今江克隆のルアーニュースクラブR「次世代チビ羽根モノ系ルアーの鍵!アベンタRSRフィネスの可能性」の巻 第1061回
幻の「鬼ヤンマクローラー」
ここで古い話をしよう。
2017年のFショー用カレンダーカタログに「鬼ヤンマクローラー」と言うのが裏表紙に載っていたのを覚えているだろうか。
実はコレが、後に「アベンタRS」リアセットウィングのヒントとなるのだが、この「鬼ヤンマクローラー」、「アベンタクローラー」とは正反対の細身で後方に太い頭があるカタチ(尻尾にアイがある)をしており、同時に前が細身過ぎてデッドスローで巻いた時に全然パワーがなかったのである。
それゆえ、この「鬼ヤンマクローラー」は正規カタログには載せず、ショーでもお飾りのように陳列ケースの片隅に置かれていた。
この時は、まさかこれが2021年の今江的「羽根モノ新コンセプト」に繋がるとは夢にも思ってはいなかった。
このリアセット透明ウィングの「鬼ヤンマクローラー」、ある性能だけは素晴らしかったのだが、それを自分は当時完全に無視してしまったのである。
その意外な性能こそが、次世代羽根モノの鍵を握っていたのだ。
そして昨年、「アベンタRS」を透明樹脂で「フルサイズ」化した「アベンタRSR」は素晴らしい完成度になったが、その時、同時進行していた「アベンタ」の羽根だけをイメージした「横ピクワカサギ」が頓挫しており、なんとなく思いつきで昔の「鬼ヤンマクローラー」をワカサギっぽいシルエットにして試作してみてくれと長井に頼んでいた。
もともと今江的には羽根は絶対にたわまない硬質素材が絶対条件で、「鬼ヤンマクローラー」の羽根は防弾ガラスとしても使われる超高強力高耐性樹脂製で作っていた。それを搭載し、かつイマカツのオリジナルであるリアセットウィング式で長井がトンボからワカサギにイメージチェンジさせたのが、開発仮称「アベンタRSRフィネス」だった。
分かっていたことだったが、この「アベンタRSRフィネス」はプールテストでは素晴らしいハイピッチ&デッドスロー性能をみせてくれた。
しかし、今江的には仕上がりの美しさに感動しながらも「たぶんチビしか釣れんで」と、はなから結果を予想していた。
そして現実、「アベンタRSR」と平行させた実釣テストでは、予想通りの小バスキラーの本領を発揮したものの、デカバスはやはりデカい「アベンタRSR」の圧勝に終わった。
今年の春まで試したが、やっぱダメだこりゃ…お蔵入りだわ…と「鬼ヤンマ」同様、今度はインスタに「不遇の迷作」として初公開することになった。
しかし、何となく引っ掛かる部分がまだ残っていたのだろうか、先々週の池原ダム釣行に1個だけBOXに入れて行くことにした。
虫の知らせというか、まさにこれが転機となるとは、この時は全く思ってもいなかった。
池原ダムで、なんとなく「(アベンタ)RSRフィネス」を投げてみると!