今江克隆のルアーニュースクラブR「最終決戦!TOP50弥栄湖〜ストロングスタイルの挑戦〜」の巻 第1074回
見えないデカバスを探して……
正直、自分も悩みに悩んだ。
キーパー獲りに専念し、最低限の予選突破を目指せばTOP5からは落ちてもシングルランキング獲得は、年間点差からほぼ確実にできる。
しかし、それでは絶対にAOYには手は届かないし、最初から勝負を捨てたも同然だ。
ビッグベイトより小さな子バス5匹をウェイインする自分の姿を想像した時、それは自分にとって戦わずして負けを受け入れると同じことであり、ノーフィッシュより耐え難いものだった。
ただ、勝算がなかったわけではない。
それは練習中、小瀬川BW付近にしか見えるデカバスがいないはずがないと思い、逆に「見えていないデカいヤツはどこにいる?」と考えたことが鍵だった。
幸い、練習開始当初、BW付近のデカバスが「レイジースイマー9インチ(レイジーナイン)」に異様に反応してきたことから、デカバスがいそうな気配がする場所を片っ端から「レイジーナイン」をゆっくりと通したり、大岩の前にサスペンドさせたりしながら全域を流しまくってみた。
すると実際には見えないだけで、全域の明確な大場所では複数匹のデカバスのチェイスが、予想以上に確認できたのである。
「いそうだな」と思える大岩や岩盤、ミエミエのレイダウンですら、どこに隠れていたのか不思議なぐらい「レイジーナイン」を留め置くとデカバスが出てくる。
そして幸い、一匹だけだが2kg近いビッグフィッシュに、ついに「レイジーナイン」を喰わせることに成功した。
ディープのキーパーが別種の魚に思えるほどの、惚れ惚れするようなその黒々とした見事な魚体に、何としてもコイツを毎日1本仕留められないか……という想いがイッキに高まった1尾だった。
「レイジーナイン」にだけ反応するということは……
「必ず大場所には何匹かのビッグフィッシュは見えないだけで実は隠れている」、その確信が「では、何なら釣れるのか?」と考えた時、コイツらは見飽きたモノには絶対反応しないことだけは確かだと思った。
もし反応するなら、誰かが必ず釣っているはずで、デカいを誰かが釣ったウワサさえ聞かず、インスタでさえ見かけない状況ゆえ、通常誰もが入れてくるルアーは、はなから見切っているとの判断がついた。
だからこそ、TOP50で唯一使えるジャイアントソフトベイトの「レイジーナイン」に反応だけはするわけだ。
ただ、深い場所から浮いてはくるが、ゆっくりとした喰わせでは喰う魚ではなく、横の速い動きにはついてこないバスである以上、見えない水深で「リアクション」を誘発できる「縦の速さ」が必要だと感じていた。
水深のあるカバーや立木のある岩盤に入れられて、なおかつスピードでリアクションを誘発し事故を起こせるルアー……最初に思いついたのがフットボールジグだが、それは誰もが思いつくことであり、すでに何度も入れられているだろう。
その時、過去11月〜1月のロケで幾度となく予想外の交通事故級ビッグフィッシュを仕留めてきた切り札的ルアーが、自分にはあったことを思い出した。
それが、今回のキールアーとなった「メタルクロー(スピン)13g」(以下:メタクロ)である。
このルアーには、本当に不思議な力がある。
どんなルアーも釣れない時ほど、とんでもない1発を連れてきてしまう、まさに大事故率No.1のリアクションベイトである。
それは過去、晩秋から冬の取材、ロケで幾度も証明されているゆえに、時期的にも自信を持って使うことができたのだ。
「弥栄マグナム」の食わせ方