今江克隆のルアーニュースクラブR「忖度ナシ!大注目スピニングリール・ゼノン3000をインプレ!さらに今江的ベストバイも紹介」の巻 第1053回
今江的ベストバイは?
結論的に「ゼノン2000」、「ゼノン2500」、「ゼノン3000」を総合的に実戦判断した場合、今江的ベストバイはABU独自のライントラブル制御ベールの効果から、3mm小径化を差し引いても「ゼノン2500S」だろう。
自分は昔からベイトリールに関してはABU一筋だが、超ライトラインを使うスピニングリールに関しては、ABUの許可を得てダイワ、シマノの最高峰モデルを長年使用して来た経験があるので、逆によく分かることがある。
今回の「ゼノン」において、最も不安だった点は先週記載した「スプール径の小径化に伴うライントラブル」だった。
特にフロロ4lb前後を使ううえで、この性能はスピニングリールで最も重要視している部分である。
個人的に昔から「軽さのダイワ」、「ドラグ性能と精密度のシマノ」という印象があるが、ABUは「MGX」で「ロケットラインマネージメントシステムTM」を搭載して以来「ライントラブルが少ないABU」という印象がある。
現在、スピニングリールにおいても迷いなくABU一択になった大きな理由がここにある。
正直いって、どんなに精密さがあってもスピニングの「モモリ放出」はベイトリールのバックラッシュ以上に性質が悪い。
スピニングリールの致命傷ともいえる「モモリ放出」だが、これはスピニングリールの物理的構造上完全に解消できるものではない。それだけにどうやってモモリを抑えるかが、実は一番重要な要素だと思っている。
ABUのスピニングは、ベールの開き角とスプールエッジ構造の組み合わせと、放出ラインがチョークガイドに入る時の螺旋制御に独特の機構があり、ライントラブルを意外なほど軽減している印象がある。
モモリは結構スピニングの「スプール幅とオシレート幅」の関係にも何らかの黄金律があるように感じており、「MGX」以来、ABUは意図的なのか、偶然なのか、そこがとても良いツボを突いている気がする。
もちろん、ラインを巻く折にラインの巻いてあるスプールの巻き方向と、スピニングのツイスト方向を逆にすることでヨレを軽減する高度なトーナメントスピニング巻きテクニックもある。
これは正直かなり面倒くさいわりに効果は最初だけに過ぎないので、あまりオススメしないが、ABUのスプールの個性として、糸巻き量をスプールエッジより結構少なめに巻いて置くことでモモリトラブルは相当軽減されることは覚えておきたい。
そして、そのアンチモモリ性能の特徴が「ゼノン」においてはさらに向上した感があり、昨年のプロトを手にした当初は小径化にかなり抵抗があったのだが、今は「2500番(45mm径)」で「旧2500(48mm径)」と比較してもライントラブルにほぼ遜色はないと感じている。
それでいて格段の軽量化による操作恩恵がある「ゼノン2500S」をベストバイとした理由である。
ゼノン2000、3000がハマるのは??
「2000番」に関してはスモールマウスバス、管理釣り場など3lb以下で超がつく繊細な操作優先なら十分実戦に耐えうるものである。
むしろその圧倒的軽量感は、大きな武器になるだろう。
「3000」は4〜6lbフロロには必要だが、まずハンドルノブが2500番同様にならないことにはバスフィッシングでは正直、手が出しにくい。
ただ、従来の3000番スピニングを使っていたユーザーには、2500番クラスの軽量さで、3000番の能力をもつ「ゼノン」はアリかもしれない。
今江的3000番のベストチョイススタイルは、「5lb以上のフロロで高比重ノーシンカー、もしくはPE1.5号クラスで50cmUPを強引に吊るすパワースピニングの釣り」というのが、現時点でのインプレ結論である。