富山湾といえば、ホタルイカの身投げ。
産卵のタイミングでホタルイカが浅瀬に寄り、波打ち際一面に青白い光が広がります。時期は2月下旬、3月初旬から始まることが多いのですが、このホタルイカを捕食する魚を釣る、ホタルイカパターンに強力なアイテムがAQUA(アグア)のルアーブランド「フラッターベイツ」から登場します。
まんまホタルイカといえる、ホタルイカをイミテートした「ズィークイッド」シリーズに「N(ナチュラル)」が追加されるのです。
今回はフラッターベイツのフィールドテスターである松本和敏氏にズィークイッドNの特長をはじめ、富山湾における同アイテムの使い方や釣り方を解説してもらいました。
神秘的な現象、ホタルイカの身投げを生かしたパターン
皆さんこんにちは。フラッターフィールドスタッフの松本です。新たに発売されるズィークイッドNについて、また富山湾での有効な使い方を説明したいと思います。
スーパーディープが隣接する富山湾ならではの神秘的な現象、ホタルイカの身投げ。この岸際でのホタルイカの大量発生天然撒き餌状態に伴い、たくさんの魚達が捕食しに集まってきます。
この現象を利用してホタルイカルアーで釣るのがホタルイカイカパターン! 一旦パターンに入ると、信じれない程の爆発力、釣果を見せ、アングラー虜にしてしまいます。
釣り以外でも、ホタルイカの青く美しい光、これを見るだけでも価値があり、また夜明けの立山連邦も富山の魅力です! 富山でしか体験できないホタルイカパターン、ぜひ楽しんで頂ければと思います。
ターゲットはクロダイ、メバルをメインに多種多彩
メインターゲットとなる2大魚種は、クロダイ(チヌ)、メバルです。この時期の富山のクロダイは引きが強烈で、重戦車のごとく引ったくっていきます!
やり取りもとても緊張感があり、私をはじめ、この引きにハマった人もたくさんいます。その引きの理由のひとつにサイズもあり、年なし(50cm)クラスが狙えて、釣れてくれば40cm以上が8割という魅力的な釣りになります。
メバルは、体高のあるコンディションのよい良型が釣れます。アベレージサイズで23~26cm、それ以上も珍しくなく、尺メバルもシーズン中に毎年聞かれます。
昨シーズンに関していえば、メバルがかなり不調で、もしかすると個体数が減ってきたのかもしれません。それでもこのアベレージサイズのメバルは、全国的にも魅力あるサイズではないかと思います。
そのほか、さまざまな魚種にも実績があり、カサゴ、ムラソイ、キジハタ(アコウ)、シーバス、マダイ、ヒラメ、マゴチ、アジ、イナダ、稀にアイナメなども釣れます。
序盤2月は新月大潮周りが狙い目、4月は連日チャンスあり
ホタルイカパターンとしては、4~5月がハイシーズンといえます。いずれにしろ、ホタルイカの身投げ現象に大きく左右されるのがホタルイカパターン。
シーズンも初期の初期、2月は、ホタルイカの出やすい条件、新月大潮周りの数日のみは若干の釣果が望めます。3月も同様に、新月大潮周りでホタルイカが出て釣れます。
そして4月。メイン月といえ、水温も上がり、潮周りにあまり影響されずホタルイカの身投げがあるので、毎日チャンスがある状態となります。とはいっても、やはり新月大潮周りは狙い目。
そして、例年5月の新月大潮に、ホタルイカの身投げのピークが来て、一般的にはここでシーズンオフになります。
ただし、富山県西部、中部、東部魚津までは、5月で終了になりますが、それより東(北)は、桜前線のように、季節が遅いので、6月でもホタルイカが出るので釣ることができます。
釣れる魚種は、その季節でのピークの魚種が釣れやすいという事になります。乗っ込みが絡むタイミングなどもあり、具体的には以下のような感じでしょうか。
2月、3月…クロダイ、メバル、カサゴ、ムラソイ
4月、5月…クロダイ、メバル、カサゴ、ムラソイ、シーバス、大アジ
6月…マダイ、キジハタ、クロダイ、メバル、カサゴ、シーバス、大アジ
ズィークイッドシリーズのアクション
実際に水中に居るホタルイカを見て頂くとわかりますが、30cmぐらい水平、斜め上、斜め下に進んで止まる、また30cmぐらい進んで止まる、そんな動きをしていることが多いのです。
ズィークイッドシリーズは、そのホタルイカの動きを演出する設計となっており、あらゆる動きを演出できるよう、現在3種類の仕様があります。
①フローティング(F)
②シンキング(S)
③スローシンキング(SSS=スーパースローシンキング)
フローティングは、止めるとゆっくり浮き上がります。ホタルイカが止まった後に上に移動する動きを演出します。浅い場所や上を意識している時に効果的です。参考までに、ホタルイカは表層、中層、ボトム付近と全層に居ます。そのため、上から下まで全てがヒットレンジとなります。
シンキングは、速めに沈みますので、止めると下方向に移動するホタルイカの動きを演出します。また、深い所(3~5m)を狙うのに向いています。
スローシンキングは、ゆっくり沈みますので、中層を漂うホタルイカの動きを演出しやすいです。 S、F で食わないのに、SSSだと口を使う。一昨年テスト販売を得て、昨年正式リリースから、皆さんの釣果含め、「SSSが有効だった」ということが度々報告されています。
つまり、よりホタルイカの動きに近いということです! 捕食者であるクロダイが、ホタルイカに近いがゆえ、本物のホタルイカと勘違いしやすくなっているということです。
Nはサスペンド状態を基本とする
では、今回リリースされるズィークイッドN(以下ZQN)は、どんなホタルイカを演出するための仕様かといいますと、ズバリ漂って止まっているホタルイカの完全再現仕様です。より本物に近い動きを再現しています。
具体的にいうと、SSS仕様でもかなり近い動きを演出できるのですが、さらにそれをも超える仕様です。
実際はサスペンドより沈んでいるか分からないくらいゆっくり沈む設定になっていますが(リーダー、スナップ、さらに塩分濃度や水温により、浮いたり、沈んだりする場合があります)、これは、狙いダナにゆっくりでも送り届けることができるような設定としてあります。
SSSにより、劇的に釣果が伸びましたが、さらに漂う感を演出することによる釣果向上を狙った仕様となっています。
基本はタダ巻きと止めだけでOK
使い方の基本は、タダ巻き、止めるの2つになります。今回リリースされるナチュラルは、止めた時に、本物のホタルイカのように、浮きもせず、沈みもしない、サスペンド状態になります。
ホタルイカパターンの釣り方の1つに、何もせず、ほったらかしで釣る「ほっとけ釣法」という釣り方があります。
投げて、狙いたい水深に沈めた後、とにかく何もせずにひたすら待つ。短くて20秒、長いと3分。すると、いきなりひったくるように持っていかれます。
プラグを止めたままで、見切られるどころか、逆にバイトしてくる。これは、まさにホタルイカの動き(動作)その物だからです。
この、ホタルイカが漂う状態に限りなく近付けたのが、今回のZQNとなります。
アクションのワンポイント
特別難しい操作は必要ないのですが、ZQNを扱う上でコツとなるポイントもあります。完全サスペンドにするために、前述した通り、リーダーやスナップ重量、また海水塩分濃度、水温が関係し、場合により、ゆっくり浮いたり、ゆっくり沈んだりするため、しっかり動きを見てから使う必要があること。また、これも繰り返しになりますが、「止め」をうまく交えながら使わないと最大限の効果を発揮できないので、このあたりがコツとなります。
カラーとサイズ、その使い分け
ズィークイッドシリーズのサイズは90、75、60があります。いずれも一定の効果がありますが、サイズによる使い分けの一例を挙げておきます。
90はクロダイ、シーバス
75はメバル、クロダイ
60(Nは60仕様なし)はメバル
カラーの使い分けですが、考え方として、アピールして広範囲の魚に見つけて貰いたいなら派手なカラー。魚はいるが食いが渋い、アピールが強いと口を使わない時は、地味で、周りの風景(海藻や底質)になじみ、同化して見えにくくなるカラーを選びます。
また、どんな状況でも安定した釣果のある実績カラーは、ラメゴースト、新月ピンクです。あらゆる状況でも釣果にムラが出ず、安心して使えるカラーで、はじめに状況を確認する、サーチベイトにも向いています。
ラメカラーについてですが、朝方や明るい月夜など、光量が多い時は、ラメが入っているカラーがフラッシング効果により高アピールとなることが多々あります。そんな状況ではぜひ試していたただきたいカラーでです。
ターゲットが好むホタルイカの状態を見極める
また、ホタルイカは凄く元気な時は赤色、通常のホタルイカはクリア、弱ったり、死んで沈んでるホタルイカは白色です。実際、その時の魚が、どのような状況のホタルイカを好んで食べているかで、似た色を選ぶのも方法の一つとなります。
ルアーの動かし方、カラー含め、その時どんな状態のホタルイカを好んで食べている個体が多いかに合わせていくのが基本的な考え方になります。