気温の低下につれ、水温も徐々に秋めいてきた。
真夏のワカサギパターンがひと段落すれば、いよいよ琵琶湖に秋が訪れる。
「秋は魚の動きが日替わりで、しかも散っちゃうから大変な季節です。でも、魚の行動さえ読み切ればそんなに難しくは無い。むしろ食い気の立ったバスが果敢にアタックしてくるので騙しやすくなる季節です」
琵琶湖でガイドを営む礒村とって、秋の琵琶湖に苦手意識は無い。
しかし、一般のアングラーにとって散ったバスを、あの広大なフィールドから見つけ出すのは至難の技である。
礒村雅俊(Masatoshi Isomura) プロフィール
魚のポジションと目線
「基本はベイトとウィードがリンクするエリアを探します。あとはそこにバスが入ってくるかどうかです。ウィードが広く生えるエリアよりも、パッチ状に残るエリアの方が魚が止まりやすいです」
ここで言うベイトとは主にハスやコアユである。
今の琵琶湖、特に南湖ではワカサギが多く居るため、バスがそちらに付きがちである。
しかし、秋になればワカサギのパワーが落ち、ハスやコアユの方がバス達のターゲットになりやすい。
「秋は魚が散りやすいと言いますが、エリア的に散るというよりも、レンジ的に散ることが多い。ウィードに対して、サスペンドしたり、ボトム付近にいたり、ウィードの上に乗っていたり、だから魚のポジションが絞り難くなります」
加えて、秋のバスは目線が上になるため、バスの居るレンジの上を意識する必要があると礒村は言う。
「釣れない時にはボトムの釣りに逃げたくなりますよね。でも秋は上へレンジを上げる必要があります。あくまでもウィードの存在は忘れずに、ウィードに対して上を引くのか下を引くのかが大事になります。僕の場合、魚のポジションが掴めない時はボトムからスタートします。ただ、ボトムと言ってもカバースキャットのような、ボトムべたべたの釣りではなく、魚の目線より上を意識して、ドライブスティックにトリガーネイル(カンジ)の1.8gを入れたリグでジャークして誘い、ウィードを利用してボトムから少し浮かすイメージです」
漁礁のようなハードストラクチャーに対してはファットイカにトリガーネイル0.9gを入れて使う。ウィードが少ないエリアではドライブスティックのような滑りやすいワームよりもブレーキの利くファットイカを使うのが礒村流である。
そういった細かな使い分けをするからこそ、礒村は魚を見失わない。
巻きモノの使い分け
魚がウィードに対して浮いている時は巻きモノの出番である。
手返しよく探る意味でも秋は巻きモノの存在が欠かせない。
「ウィードが多かった頃の琵琶湖と言えば、カーリー系のワームを巻いたり、バイブレーションの早巻きだったんですが、今はウィードが減ったことで、いかに丁寧にウィードを狙えるかが肝です。だからウィードのタッチ感が分かりやすいアベンジクランク400は今の琵琶湖に最適なんです。引き抵抗がシャロークランクぐらい軽くて、でも手元にはルアーのアクションがしっかりと伝わる絶妙なアクションなので、ウィードにタッチしたことがすぐ分かります。だからウィードに刺さり過ぎることもないので、ストレスなくディープクランクができるんです」
礒村にとって、今の琵琶湖を巻いて攻略する中で欠かせないアイテムとなっているアベンジクランク400だが、もちろん、それだけでは攻めきれない所もある。
特にウィードの背が高いエリアでは4mダイバーのクランクはウィードに強く当たり過ぎるため、ストレスが生じる。
「アベンジクランクのレンジ違いを作るにあたって、どんなアクションが良いのかずっと考えていたんですが、ようやく見えてきました。ウィードの背が高いエリアの2.5mラインを引けること、それとウィードを掻き分けることができる強いアクション。それが魚を引っ張るアピール力にもなります。でも、アベンジクランク400と同じく引き抵抗は極限まで軽くしたいですね(笑)」
これまたビルダー泣かせな凄い事を簡単に言う礒村。
しかし、実現すればアベンジクランク400に続く名作になる事は確かだ。
「あと秋はスピナーベイトも欠かせません。クランクがウィードに対して縦に探るルアーならスピナーベイトは横に探るルアーです。着水してから狙いのレンジまでフォールさせ巻いてくることで、長い距離を横に探れるんです。基本はアベンジスピンの3/4ozを使いますが、一定のレンジを引くコツとして、リアブレードを少し潰します。これによってブレードのアクションが少し強くなるので引き抵抗を感じやすく、ゆっくりと巻きやすくなります。さらにゆっくりと巻きたい時はトレーラーワームとしてスイングインパクト3.5インチを付けるといいですね」
ベイトのサイズや、その日の反応に合わせて1/2oz、3/8ozとサイズを変える事も、魚の気移りが激しい秋には大切なテクニックである。
タックルセレクト
ウィードを絡めた釣りには高弾性でパワーがあり、ウィードを切りやすいイフリートシリーズが最適である。
「ドライブスティックなどをジャークする釣りではウィードを絡めるとウィードが邪魔でアクションが伝わり難くなります。なので、パワーのあるB70H-RFが良くなります。強いアクションでリアクションを誘発してやることで魚にスイッチを入れます。ラインもファメル「フロロアディクト」の20lbを使います。アディクトは伸びが少なく、硬いラインなのでアクションに切れが生まれます。魚がウィードの上にいたり、ウィードが薄いエリアではB70MH-Fでウィードからワームが離れ過ぎないように優しくアクションしてあげる必要があります」
同じリグとアクションの釣りでも、エリアや状況に合わせたタックルセレクトが釣果を上げる肝になるのだ。
「イフリートシリーズはウィードエリアであれば巻物にも適しています。特にスピナーベイトのスローロールの釣りには高感度で魚を掛けに行けるイフリートが適しています。秋のクランクではウィードに当てて止める必要があるので、グラスコンポジットが良いですね。イフリートシリーズにはまだグラスコンポジットがないので、ATS05のB70Mを使ってます。ラインも伸びがあるフロロを使いたいので、ファメル「フロロドレイク」が良いです」
現在のイフリートシリーズは撃ちモノ系のシリーズが多くあるが、今後アベンジクランク400などのムービングルアー用にも追加機種を開発中。
LUXXEのフラグシップであるイフリートシリーズが今後更なる進化を遂げそうである。