今江克隆のルアーニュースクラブR「奇跡の復活!TOP50弥栄湖〜最終決戦を赤裸々レポート〜」の巻 第1075回
予選2日目
そしてさらに勝負にでた予選2日目。
この日も同じ小瀬川中流域岩盤帯に入ってLS船団を横目に流していく。
何事もなく1時間が過ぎ、船団の対岸に移動した数投目、再びあの重みが乗った。
バレないことを神に祈り、ネットイン。サイズは十分だったがナゼか初めて痩せたバスで、ウェイトは1,096g……だが、自分的には「3日で1.5匹の0.5匹が2日目にきた」と納得の一本だった。
その後、またしても12時までノーバイト。
最下流のピンにいくも2匹目のドジョウはおらず、最後は苦し紛れに美和筋のスモールキーパー船団に入ったがリズムが合うはずもなく、ノーフィッシュ。
もっと早くにキーパー揃えに行けよ……と思われるかもしれないが、勝負に特化したリズムはそう簡単に変えられるものではなく、逆にもう一本2kgを獲れば勝てるという気持ちが消せなくなるがゆえの2日目1本のみの結果だった。
しかし、それでも予選は6位に踏みとどまった。
最終日・決勝の選択
最終日、年間1位の小森プロが順位を落としていたが、2位の藤田プロが予選1位に入り、AOY獲得は自分が優勝してなお、藤田プロが10位以下、小森プロが25位以下にならねば逆転は極めて難しくなった。
すでに「3日間で1.5匹」の確率は消化してしまった今、最終日3日目は本番でそれを超えなければならない。
だが、可能性が1%でも残っている限り、決勝も一本勝負に迷いはなかった。
決勝、「3日で1.5匹」の法則はイヤミにも完璧な予測だった……11時を過ぎてもノーバイト……13時15分の帰着を前に「メタクロ」を諦め、最後の賭けで25分掛けて最下流のディープピンに移動する。
しかし、そこには無情にも僅差で年間6位につけていたLSの使い手、佐々(一真)プロがドンピシャで浮いていた。
残り1時間、この時点で行き場を失い決勝ノーフィッシュを覚悟した……だが、今年の自分はココからが違った。
ほぼ毎試合、ラストキャストで決め手の1本を手にしていた自信から、急遽、下流域全域のメタクロ場を片っ端からランガンで撃ちながら帰着へ向かう、最後の集中力がまだ残っていた。
だが、現実はそう甘くない。
12時30分、会場が見える岩盤帯のはずれの岬にある大岩に入る。
ここがラストスポットになると思った時、初めてふと「もしや自分が3日間撃ち続けたメタクロにバスが見慣れたかも……」と思った。
最後の最後に自信のブレかと思ったが、ふとリグってあったが一投もしなかった「スーパースタリオンGT2RS」を握った。
そこには「ミッキーヘッドジグ14g」に「蛇腹カット」した「フラットヘッドカーリー4インチ」がリグってあった。
この蛇腹カット&ミスマッチともすら思えるジグコンボは、弥栄湖の地元ロコが「ベローズギルのフットボールが釣れます」といっていたのを聞いて、練習中に思い付いて試していたモノだった。
その「蛇腹カーリー」をバスが着水に気付かないように岩にアプローチ、今、思ってもこのキャストとコース取りは3日間で最も完璧なアプローチだったと思う。
あとは「メタクロ」と全く同じだった。
着底を待つ間にすでにラインが横走りしているのを見て、「ウソやろ!」と呟きながらフッキング。「スーパースタリオンGT2RS」に確かな重量感が乗った瞬間、ヘビーロッド&14lbの力に任せて有無をいわせずゴリ巻き&ゴボウ抜き、明らかに1kgは越えた、実質ラストキャスト、まさに奇跡の1尾だった。
会場にも届かんばかりの雄叫びを上げていた。
最後の最後まで諦めなかった自分にバス釣りの女神が微笑んでくれた、そう思えた最高の瞬間だった。
だが、わずか数分後、本当の地獄をこのあと見るとは予想もしていなかった……。
女神の微笑みから一転……