みなさま、初めまして!
入社2年目の記者がまさに「九死に一生を得た」体験談をお届けいたします。
実は記者、アタることが多い男なのです。おそらくアタる数に関して言えば、編集部随一とひそかに自負しています。
アタるというと甘美な響きに聞こえますが、ここで残念なのが「魚のアタリをとる(竿頭的な意味)」ではなく「魚にアタること」ということ。
過去に4回ほどアタリ、そのうち2回は救急車による緊急搬送という重度のアタリ屋。なかでも特に地獄を体験した「アニサキス」についてお話ししようと思います。
本当に危険なアニサキス
まず、アニサキスとは魚やイカなどに寄生する糸状の生物です。全長は1~2cmほどの大きさで、白いイトミミズのような姿をしています。
大きさでいえばミリ単位の微小なアニサキスなのですが、万が一体内に飲み込んでしまったが最後、とてつもなく辛い症状が待ち構えています。
出典:世田谷区食中毒予防アニサキスによる食中毒に気をつけましょう!
そもそも、アニサキスは寄生する宿主(しゅくしゅ)がいないと生きられない生き物。
ふ化してからはオキアミに食べられ、寄生しながら成長し、オキアミがサバやアジなどに食べられ、さらに寄生し、最終的にクジラやイルカなどの海洋ほ乳類に食べられることで成虫となり卵を産み、フンなどともに卵が排出され、循環していきます。
その過程で人間がアニサキスを生きたまま食べてしまうことで、食中毒が起こります。季節的には12~3月の冬時期に多く発生し、サバやイワシ、イカ、青物などの魚に多く寄生しているといわれています。
「もう○○してくれ」と思うほど地獄な症状!一人暮らしの方は特にご用心!
アニサキスを食べたことで起こる中毒症状は下記の通り。
腹痛・嘔吐・発熱・悪心・蕁麻疹
経験上、一番ツラいのはもちろん腹痛です。正直あの痛みは…尋常ではありません。
みぞおちの内側からナイフで刺されるような激痛が走り、次いで悪寒・嘔吐・発熱が押し寄せ、立って歩くこともままならない状態になります。記者は特に腹痛と嘔吐、悪寒の症状が強く、いったんトイレに入ったものの、そこから痛みと倦怠感で立ち上がることができませんでした。
映画「エイリアン」で内臓を食い破られる時ってこんな痛みなのだろうか…という思いが一人トイレで走馬灯のように駆け巡ったのを記憶しています。
ちなみにこの悪寒・悪心、自分が経験したことのある辛さで言うとインフルエンザくらいでしょうか。
インフルエンザに罹った状態で、腹部をナイフで刺されたような痛み…、あまりの辛さに、「もう××してくれ!」と思うほどの苦しみでした。
この苦しみが続くのであれば、〇んで楽になりたい…そんなことが脳裏をよぎりました。
ここで追い打ちをかけたのが、一人暮らしという環境です。特に記者は夜中にアニサキスの症状が出たため、開いている病院もなく、自力で夜間診療に行くこともできず救急車を呼ぶことにしました。
救急車に乗るころには意識がもうろうとしており、実際そのころの記憶はほとんど残っていません。
一人暮らしの方でアニサキスの症状が出たら、迷わず救急車などを使い迅速に病院へ行くことをオススメします。決して、無理して車で向かうといった無茶をされないようお気を付けください。
結局、記者は病院に搬送されたのち内視鏡で摘出(されたらしい)、翌日には退院することができました。しかし、あの辛さを経験してからというのも、トラウマで刺身がしばらく食べられませんでした。
アナフィラキシーショック症状など合併症状のリスクも高いアニサキス
アニサキスが起こす食中毒症状のほか、消化器外アニサキス症や腸アニサキス症など併発する場合もあります。また死骸となってもアニサキスの成分に反応して起こるアニサキスアレルギーの危険性もあります。
通常は数日ほどで症状は治まりますが、合併症状のリスクがあるので、症状が出た場合は速やかに病院に行くようにしましょう。
サバやイワシ、イカ、青物だけじゃない!全魚種に危険性あり!
前項でサバやイワシ、イカ、青物に多いとお伝えしましたが、このアニサキスの寄生は全魚種に当てはまるものです。ほかにもタラやホッケ、サンマにも多く寄生するといわれているので、生食・刺身で食べる場合は注意が必要です。
ちなみにシメサバからの摂取例もあり、酢漬けや塩漬けではアニサキスは死滅できませんのでご注意ください。
アニサキスは、「60度以上での1分以上の加熱」「マイナス20度以下での24時間以上の冷凍」によって死滅しますので、そう言った調理処理が施された場合はリスクが大幅に下がるとのこと。
また細かく噛むことでアニサキスを殺して食べるという方もいますが、こちらもあまり推奨はしません。噛むことでアニサキスを確実に殺せるという確証もなく、仮に噛み殺せたとしても死骸などで反応するアニサキスアレルギーのリスクもあるので、注意が必要です。
アニサキスは見つけて駆除がベスト!
アニサキスが怖いから刺身で食べないというのも一つの手段ですが、やはり釣り人の特権である新鮮な刺身は味わいたいもの!
サイズは1cm前後のため、さばくときに発見して摘出すれば問題なくいただくことができます!見つけ方としては、刺身に切った後、身をライトに照らすことで透けて見つけることができます。
加えて、ブラックライトに照らすのも良いそうです! アニサキスはUVライト(波長370nm付近)に反応する性質があるそうなので、アニサキスが発光して浮かび上がるので簡単に見つけることができるんだとか。
※照射したポイントに潜むアニサキスが浮かび上がり、体内に入り込んだ個体までは発見できない可能性があるので、十分に注意しましょう。
UVライトはグロー系のルアーやフックにも使えるので、アニサキス対策のためにも持っていて損はないですよね。
釣った後は素早く内蔵を摘出!
出典:世田谷区食中毒予防アニサキスによる食中毒に気をつけましょう!
魚が生きているとき、アニサキスは魚の内臓に潜伏しています。魚の死後、内臓から体内に移動するため、釣ってすぐ締めて内臓を摘出してしまえば体内に移るリスクは大きく下げることができます。食べる目的での魚の持ち帰りの際はぜひ解体用のナイフやハサミを用意していくようにしましょう!
また、人間の皮膚から体内に侵入といったエイリアン的なこともありませんので、ご安心ください!
今回、記者が体験したアニサキス中毒についてお話しましたが、決して大げさな内容ではありません。人により症状の出方も差はあるとのことですが、あの苦しみを思い出すだけでみぞおちが痛くなるほど辛いものでした。
これからの時期ではカツオや青物などが多く釣れる時期。くれぐれも刺身など生食で食べる際には十分にお気を付けください!