藤原 真一郎 (Shinichiro Fujiwara ) プロフィール
いまもっとも人気があるライトゲームのターゲットといえばアジだが、アジがルアーで攻略する対象として認知される前は、メバルがナンバーワンのターゲットだった。もちろん、いまでも人気を二分する存在である。
なかにはアジには目もくれず、ひたすらメバルを追い続けるアングラーも少なくない。
「アジにはアジの、メバルにはメバルの難しさがあります。もっとも、共通点の方が多いというか、特に区別しなくても同じ釣り方で釣れるのも事実です」
ホーム大阪湾で、春から秋にかけてはアジ、冬はメバルを狙う藤原。アジとメバルについて共通点と相違点を聞いてみた。
「アジだけが釣れる場所、メバルだけが釣れる場所というのももちろんありますが、同じ場所で両方が釣れる場合には…季節ですね。厳密には水温」
メバルとアジが釣れる場所、キーは水温
アジは暖かい水を好み、メバルは冷たい水を好む。
「メバルは冷水系の魚。といっても水温ひと桁まで下がると具合が悪い。ちょうどいい水温というのがあって13℃を下回ると活性が上がる」
大阪湾の場合、1月半ばに水温が13℃を下回ってくる。こうなるとアジはポイントから消え、かわりにメバルがアジの陣取っていたポイントで釣れるようになる。
「冬場、アジは深くて穏やかな場所や温排水が流れ込むような場所にたむろしています。そして、秋にアジがいた場所にメバルがやってくる」
メバルとアジの違いについて、アジは日々、回遊していて大きく動き回る魚であり、釣れないときはポイントそのものに魚がいないこともあるし、時間になったら回遊してきてバタバタと釣れだすことがある。
「メバルの場合は、もともとその場所にいて、物陰やボトム50cmに浮いて口を使わない状態になります。これが潮のタイミングで時合いになるとボトムから浮いてきて口を使いだす。ボートで魚探をみているとそういう動きをしています」
メバルはアジと違って定住性が強く、ポイントに居付く習性がある。
「そもそも秋にメバルが釣れづらい理由の一つは、いい場所をアジに占領されていて、岩やテトラ、海藻にタイトに身を寄せているからです」
だからアジが混在する中で、メバルを狙いたい場合には、一等地を避けた場所である明暗の暗い場所やストラクチャーのギリギリを通すといい。あるいは、潮止まり付近の潮が緩い時間帯はメバルが釣れやすい。
「そういう意味では、固いものがあって隙間が多い場所の周辺はメバルが身を寄せる場所が多いので、メバルの魚影が濃いですね。潮通しがよくて、明かりがあることもポイント要素のひとつ」
回遊ではなく定位するメバル
1g前後のジグヘッドただ巻き。これがメバルの基本。
「アジと共通ですよね。釣り方の大部分は一緒。ただ習性の違いはありますので、そういう差が釣り方にもあらわれます」
メバルは流れの中で定位していて、下から上に食いあげる捕食行動をとる。
「回遊するのではなく定位する。それが中層ならいいんですが、時に表層といっても過言ではないくらい上に浮く」
水面直下にメバルが浮いていたとして、それより下を通すとメバルの反応がまったくえられない。決して活性が低いわけではないのに、レンジがずれて食わないためにメバルがいないと勘違いしているケースもあるという。
「1gのジグヘッドでまるで釣れないときに、0.4gで上の方を引くとバタバタ釣れるのはメバル特有のパターンです」
小さくて軽いものを通さなければならないパターンがある。それもできる限り浅いレンジをスローに漂わせなければならない。
「日によってはルアーが表層ではなく水面に浮いていないとダメなこともある。そういう場合には、極軽量のジグヘッドでもいいですが、プラグの方がハマる場合もある」
上で反応が多くなるのは春。
「2月くらいまでは中層で捕食していますが、低い水温で安定して、風の穏やかな日が続き、春めいてくるとパシャッとライズするようになり、それがだんだん多くなる」
メバルとアジ、それぞれの大切な要素
春になるとアミやボラの稚魚などベイトの種類も増え、海がにぎやかになる。それにつれてメバルのレンジが上ずりやすくなる。ちなみにアジも捕食レンジが表層に集中する場合はたしかにあるが、1gのジグヘッドでもロッド操作で表層を探れば攻略できる。
「メバルの場合は、無理やりワームを表層に持ってくるのではなくて、潮に乗るかどうかが重要。だから0.4gの軽いジグヘッドを使い、表層で水に絡んでなじんでいるというか、水を切らずに漂っている状態を作り出す必要がある」
メバルはロッド操作よりもセッティングが大事。一方、アジはアクションが釣果を分ける。
「アジの難しさはワームに興味を持ち、チェイスはしてくるものの、バイトまで持ち込めないケースですよね。止めると食う時もあれば、止めると見切られるときもある。フリーフォールにしたら口を使うとか。ワームの動きが釣果を左右する。これは群れがどういう形で海に存在しているか、という要素が影響しているんでしょうね。アジは広い層に散らばっているのに対し、メバルは中層なら中層、表層なら表層で定位するレンジがはっきりするという習性の違いがあります」
メバルにおけるワームの選択
ワームのカラーは、常夜灯まわりではクリア系のカラーも含めて、いろいろなカラーをローテーションする。逆に真っ暗な場所では白を選択する。
「メバルではノレソレ1.8をよく使います。また、アミパターンで魚が上ずっているようなときは、アーミーシャッドを半分にして、0.4gのジグヘッドにセットします。エストラマー素材なので、素材的に浮力が高い。ちなみに、半分にちぎった場合のアーミーシャッドですが、前部でも後部でもどちらでも同じように釣れます。しいていえば、テール側のほうがシャッドテールになっていて水をつかみやすい分、ブレーキが効きます」
メバルを主にした時、宵姫爽は何を選ぶ?
タックルはアジもメバルも共通ではあるが、メバルの方がパワーを求められる。
「メバルを主体に考えるなら、宵姫爽でいえばS63ULソリッドがジグヘッド単体に向いてます。大阪湾でもアベレージは15~18㎝ですが、25~28㎝は普通に混じります。アジよりも引きが強いし、テトラや海藻に潜るファイトをするので止めなければならない。ドラグで走らせるわけにはいかないですよね」
アジの場合にはエステルの0.3号をメインに使うが、メバルの場合には0.5号のエステルラインを選択する。リーダーはフロロカーボン1号を60㎝。PEも積極的に使う。特にメバルが浮いているときには有効で、0.3号にリーダー1号60cmをセットする。
「メバルはメリハリの利いたアクションに反応するので、FLよりULの方が扱いやすい。ただ、超ショートバイトが多発し、ワームのシッポだけにバイトするような場合には、宵姫爽53FLソリッドや58FLソリッドの出番もあります。当たった瞬間にテンションを抜いて食い込ませるテクをこなせますから」
もう1本、おすすめなのが宵姫爽S73Lソリッド
「プラグやスプリット、軽めのフロートを使うなら73Lソリッドの出番。ジグヘッド単体もこなしますので、こっちは器用なオールラウンダーです」
新月と満月なら新月の方がいいが、常夜灯が多い港湾部ではそこまで気にしなくてもいい。時合いは満潮がらみで潮位が高い方がいいと藤原はいう。
「上げ潮でも下げ潮でも潮位が高い方が反応はいいですね。大阪湾では2月、3月、4月はアジのオフシーズン。一方のメバルはハイシーズンですね。春が近づくほどに調子が上がります。5月6月はゴロタのシャローででっかいメバルが連発しますよ」