釣り人の必需品である「ライフジャケット」。
オフショアでは着用していないと罰則がありますし、オフショア・ショア問わず”もしも”の時のために着用。例に漏れず記者も3つほど所持。
さて、ことの発端は先日大雨の中釣りをしていたとき。
同行者の自動膨張式ライフジャケットが作動、一方の記者のライフジャケットはうんともすんとも言わない。…これ、大丈夫か?と。そこでライフジャケットの重要性やその意味について改めて理解しておかないと…となった訳です。
ライフジャケットと言えば、国内でのシェアなんと7割を占めるという高階救命器具株式会社のフィッシングギアブランド「ブルーストーム」。HPを覗くと設立から86年という老舗で、ブルーストームの歴史は水辺の安全の歴史であるといっても過言ではないんじゃないかと。
で、早速担当の方にいろいろ訊いてみることに。
そもそもブルーストームとは
「Bluestorm」は、1935年より救命胴衣の製造販売を行っている、高階救命器具のフィッシングギアブランドです。
高階救命器具株式会社では救命胴衣はもちろん、レスキュー用品や船舶乗員の保護に関わる設備、燃料流出防止のための備品等、水と命に関わる製品を扱っています。
ブルーストームの歴史
高階救命器具の歴史は水辺の安全の歴史に深く関係しているとのこと。まずは、今回は高階救命器具からBlustormブランドが生まれるまでの経緯から。
・1912年 ライフジャケットの普及に大きな影響をもたらした、タイタニック号沈没事故
・1935年 高階救命器具株式会社 設立
・1967年 レジャー用、作業用安全器具の製造・販売を開始
・1991年 アメリカで沿岸警備隊の承認を取得。グローバル展開へ
・1999年 日本で膨脹式救命胴衣の型式承認を取得
・2006年 アメリカで膨脹式救命胴衣の承認取得、Bluestorm販売開始
当時世界最大の客船であったタイタニックは、アメリカ合衆国・ニューヨーク行きの航海中に氷山に衝突、事故発生から2時間40分後の翌日に沈没し、1,513人が亡くなりました。
この大事故をきっかけとして、1914年船舶の安全確保のための救命設備や無線機等を備える事を定めたSOLAS条約(海上における人命の安全のための国際条約)が締結されることになります。
その19年後の1933年本条約実施のための国内措置として船舶安全法が公布され、その2年後の1935年SOLAS条約は日本においても発効されることになりました。これにより船舶の備品として、救命胴衣の需要が高まります。
時は戦前戦中の混沌の時代。「人があまりやっていないことに挑戦しよう」という開拓者精神のもと、創業者の高階忠義が救命胴衣を独自に開発・製造。当時民間企業では非常に珍しかった型式承認の取得を契機に、大阪市は浪速区反物町で高階救命器具の歴史は始まりました。
昭和30~40年代の工場では、救命胴衣など法廷救命器具以外に、レジャー用・作業用安全器具を製造。折からのレジャーブーム、そして高度経済成長の内に乗り、販売数量は躍進し続け、ミシンや縫製をする人たちで工場は活気にあふれていました。
折からのレジャーブームもあり、カヌーやカヤック人口が増え始めた当時。アメリカのメーカーから商品を輸入し販売活動を展開していた当社は、ボストン郊外に現地法人を設立。アメリカ市場では、カヌーのスラローム競技場ジャケットを作るために、事業承認を取得。一般ボート用の救命具の承認を、アメリカ沿岸警備隊より取得しました。
海外では膨脹式救命具が売れていたものの、日本では輸入品や大型船用しか流通していませんでした。海外の需要を見て、日本のニーズも高まると見込み、日本オリジナルの膨脹式救命胴衣の開発をスタート。1999年に無事型式承認を取得し、発売に至りました。
1999年に製品化された膨脹式救命衣を拡販するため、Bluestormブランドを立ち上げ。
どんな過酷な環境にも耐える安全設備を企画するために、セーリングマーケットに通用するモノづくりにこだわりました。
ブルーストームの歴史は水辺の安全の歴史
2021年に入りBluestorm製品販売開始から15年、高階救命器具設立から86年が経ちました。
Bluestormのこだわりは表面的なデザインだけではありません。創業時の精神を忘れず、釣り人が扱いやすく、いざという時に本来の目的を果たすことが出来るギアづくりを常に心がけています。
…とのこと。釣りを楽しめるのは命あってこそ。もしもの時に自分の命を預ける「ライフジャケット」こそ、釣り人が一番重要視すべきタックルであり、確かなモノを選ぶ必要性があるんじゃないか、そう思うのです。