ヤマガブランクスのNEWロッドシリーズ「EARLY(アーリー)」。
2021年、for Surf(フォーサーフ)、for Rock(フォーロック)と登場し話題となっていますが、そもそも、EARLYといえばシーバスロッドとして2010年に誕生した人気シリーズ。
今回は8月にリリースを控えた「EARLY for Seabass」について、その特長やEARLYシリーズの系譜、インプレなどお話を伺ってきました。シーバスファンはもちろん、興味がある、これから始める、そんな方まで必見の内容です。
EARLYについて
まず、ヤマガブランクスのシーバスモデルとして2010年にリリースされたのが「EARLY」であり、その後に多様化・細分化するシーバスシーンにおいて様々なメソッドやシチュエーションとニーズに答える形で2015年に「EARLY Plus」としてリニューアルしました。
そして、2021年に私たちの考えるミドルクラスのゲームを網羅するEARLY ALL CASTINGとして、シチュエーションとターゲットに合わせたラインナップを再構築することになりました。
これまでのシーバス専用シリーズの中にあるサーフやロックモデルという構成ではなく、ショアキャスティングゲームという大きなカテゴリーの中にサーフやロック、シーバスというコンセプトモデルがあるのが、新しいアーリーシリーズです。
そして、2021年の8月に「for Seabass」というシーバスコンセプトモデル2機種が登場します。
代々のアーリーで受け継がれるYAMAGA Blanksが求めるシーバスロッドの性能は、新しい「アーリー・フォーシーバス」でも基本的に変わりません。
キャスト時のリリースポイントを広く取り、誰もが軽い力で飛距離を出せる「キャスト性能」、長時間の実釣でも疲労を軽減し集中力を持続させるための「軽さと操作性」、スムーズなファイトとバラシの軽減に繋がる「曲がりと粘り」を突き詰め、アーリーでは更に高いコストパフォーマンスも追求しております。
この系譜に素材と技術の進化も加わり、ブラッシュアップされたのがニューモデルの「EARLY 93M」と「EARLY 97MMH」の2機種になります。今回はその2機種の中から、シーバス用のスタンダードモデルという位置づけの「93M」についてご紹介させて頂きます。
EARLY 93M for Seabass
93Mは、シーバスゲームのスタンダードモデルであり、バーサタイルに活躍するモデルとして開発されました。
モデル特性としては、高い汎用性と自由度を持たせるにブランクに適度な張りを持たせ、曲がりの支点を手元側に寄せ、レギュラーテーパー寄りの設定になっています。そうすることでキャストに関しては軽い入力でロッドを曲げ込め、あとはロッドの反発で楽にルアーを押し出してくれます。
操作の入力に関しても、ロッドの復元力を意識した軽い操作でロッドが仕事をしてくれ、体力的な負担も軽減される利点となります。
また、重要になるファイト面ではロッド全体で激しいエラ洗いやジャンプを受け止める曲がりと追従性によってシーバスをいなしやすく、曲げ込んでこそ発揮されるパワーで不意のランカークラスでも安心感持って対応できます。
そして、様々なフィールドで取り回しの良い9ft3inのレングスなので、ウェーディンゲーム・港湾部・沖堤防での遠投を必要とされるシチュエーションにもベストマッチ。バイブレーションやミノーのジャーキング等の操作レスポンスにもこだわり、幅広いフィールドをカバーできるように仕上げています。
このモデルでは、ウェーディングの必要がある河川や小磯、港湾といった多彩なシチュエーションで実釣を繰り返してきました。
シーバスの魚影に恵まれた熊本県・熊本市内河川・天草エリアや福岡県博多湾に浮かぶ沖防等で、主に定番サイズである9~12cmクラスのミノーを主軸に、シンキングペンシルと16~28gのバイブレーションや鉄板バイブ・スピンテールを使用してましたが、感度・操作性共に高いレベルでゲームを展開できました。
河川や瀬戸のナイトゲームで外せない橋脚明暗狙いでは、闇雲にキャストするよりも明暗の境をいかに長く引けるか、もしくはナチュラルに流しつつピンポイントでバイトさせるとかいう、狙った魚にトレースコースを操作して口を使わせるという展開が大きな意味を持ちます。
そのためには、常に変化する流速に合わせてルアーの着水点を変えていく必要があり、特に立ち位置が移動できないようなポイントでは、河川の規模に限らず絶対的に「飛距離」が重要となります。
その飛距離に加え、93Mは遠距離でのミノー・シンペンの泳ぎの挙動、ルアーがクロスからダウンストリームに入るターン時の振動を手元にはっきりと伝えてくれる「感度」も十分に実感。常夜灯の絡まない暗闇の中では、この感度がバイトを得るための手掛かりとなり、キャストを続けるモチベーションの維持に大きく寄与します。
沖堤防や港湾部では沖の潮目を攻略するための遠投性能は必須。また岸壁際をタイトに狙いたい・足元まできっちりとルアーを引くことを考慮すると、まず9ftクラスのロッドが選択肢に入ります。
その上で操作性も…と考えると、9ft前半クラスの9.3ftのレングスが重要な意味合いを持ちます。
また、使用するルアーはバイブレーション・鉄板バイブやスピンテールを軸に9cm~14cmまでのフローティング&シンキングミノーやジグヘッド+ワームなど多彩なルアー。これらのルアーを使いこなす必要もあるわけです。
冒頭でも述べましたが、93Mは幅広いキャストウェイトと遠投性を持ち、ルアーの操作性を突き詰めています。加えて、ルアータイプを選ばない汎用性能は見た目の変化に乏しい沖防でアングラーの持つ引き出しを最大限にサポートし、混雑時の限られたスパンでの釣りや渋い状況で活躍してくれるでしょう。
またバイブレーション等を使用する際に、水深やボトムマテリアルに地形変化の把握が解りやすいというのもこのモデルの特長です。
93Mは波の穏やかな内湾の地磯やゴロタ浜をランガンし、ウェーディングで狙う場合の取り回し面で良好なのも特長の一つです。
また、地磯の回遊待ちやランガンする際、釣行時間は数時間から場合によっては満潮から満潮迄(私の場合)までみっちりという場合もあります。そこで93Mを使用し感じることは、「軽さ」と低入力で高出力にルアーを打ち出してくれる「キャスト性能」により、体力的負担が少ないこと。そのため釣りに集中できることを実感することができます。
ファイト性能についてですが、特に地磯で釣りをする場合において、不意にヒットするフィッシュイーターの中でもトルクフルなパワーを持つ「真鯛」の存在があります。93Mはそんなターゲットでもロッドが曲がる事で真鯛の首振りを吸収し、無駄に暴れさせずにランディングに持ち込むことができます。
このマダイは激流と沈み瀬が点在するシャローエリアでヒットしましたが、曲げ込むと潜在するパワーが発揮され、一瞬で勝負が着きました。浮いてきてから意外に良いサイズだったという事に気付くほどです。こういった不意の真鯛に対しても、しっかりとロッド全体で曲がる事で無駄に走られることなく制御できるので真鯛シーズンでも活躍する1本だと感じました。
曲がりの支点が遠く、ベリーからバットが硬すぎるロッドでは無駄にラインも出ますし、フッキングポイントにも拠りますが、首振りでフック伸びや口切れなどの可能性も上がります。オフショアで言えば、同じ真鯛のファイトでも硬いジギングロッドか、曲がるタイラバロッドかで比べたら、同サイズの魚でも引き方が全く変わるのと同じです。
シーバスから話は脱線しましたが、シーバスの40~50cmクラスでも曲げて楽しめる、そしてランカークラスも曲げこんでバットに乗せることができ、安心してファイトできるというのが93Mです。
今回は様々なシチュエーションで使用した実釣のインプレも含めてご紹介とさせて頂きましたが、バーサタイルなシーバスロッドが増えつつある昨今、YAMAGABlanksが求めた基本性能バーサタイルモデルとは何かを実感いただけるモデルがアーリー93Mフォーシーバスです。
まだ始められて間もない方でも扱いやすく、中級者~上級者の方もフィールドで培った経験と引き出しをサポートし、記憶に残る魚と出会って欲しいという思いが93Mには込められております。
次回はもう一つのシーバス・コンセプトモデルEARLY 97MMH for Seabassについてご紹介させて頂きます。
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ヤマガブランクス(YAMAGA Blanks)