストテーパー。ティップはアタリが出やすいチューブラーで、弾くことのない柔らかさを持たせています。
ここまでは少しレングスが長い程度で、普通のメバルロッドの仕様と大きく変わりません。
このロッドの最大の特長は、ベリーからバットが「普通ではない」ことです。ベリー部分こそ普通のメバルロッドの硬さなんですが、バット部分はエギングロッド並みの硬さ。つまり、超極端なファーストテーパーのロッドになっています。
ここからが本題。「IC-86.5TB-Sis “Rockin’Beast”」=ロッキンビーストは、何故そこまでファーストテーパーが必要なのか?です。
実際、障害物が少なかったりオープンエリアなどの場所が選べるのであれば、デカメバルを釣るのにそんな強いパワーは入りません。「柔よく剛を制す」のロッドで十分です。ですが、僕の通う能登半島の磯では「柔」が効きません。というのも水深2m前後のシャロー帯が多く、浅い所では水深1mくらいになることもあります。それにポイントによっては岩礁帯で、洗岩の隙間1.5m幅の所を通して走りの強い尺クラスの青メバルが掛かったりする為、どうしても彼らのダッシュを止めなければならない状況があるのです。
「普通」のロッドのバットパワーでも問題はありません。ただ、僕がロッドで一番気にしているのは「タイムラグ」です。バイトがあってティップが入り始めてフッキングに持っていきますよね? 過程として、ティップが入ってベリーが同調、そのままバットまで曲がりきってフルパワーになりファイト開始になる。その「タイムラグ」なんです。
メバルはリグを口に入れ、ロッドのテンションを感じた瞬間、違和感を感じてダッシュに入ります。でも、その時ティップがまだ入り始めただけで、フッキングまで至っていないんですね。人の反応の速さでは、まだ合わせの動きに入っていない瞬間のできごとですが、メバルは既に走りに入る体勢になっています。
つまり、合わせの動きに入った時はベリーからバット辺りまで曲がった状態で初めて人の手の力が魚に伝わり始めるんです。そこからようやくリールを巻き始めるんですが、ロッドが曲がること=ティップがメバルの重みによって1m程持っていかれている…とも言える。その間にメバルは根に潜ろうと1m近く走る事ができるんです。
この1mが、シャロー帯やスリット帯では命取りになるんです。
ロッキンビーストは、まずアタリを弾く事なく食わせに持っていける。そしてメバルが走り始めベリーまで曲がった段階で持ち味のバットパワーが引き出されファイトの体勢に持っていける。前述の1mを「30cm〜50cm」に抑えられる。要は掛かるまでに主導権を取られる事なく、そのまま一気に引き上げる事ができるんです。
これがファーストテーパーが必要だった理由です。
磯…だけじゃない、可能性
磯用に作ったロッドなので、僕のホームエリアのシャローやスリット帯などをメインに紹介しましたが、実はほかにもこのロッドが活きるシチュエーションはあります。
メバルシーズンは冬場や春先など季節風がよく吹く時期で、なかなか天候に恵まれないことが多々あります。特に足場の高い場所では、ラインが風に流されて袋状になったり浮き上がったりして上手くトレースポイントを掴めなかったりします。
そんな時はロングロッドの特性を活かして、竿先を下げる事によって風で流されてしまうラインの風受けを軽減させる事ができます。少しでもラインを浮かせないようにする事によって、操作性の向上や僅かなアタリも上手く取ることができます。
次は、目の前に障害物があるポイントです。
どんな一級ポイントでも、一つや二つは必ずあるのが目の前の水面ギリギリまで出ている沈みテトラであったり洗岩や藻。良さげなストラクチャーや潮通しのいい場所があるにも関わらず、目の前の障害物が邪魔してキャストできないか、キャストしても根掛かりや根ズレなどが起こりうる場所はどうしても敬遠してしまいがち。
キャストしてロッドを立て、リグを通す事はどんなロングロッドでも可能ですが、いざ魚が掛かると普通のロッドではバットまで曲がってしまいます。バットまで曲がれば長い竿であろうが短い竿であろうが、ラインの最大到達点とラインの入水する角度が浅いのは変わりません。
ビーストはベリーまでしかほとんど曲がらない為、ベントの頂点が高い位置になり、目の前のストラクチャーの上をまたぐ事が可能になります。これによって今まで敬遠していたポイントも打つ事ができ、その結果魚がスレていない場所へのコンタクトが一つでも多くできるかと思います。
ロッキンビーストは個性の強いロッドですが、その個性を上手く扱えば他の人よりも多くのシチュエーションで釣りを可能にするロッドです。デカメバル狙いに、お試しいただければ幸いです。
タックルセッティング
リール:ツインパワーc3000【シマノ】
ライン :アッシュ0.35【ティクト】
リーダー:コンパクトショックリーダー 2号【ティクト】
TICT ティクト