今江克隆のルアーニュースクラブR「1年ぶりに開幕!TOP50遠賀川戦の詳細と使用ルアー&パターンを紹介」の巻 第1045回
ついに開幕!
開幕戦初日、フライト順は60人中39番。
2日目逆順になっても上流狙いは絶望的だ。
フライト後、予想通り25艇近くが上流、堰周辺に向かった。
私は水門が絡むハンプ周りの2m前後のフラットを「ハドエラ」ミドストで巻きまくる戦略に。
そして開始早々、いきなり700gをキャッチ。さらに連続でヒットするが、ネットイン寸前でバラシ……さらにその数投後に今試合最大サイズがヒットするが、またまたネットイン寸前でバラシ……岸際で観戦していたギャラリーとカメラマンの悲鳴が響いていた。
正直、ランディングを焦った。
1年ぶりの試合、この開幕戦に予選落ちしたらいよいよ進退を考える潮時かという緊張が、体を異常なほどに硬直させ、明らかにことを急いでしまった。
この2発で心が折れるかと思ったが、ナゼか不思議と「また必ず釣れる」という妙な自信が今回はあった。
それから延々とノーバイトが続くが、淡々とブレずにミドストを繰り返した結果、風が吹き出した11時38分、再び連続バイトが起こり、今度は2本を確実にモノにすることができた。
目標の3本4kgには届かなかったが、3本3545g、12位で初日を終えた。
悔しさはあったが、それ以上に3人に1人がゼロという厳しさの中、バラしてもメンタルが最後まで落ちなかったことに2019年とは違う自分を感じた。
2日目
そして2日目、朝イチに1尾目650gのオスをすぐにキャッチするが、その後連発できたメスをバラしてしまう。
まるでデジャブのように2日目も観客の悲鳴がこだました。
そして13時まで完全沈黙……初日より強い南風がミドストの操作をとても苦しいものにしていた。
何かを変えなければ予選落ちする……その時、閃いたのが懐かしの「振り子リグ」だった。
風の強さから、操作性とさらにロールピッチを早め、同時に「ミドスト」からボトムタッチを優先するため、ジグヘッドを1.8gにあげ、プロトの「ハドルフライエラストマーファット3インチ」にチェンジ。「ミドスト」から「ボトスト」にチェンジした。
強風の中での操作性が上がったことで集中力が戻り、これが見事に当たった。
すぐに2尾目のオス700gをキャッチ。ところがこの後、また連発できたメスをネットイン寸前でバラシ……。
さらに終了1時間前、もう1発きたオスをまたバラシ。ただそれでもまだメスがいるとめげずに即キャストしたことで1200gのメスを、今度はキャッチすることに成功した。
今回はオスメス2連発があると、集中できたことが最後の1尾に繋がった。
2日目、オスが2匹となりウェイトは下がったが、やはり22人がノーフィッシュになった2日目、単日順位は2600gで6位にランクイン。予選を6位通過、ウェイト順位8位で決勝進出を決めた。
雨となった決勝
そして、ついに雨となった決勝。
フライト8番となったことで初めて当然の最上流堰下勝負にでるが、開始1時間半が過ぎても大船団で全員が沈黙。
意を決して中流に下がるが、風が北風に変わりあきらかに水質が悪化していた。
10時半までノーフィッシュ。
ローライト、北の強風から、もしやと思いプリプラでよかった「IxIシャッドTX」にチェンジ。
その1投目に650gのオスがいきなりヒット。
もう1発来る!と返す刀で即投げた2投目にやはりパンパンのキロ半ばはありそうなメスが来た。
心臓が飛び出るぐらい慌てた。
1尾目のランディングでネットが運転席付近に放置されており、それを取ろうと視線を切った瞬間を賢いメスは逃さなかった。
3日連続、目の前で観戦していたファンの悲鳴が耳に突き刺さる見事なジャンプだった。
その後、「IxIシャッドTX」を巻き続けたがタイムアップ。
まるで初心者のように慌ててしまった自分が恥ずかしかった。ただ、ボトストから思い切ってIXIにチェンジしたタイミングと狙いは、自分なりに完璧だったと思う。
結果、この1尾の650gは値千金の1尾となった。決勝も3人に1人がノーフィッシュとなり、650gの追加で開幕戦総合順位は8位ステイで試合を終えることができた。
これほど致命的ミスしながら、順位を下げず堪えきって開幕スタートを切れたことは、悔しさより持ち前の「勝負運」が戻ってきたと前向きに受け止めている。
ただ、上位7名の顔ぶれ、そしてAOYレース第一グリッドに残った15位以内にも強力なフルタイムプロの若手選手がずらりと並ぶ。
昔から練習量では誰にも負けなかったが、それも今や少ない方なのだという事実を、その顔ぶれから実感する。
彼らと本気で対等以上に戦うためには、フルタイムを上回る練習量が不可欠なのかもしれない。
だが、「日本のバスプロ」の道を選んだ自分は元々「2足の草鞋(わらじ)」が自分の原点スタイル。
本物のバスプロであり、同時に今度は経営者として、もう一度頂点に挑みたい。