今江克隆のルアーニュースクラブR「リールチューン二大巨匠の究極チューニングを斬る!LX922RS × LX922KTF」の巻 第1047回
沢村プロから、とんでもないスプールが!
しかし、「LX922RS」完成のタイミングまで沈黙を守っていた日本最強のメカオタ巨匠、沢村(幸弘)プロが、とんでもないLXスプールを開発、提供の連絡をしてきたのである。
そのタイミングからして、沢村プロが絶対の自信を持って送り込んでくることは、REVIVEに対する挑戦状にも思えた。
ここで断っておくが自分とREVIVE、KTFとは、共に契約関係もコミッション契約も一切ない。
共に最高のモノを作ってくれるのなら、忖度ナシに使わせてもらって、開発協力しますよというのが、自分の昔からのスタンスである(その方が面白いから笑)。
しかし、この2人の巨匠(オタクとも言う)の開発技術は、心底凄いと感服する。
全メーカーの最高峰ベイトリールは一応チェックしているが、お世辞、エコヒイキ、忖度抜きに、彼ら2人のベストチューンのABUリールは、国産最高機種(デフォルト製品だが)すら全く興味が沸かなくなるほど、驚異的な性能に激変する。
正直いって、グローバルスタンダード製品を標榜するABUのベイトリールは、デフォルトで国産最高機種を明らかに超えていると公言することは難しい……だが、彼らの手によってチューンされたABU/Revoが、ベイトフィネスという概念を作り、元祖ベイトフィネスリールとして日本を席巻。ベイトフィネスという新ジャンルを日本に定着させたのは、紛れもない事実である。
なので、忖度ナシに語ろう。
K.T.F. カスタムスプール 『KAHEN(カヘン)』
沢村プロの「K.T.F. カスタムスプール 『KAHEN(カヘン)』」は、「LX992Z」の過去最強に強化されたマグユニットと驚異的な相性の良さを発揮する。
過去、沢村プロに「LTZ」が生産中止になった折、「LTX・BF-8」のKAHENフルコンプを製作してもらったことがあったが、正直、パワーでネジ込む投げ方の自分には結構ピーキーで、特に風の強い環境ではブレーキ調整が極めてシビア、フルキャスト時はサミングにかなり気を使った。
当時は「LTZ930Pro」の方が、万能性とノンストレスさで上回っていると感じていたのがホンネだ。
その印象が強く、「KAHEN」はピーキーと思い込んでおり、マグからイジるフルコンプではなくただのポン付け用スプールとベアリングだけを送ってこられた時は、「ま、とりあえず試すか」といった感じだった。
だが、その印象はネオをポン付けした「LX992Z」を庭で一振りした瞬間に背筋に悪寒が走るほど衝撃を受けた。
そしてピッチングをしてさらに鳥肌が立った。
「なんじゃこりゃ!」思わず何度も口を突いた言葉だ。
そしてそれは、フィネスを試した瞬間、もはや絶句するものだった。
ポン付けだけで、あわや「LX922RS」に肉薄するピッチング&フルキャストフィーリングで、かつてのピーキーさは微塵も感じられなかった。
沢村プロがこのタイミングでスプールとベアリングのみを送ってきたのは、それでも絶対的な自信があったからこそだったことを、この時、気付かされることになる。
私が考えるに、「LX992Z」の過去一と言える極めて強力なマグユニットと、「KAHEN」独自の可動式ローターの相性が最高ともいえるバランスだったのだろう。
「KAHEN」は、スプールに設置されたローターが遠心力で強く回ると外にせり出し、ローターがマグに近づくことで超強力なブレーキ性能を発揮する。
同時に着水に近づき、スプール回転が落ちてくるとローターは元に戻り、マグとの距離が遠ざかりマグブレーキの効きが最弱になる。
ゆえに初速を強く抑え、終速ではブレーキレスなフィーリングで、まるで遠心ブレーキのような伸びを後半に発揮する。
さらに、神チューン対決は続く……