今江克隆のルアーニュースクラブR「今江式テナガモード!? 増水時の釣り方の気付き〜トップ50霞ヶ浦水系戦レポート〜」の巻 第1058回
「野良ネズミ」に出たミスバイトを逃さずフォロー
この時点で勝負の軸は「野良ネズミ今江式テナガモード」に決め、「野良ネズミ」に出たミスバイトを逃さずフォローするための釣り方を探すことに、練習後半は時間を費やした。
「野良ネズミ」へのバイトの出方から、バスはどんなに浅くても目線上を意識しており、「縦落とし」には見事なほどに無反応、ところが「下から上へ何かを伝って逃げるように浮き上がってくるモノ」を反射的に追いかけて水面ギリギリで喰いつくことに気が付いた。
要は「ピックアップしようとした時に水面ギリでバイトしてくる」現象だ。
フォールとは真逆の動き、コレを意図的かつ自然に表現することが鍵に思えた。
これは恐らくテナガエビがボトム方向に逃げず、水面方向へと上にピピツと逃げるような動きをすることにバスが反応するためと思われた。
しかし、フォールは自然にできても、水面までのリフトを自然に行うのは、まさに無意識のピックアップ時にしか起こせない動きであり、偶然を意図的に発生させる必要があった。
それには「偶然の動きを勝手に起こせるモノ」を利用する必要がある。
この要素は「野良ネズミ」の動かし方にも該当する、とても重要な「気付き」だった。
最終的に見つけた釣り方は、「アベラバHD」の2.3gのカラー部分を砕き取り、ヘッドを1.1g程度に軽量化したものに「タイニーゲンタホッグ」の「マックスブルーフレーク(#S-481イマエGPマックスブルーフレーク)」というギラギラのラメが入ったカラーを装着したモノだった。
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「アベラバHD」のロングキーパー部分をニッパーで粉砕除去し1.2g相当に軽量化。抵抗が大きく波動の強い「タイニーゲンタホッグ」の最も強いカラー「GPマックスブルーフレーク」をセット。ほぼノーシンカーパワースモラバ
「アベラバHD」のキーパー部分を砕いた理由は、HD(ヘビーデューティー)のフックの強さとガードの強さが必要だったからである。
「アベラバ」には1.2g設定があるが、フックが細くガードも弱いスピニング仕様であることから、「アベラバHD」のロングキーパーを除去することで1g台まで軽量化、同時にフォール速度を限界まで押さえるため抵抗の大きくハサミの重さで投げやすい「タイニーゲンタホッグ」を選んだ。
使い方のキモは、簡単にいえば超スローで目視下で行う、「ジグスト」と「水中吊るし」のコンビネーションといえば、勘のよい人は分かるかもしれない。
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超軽量ハードガードスモラバにボリューミーで抵抗のある「タイニーゲンタホッグ」をフォールではなく、目視でスローに水面直下を泳がせ、自然なクイックリアクションを入れるのが、練習で見つけた釣り方
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一見、普通の「アベラバ」に「タイニーゲンタホッグ」に見えるが、使い方は通常のスモラバとは全く異なる。底につけたら負けといってもいいほど表層専用パワースモラバだ
未曾有の大増水で全ての沖パターンは消滅し、残ったのは…
そして台風は大きく逸れ、結局練習中に雨はほぼ降ることがなかったが、逆に梅雨前線を強烈に押し上げてしまったことで試合本番は災害級の豪雨が3日間続く異常事態となった。
未曾有の大増水で全ての沖パターンは消滅し、残ったのはやはり大増水のアシ攻略パターンだった。
結果、今回の霞ヶ浦水系戦は、実に選手の約半数が毎日ノーフィッシュとなる史上最難関の試合となった。
激変し続ける状況下で3日間、バスを釣り続けられたものだけが上位に残れる、まさに「今を釣る力」を試された試合だった。
初日5本、2日目1本、決勝1本、「野良ネズミ今江式」でアシの表層を攻めきり、「アベラバHD1.2g」+「タイニーゲンタホッグ」を泳がせ、搾り出した全力の結果である。
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5本揃えたら超人とまでいわれていた霞ヶ浦水系戦でまさかの初日5リミット達成、4440gで2位スタート。練習で気付いた2つの「増水対応の釣り方」が奏功した
優勝、そして表彰台は逃したが、荒天で2時間短縮開催となった予選2日目の1本、そして決勝ラスト5分で喰わせた執念の1本、そこに今期の自分のメンタルと、力の復活を確信できた価値ある試合だった。
試合本番3日間の詳細は、7月20日リリースのルアーマガジン「リアルファイト」で、ご覧ください。